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観光したい?

観光って一体どうしていいかわからなくなる事はないだろうか


海外だったら格安航空券をネットで調べたりして
ついに購入したその日からは地に足が着かないような
そわそわして日常をこなすのもままならない

僕の場合は日常がこなせないばかりか
ガイドブックですら気持ちが爆発してしまいそうであまり見ない
いや見なくてももういてもたってもいられないので
あまり前もって購入しないあまり計画しない

行き当たりばったりの面倒くさがり人間の言い訳に過ぎないのだが
ただ観光というモノに対する戸惑いは計画性の有無とは関係無く
等しく万人が感じた事があるのではないだろうか



見慣れた街から全く知らない街へ
いやもしかしたら誰しも聞いた事があるような
とんでもなく有名な観光名所と言われる物がある街へ行く事もあるだろう
むしろ後者が多いだろうが

どちらにしても自分の生活リズムが流れている世界から垣根を飛び越えて辿り着く
右にある物も左にある物も五感が初めて感じる刺激
とても新鮮で何事も楽しく感じてくる
ウキウキしてくる

心の膨張を埋めるように
沢山の刺激が自分の中になだれ込んでくる
新しい物に触れようという根本の目的が果たされているのか


宿でもいい友達の家でもいい
さて着いた
そこでじゃあ何をしようかという今まで手に掴もうと思っても
実態を掴めずにふわふわ漂うような話がやっと現実に目の前にやってくる

その時急に何か熱を持ったものが萎んでくるようになる
そんな感覚を味わった事は無いだろうか
いくらでも膨らむ想像が急に現実に引き戻されたからだろうか

想像は結局想像でしかなくて現実に負けてしまうかもしれない
そんな自己防衛によって縮こまってしまう
いくつかの想像の風船はパンと音を立てて割れていってしまう


緊張しっぱなし新鮮な刺激の雨あられを抜けてやってきた宿
そこを抜けて座ると妙な安堵感と漠然と頭に広がる眠気のようなモノ

何だか今まで調べてきた色々な場所
もともと持っていた知識
手に入れようと思っていた願望
それが何だかどうでもよくなってくる


どこに行ってもいい
どこも行きたくない
ただこうしてこの場所にゆっくりとしていたい


あれだけ行きたがっていたのに
と自分でも思うけれども
頭がぼおっとして身体は勿論動かない


もう見飽きるくらいの街並み
繰り返されるいつもの生活
それに対する刺激を求めて出てきた新しい街

でもここに来たら来たで
無意識に元の生活リズムを求めていないだろうか

繰り返される日常を否定している訳ではない
僕も日本での繰り返しの日常は嫌いではないし
刺激がないと思っている訳ではない

ただ初めて受ける種類の刺激
わざわざ垣根を飛び越えて
いつもの生活リズムの乗り越えて辿り着いてきた筈なのに
結局求めてしまう


ごはんと味噌汁を欲していないだろうか
時間通りに来る電車と比較していないだろうか


きっと口にした事があると思う
日付が経てば経つほどその思いは強くなっていく
その思いは初日から始まっている気がする

ようは何でもいいんじゃないか
新鮮な刺激

日常から搾り出すように感じる刺激は意識を伴わないとなかなか難しい
全く種類の違った新鮮な刺激は降りかかってくるから簡単だ
でもそれは否応無しに降りかかってくる刺激
身体に降り注ぐ紫外線のような

宿に辿り着くまでに
小さいながらにダメージを受けて
早速疲れていってしまう
そして心の奥底で気が付く
新鮮な刺激は有名な観光地でも宿の近くのスーパーでも
何処でも手に入るという事を


そうなると身体は出来る限り身体への負担を減らそうと
いつものリズムを取り戻そうとする


じゃあ結局観光って何だろうか


何処にも行く必要が無い
何処でも行けば旅行を感じられる


それでも行くのか
変な虚脱感に襲われる



その点ツアーは凄いと思う
そんな事を感じる間もなかなか与えない
そんな疑問を持たせない

すべてが流れの中に
何処へでも連れて行ってくれる
ツアーの存在意義はここにある気がする

すべてが刺激の空間で途方に暮れないように
いかに異空間を迷わずに進むかを示してくれる
いや殆ど強引に引っ張っていく



そうしたら僕は今の状況でどう異国で過ごせば言いのだろうか

香港には百万ドルの夜景があって
二階建てバスが細い道に所狭しと並べられている看板の隙間を
縫って走って行く
近代的な都市の真ん中にある学問の神様が祭られたお寺や
世界で一番長いエスカレーター

日本に居る時から知っていた事や
こっちに来てから知った場所
色々あるけれども
どれに行きたいと言われても
家の中ですっかり生活のリズムの中にいた僕は
なかなか重い腰が上がらない


見に行きたくない訳では無い
ただ観光名所と言われる場所を見に行った事によって得られるのは
むしろもともと持っていた香港のイメージを確固たるモノにするだけで
垣根を越えてきた前の僕の世界と変わらないような気がしてしまうのだ

むしろ今生活のリズムの中にいる僕の触れている香港の方が
より新鮮な香港のような気がしてしまう



ただやっぱり実際に見る刺激は存在する
この状態はきっと暗示にかかっている状態で
何かの合図が必要なのかもしれない
若しくはしっかりとした意識が




結局言いたいのは
観光とは新鮮な刺激を求めて飛び出すというだけではなくて
しっかりとした目的意識がないときっと成り立たないものだなという事

緩い気持ちではしょうがない
ただ休日の疲れを癒しまったりするのであれば
ツアーに参加するかそれとも何度も行った事がある場所で
生活のリズムに身を浸す事だ


僕は今その気が全く無い
観光名所というよりもどちらかと言えば新鮮な驚きだけを求めていて

それは日本ではなくて旅の途中の香港で出会った本であったり
世界一周を語り合った仲間と別の地で再会して語り合う事であったり
公園でバスケットボールを追いかけている人達
バスケは随分とやっていないからこの機会に久し振りにやってみるのもいい
勿論言われている百万ドルの夜景は本当にそれだけの価値があるのか
確かめに行ってもいい

結局何でもいいんだ
少なくとも今の僕の心理状況はそうだ
その代わり出来る限り多くの「種類」の刺激が欲しい



だから



だから聖子ごめん

今日何処に行きたいと言われても
どうしても何も出てこなかった、、、



結局僕たちはまた大陸の方へ
今日はフェリーではなくバスで
美味しいものでも食べよう

香港残りの滞在時間は少ない
みんなでいれれば今はそれでいい





20100112.jpg


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迷子の感情

香港に来て一体どれくらいが経ったか

こんなフレーズをわざわざ言う程居る訳ではないが
香港にやってきてから殆ど生活をしている僕たち
あっという間に香港の生活リズムの中に溶け込んでしまった
そんな錯覚を受けてしまうくらいに
時間の進み方に対する意識が薄く遠のいている
気がつくととんでもなく時間が経っているのだ


朝起きて聖子を仕事に見送り
昼は本を読んだりネットをしたり
夕方になれば食事を作って聖子の帰りを待つ
そして食卓を囲んで
旅の話や仕事の話
これからの僕たちの話
ビールを片手に夜遅くまで語り合う

そんな事わざわざ香港でしなくてもいいだろうに
とは思うけれども
やっぱりそれは香港でしか得られないだろう時間だ



簡単に言えばそこに聖子がいるから

元々流れていた香港の流れとは
ようは香港で生活している聖子の生活リズム
そこに僕たちが溶け込んだ

そして僕たちは聖子と過ごした日本での日々に直接飛ぶ事が出来る
聖子が僕たちと共にした過去の映像は
僕たちが世界一周を夢見て憧れ実際に取り組み
形にしていこうと努力していた時期でもある


そうなると
自然と話は過去に飛んでいくし
未来へと視点を移せば刺激的な
久しく忘れていた想像力をかき立てる
ワクワクして仕方が無いような
どうしようもない焦燥感に教われてくる

ポジティブな焦燥感
早くあれがしたいこれがしたい
いてもたってもいられない




そんなんだから
観光どころではなかった

一日中暇なんだからそれでも出る時間はあるだろうに
そういう反論には
僕たちが居たこの一週間は殆ど曇りか雨で
あまり外に出ても気持ちの良い感じではなかったと言っておこう

それに折角だから聖子が休みになる週末に一緒に出歩くのが一番だ
彼女がガイドしていただければ
それが一番良いに決まっている


僕たちは新しい国へ行くといつも困ってしまうのだ
何処行こうにもかなり限定された
若しくは殆ど皆無に等しい知識しか持ち合わせておらず
ひいてはガイドブックすら持っていないので人に聞く土台は無く
さらには何処に行きたいのと訪ねられてもどうしようも無いのだから

その点聖子はきっと僕たちの事を理解してくれている筈、、、
希望的観測にしか過ぎないが





という訳で今日やっと一週間振りに仕事から解放された聖子と共に
4人で香港観光をする事になった

今日は「九龍城」で有名な九龍へ


僕たちが籠っていた聖子の家は香港島
ビジネスの中心がこの香港島に集まっている

テレビや写真などでよく見る
道路にせり出す看板群の親玉がみれるのは
そこから橋を渡ってユーラシア大陸に上陸した所にある
そこが九龍地区だ



久し振りに観光に出るという事で
少し浮き足立っている

という訳でもなく
前日に飲んだお酒がまだ体内に残っているのか
久し振りの外でのコミュニケーションが応えたのか
なかなか外に足が向かなく
結局家を出たのは午後の三時を回っていた



家の近くにあるセブンで昼食を
別の店で前から気になっていた地元の人がよく食べているのを見かける
ワッフルのようなベビーカステラのようなお菓子を購入
目の前にあるビクトリア公園で食べる事に


20100111-1.jpg


天気は良好

木漏れ日に暖まるベンチに座って
道行く人を眺めながらみんなでゆっくり食事

とういう訳にはいかなかった


ベンチどころか
公園の敷地いっぱいに沢山の人がシーツを敷いて靴を脱ぎ
ある人は新聞を広げ
ある人はコンロで鍋をいじり
ある人は友達の髪の毛を切っていた

みんな家みたいにくつろいでいる
いやむしろ家でもやらないだろう大掛かりな事をしている者もいる


20100111-2.jpg



まさにお祭り騒ぎ
だがこれはいつもの変わらない日曜日の風景だそうだ


聖子によると
香港の家庭に雇われているお手伝いさん
フィリピン人やマレーシア人が多いそうなのだが
その人たちが週一の休みである日曜日に
香港中から公園に集まってくるという

コミュニケーションの為か
それともアイデンティティの発露か

ちなみに香港島には大きな公園が二つあり
聖子の家の目の前にあるビクトリア公園はマレーシア人
もう一つ別の公園にはフィリピン人が
それぞれコミュニティ別に集まるという

事実目の前に広がっているのは
黒い頭ではなくて様々な色をしたスカーフだ


だからこれはお祭り騒ぎではなくて
香港人に言わせてみれば
公園で見かける親子でするキャッチボールようなほのぼのした映像と
同じ種類のモノという事になる






バスでフェリーターミナルへ向かう

バスで橋を渡る事も出来るが
折角船で渡れるのだから
たまにしか出来ない事は極力やろうという訳で


乗り場へ向かうと「スターフェリー」という文字が見えてくる
かの沢木耕太郎氏の本を思い出す
本の中での彼の贅沢が確かこのスターフェリーだった筈だ

感慨に耽る程僕は読み込んでいないし
大した想像力も感受性も持ち合わせていないが
入り口の看板を見て少し立ち止まった僕には
それなりに何か引っ掛ける網を持ち合わせていたのだろうか


20100111-3.jpg


本から得られる知識や想像に任せて作られた映像は
写真集やノンフィクションでなければ
視界の映像と結びつく事はなかなか難しい

沢木耕太郎氏の「深夜特急」は
彼の体験に基づく話でありながら
語り口調で少し小説のような別に設定された世界へと飛んでいく感覚になる

まさにそれは僕が知らない見た事の無い
土台の大きく違った世界が描かれているからであって
そして何年も前の話であるからだとは思う
きっとその事が無意識の中で僕はこの映像を生身で見る事は無いだろうな
という距離感を持って読んでいた気がする


20100111-4.jpg




「深夜特急」の旅の始まりであるゲストハウス
その建物が今も九龍の地区に残っていて
今だ沢山のゲストハウスや両替所がある
レートがいいというので国元を香港ドルに両替するという名目で入った時も

へーここが

といったすごく平べったい感情で居ながら
その下で微妙に蠢く心の動揺を感じていた
でもその感情は結局表に現れて来ない事を僕は知っている


20100111-5.jpg



これに似たような事は今までにも何度かあった
じっくりと振り返れば旅だけでは無く
日常の中にもたまに表れていた


得られた知識によって頭の中に表れる映像
それと現実の映像とのギャップ

心の動揺を収めようと意識が働く時もあるし
逆に意識して心の動揺を引き出そうとする時もある

そのうちそういった作業が無意味に思えたり
意識的な作業によって何かを得ようとする事に嫌気が差したり


現実の映像と頭の中の映像が溜まれば溜まる程
二つの間の距離感が様々になってきて
たまに距離の取り方を間違えてしまう

そんな時一体どう感じていいのか
急に呆けてしまったようになってしまう


待ち合わせ場所までの道のり
嫌という程頭に叩き込んでここだという所で道を曲がったのに
目の前に現れた道は想像していた交差点では無く
ただ行き止まりしか無かった時
衝撃が心を一瞬だけ飛び上がらせて
直後にショートしたみたいに立ち止まるような
頭の中は今までの道のりを思い出そうとするのだけれども
空回りしてしまう

それは自信をもっていればいる程
期待感で一杯で足早に歩いていた時程
衝撃は強いような気がする



無理に現実と頭の世界を摺り合わせようとしているからだろうか
その作業は意味の無い事なのだろうか


もともと完全に折り合わない世界

でも頭の中に出来上がった世界は元をたどれば
現実の世界から得られた知識と映像によって成り立っている筈で
繋がりを探し求めてもいい筈だが

でもたまにそれを許さない時がある



例えばエアーズロックを見た時
例えばスターフェリーに乗った時
例えば誰もが知っている人に出会った時


そんな所謂特別な状況において
頭は何かしら反応するべきもののような気がするモノだが
実際に記憶には強く残っている訳で

そこで平静になる心とは一体何だろうか
それは期待外れとかそういうモノとは少し違う気がする

正直にあまり感情が揺れ動かなかった
僕にとっては大した事ではなかった
そういうのとも少し違う

何故ならそういう時
残念だな
という思いすらなかなか思わないからだ

感情が外に出る為の道を間違えた
と書いた方がまだしっくりくるかもしれない
その道の途中で迷ってしまって
何処へも行かずに立ち止まってしまった

そんな感じ


だから感情を助けたくて意識的に誘導しようとするけれども
慌てている僕はなかなか上手く誘導出来ない時がある
無視してもいいような気もするし
でもそこで迷わせるともう戻って来ないような気もする


クールに何事にも冷静に
という人間を装うようにしていた時もあった

その時よくこんな虚無感に襲われる事があった気がする
それはいつの間にか感情が怠けてきてよく道を間違え
その状態をほっといていただけかもしれない



じゃあ感情を無理矢理にでも誘導するのがいいのだろうか

よく笑う人はよく泣く
きっと道を繰り返し通っているから
その人の頭と現実の間には
はっきりとした道がいくつも存在しているに違いない
感情が迷う事が無いんだろう

感情が迷うのはなんだかとても疲れるような気がする
感情的になる方が疲れる気もする
でも出口の無い徒労感よりはマシじゃないか
何故なら現時点で人間は感情から解放されていないからだ


だから


だから感情を沢山誘導してあげる事がいいのかもしれない

幸せな事に僕はこれから沢山の出来事や映像を見ていく
本で読んだ事やテレビで見た事話に聞いた事
僕は意識的にそれらを見ていこうと思う





すっかり夜になった


聖子が最後に連れて行ってくれたのは海岸沿いにある遊歩道


海沿いに出ると向こう側に香港自慢の摩天楼が見える
午後八時になると毎晩音楽に合わせて
摩天楼のライトが踊る


20100111-6.jpg


かの有名な
きっと殆どの人が頭に思い浮かべる事が出来る
香港の百万ドルの夜景


頭の中に映像が浮かび上がる
そして目の前に広がる夜景
僕の頭と視線の先の間には黒く漂う道の無い海が広がっている

そんな道無き道を
真っ直ぐ進む船

淡く道を示すように赤や青のネオンの光が
すぐ足下まで伸びていた



20100111-7.jpg


暖簾に腕押し


週末がやってきた
今僕達の親分である香港で仕事をしている友達
聖子にとっては仕事始め後の初週末

言ってみれば新年会の絶好の日
香港の日本人社会にもちゃんとあって



数日前に聖子の携帯に電話が掛かってきた
香港で出来た日本人の友達だった

楽しそうに笑い声を上げながら喋る聖子は
電話を切るなり
週末に友達の家で新年会みたいのがあるからいくでしょ
とは言わなかったが
そのようないつもの素晴らしい加速力のノリで
僕達を巻き込んだ



香港に来て最初
なかなか話し合える友達が出来なかった聖子

仕事場には聖子を含めて三人しかいない
ほぼ建物の中に居る仕事であって
外と繋がりを持つのはとても困難だ

そんな中ネットのコミュニティを通じて
香港在住の日本人と先ず出会う
聖子が言うにはその人が兎に角顔が広くて
もともと人付き合いは羨ましいくらいに達者な聖子は
一気にコミュニティの中を縦横無尽に駆け回ったみたいだ
今では仕事も忙しいながらそちらでも忙しい毎日を送っていると




そんな兎に角顔が広いササキさんは
目にかかるくらいの前髪を下ろし眼鏡を掛けていて
顎のラインには無精髭を残し
初対面の人には少し独特の印象を与える三十代

独特というのは
今まで生きてきた道はあなたとは少し違うんだよと
面と向かった人に対して思わせるような

顔が広いと知ったのは後に聖子に話を聞いて知ったまでで
突然横の椅子に座り声を掛けてきたササキさんの顔を見た時の第一印象は
ネクラとは言わないが周りの陽気な雰囲気とは一線を画しているような感じを受け
そして受け答えてしまった僕は
その別空気に一瞬にして取り込まれてしまったという感じ




ササキさんはメガネのデザイナーだった

あぁなるほど
納得です

なんていう言葉がはっきりと頭の中に表れ口元までysってきたが
陳腐な想像力からきたモノだとすぐに気が付いて何とか喉の奥に押し込む


一度ぐっと言葉を押し込んだ為に口は上手く動かない
そうなると何か口走ってしまわないか警戒しながら喋ってしまうので
出口を無くした頭はぱんぱんになってきて
詰めすぎた洗濯機のように頭全体をばったんばったんやりながら
頭を揺らしてきて焦点が合わない

メガネの話を聞いてみたり
旅の話をしてみたり
香港の話を聞いてみたり

二三回のキャッチボールの後に
手応えが無いとすぐにボールを変えて
投げる方向を変えて落ち着かない




そのまま随分と時間は経っていた気がする
どこからそうなったのかはっきりと思い出せないが
いつの間にか僕は自分の今年のテーマを語っていた

ササキさんに相槌すら挟む余地を与えないような
まくし立てる様に旅の出発から事実を広げ
つたない表現力で思った事を恥ずかしげも無く喋っていた


喋っている僕自身びっくりする事だが
初対面の年上の方に
僕は正直に感情的に生きたいんだ!
なんて熱弁を振っていた


ササキさんはじっと聞いてくれた
少なくとも僕は受け止めてくれたと感じた
そうしたらやっと口のつっかえが取れたような感覚になった


僕が一通り喋り終わると
今度はササキさんが喋ってくれた

これまで歩んできた道に
今辿り着いた場所
僕の話を聞きながら何年も長い先にいるササキさんは
世間的に見れば僕達とは同じような道を歩きながらも
明らかに違う場所に居た



ササキさんは一年サラリーマンをやってその後スーツを脱いだ
友達にハーパンにアロハシャツで仕事してやる
そう宣言して
そして見事に達成したらしい
金髪というおまけまでつけて

仕事に急いでいる時に警官に職質されて
大学生こんな所で何してる
なんて言われた事もあると

新進気鋭の小デザイナー集団とでもいうのか
四五人の仕事仲間と世間をつっついていた感じ
よく仕事終わりの一杯の時に先輩と喧嘩をして
その後悔しいかむしゃむしゃしたか
兎に角仕事で晴らそうとオフィスに向かい
次の日まで延々没頭したという


反抗期を迎えた子供が示された道を嫌がるように
自分の中に設定された生き方に自分を投じて歩んできた



そんな感じ



そんな時間を過ごして今目の前にいるササキさんは
昔話に一呼吸置いて強く繰り返して言った




人間は変わるもんだよ




どうしてもありきたりな事しか言えないけれど
そう前置きをして言った

以前はスーツを着ないで仕事をする
という所に固執していた
その根拠は幼少期にまで遡ったが

大学を出てスーツを実際に脱ぐまでは
本気でそう思っていたし
なかなかこの意識は変わらないだろうと思ったという


自分の心の根幹に関わっていると思った
そう感じられたから実際に行動に出たんだ
逆説的に見れば行動に出たくらい本気の気持ちなんだと

であればこの気持ちは一生変わるものではない
そう感じるのは自然だと思うし
そうであると思う



ただこの話が心をドキドキさせたのは
話がそのまま僕を鼓舞して煽って終わるような事ではなくて
続きがあった


ササキさんの社会を眺める偏見は今不思議なくらい無くなっているという
そこの所まで告白は続いた


偏見という言葉を用いたのは
スーツという媒体を通して見ていた社会
それがすべてであり自分であり
ただその媒体を端から眺めてしまった以上
それは自分にとって必要不可欠なものではなくなったという


理由は今周りにいる人間だったり環境だったり
それは様々あるが

どれだけ確固たる意志で凝り固めようとも
どうやら何処かにいつの間にか出来た
それとももともとあった小さな隙間から
するりと中身が抜け出していってしまう事があるらしい

ササキさんは自分でも今まさに
その信じられないといったような景色を見た直後の顔をして
僕に言った



それは間違い無く
何かを掴む為に世界へと飛び込んで
何とか必死に自分を鼓舞して泳いでいる
僕へ向けての
最高のアドバイスと見えた

と思う



ササキさんはその後
すっかり酔っ払ったのか
この話を深くしてもしょうがない
肩の力を抜いていかなきゃ

というように
愛二に突然

君、バンドだったら絶対にベースだよね

そうやって大声で笑いながら絡み出した



その後いつも飲み会は12時で帰るササキさんは
1時まで居てくれて
僕達を散々笑わせてから帰っていった




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Profile
    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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