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残された時間


待ちに待った出発の日

次は一体何時ここに戻ってこれるだろうか
でもそれでも僕の足に迷いは無い


尚吾が駅まで見送りに来てくれた
窓から今年最後になるだろう尚吾の姿に手を振る







電車は夜行で十何時間も揺られてやってきた人達で一杯だ
みんなぐったりとして静かに席に座っている

バンコクへ向かう電車



外の景色を見る事も無く
前夜のお酒を身体の中に感じながら目を閉じる

今日の夜には既に違う新しい土地で
何処かのゲストハウスのベットに横になって
天井に回るファンを見上げているだろう

そんな景色が瞼の裏に浮かび上がる



今日中にはそこに居る筈なのだ








いつの間にかバンコクに着いている





残された時間の中の二時間があっという間に過ぎた

着々と近づいている
新しい土地にいるきっと新しくなる自分との対面





アユタヤで出会った人と会う

彼女は僕達を車で迎えに来てくれ
そして空港まで送ってくれた


一度しか出会ってなかったのに
会社を抜けて一緒に空港で昼食を食べ
しかも払ってもらってしまった


20100430-2.jpg




話は淡々と進む

話が盛り上がる時というのは
過去の時間の共有と未来の時間の共有

「あそこで何をしたか」

という話と

「今度何かしたいよね」






でも僕達には今それが出来無い


過去一度しか出会っていないばかりか
僕達はもうあとちょっとしたら長くタイを離れるのだから

彼女の好意はすごく身に染みる
是非今度またどこかで会いましょう
と言ってみるもどうしても軽い言葉になってしまう


最後にこんな出会いがあったのに
これで終わってしまうのはすごく嫌だ





でも




それでも僕は先へ進む





お礼を言って空港のゲートをくぐる




そこには沢山の人がイミグレーションカウンターの前で並んでいる

みんなそれぞれのパスポートを握り締めて
何処かに旅立とうとしている






結局飛行機は三時間遅れた





でもそれでもその時間はやって来た





バンコクの蛇腹のような天井は
奥へ吸い込まれるような気にさせる



20100430-1.jpg



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それぞれの物語の始まり


あっという間に時は過ぎて今日は三人での最後の夜
そしてアユタヤ最後の夜


もうここから僕は西へ向かう

ここ東南アジアを遂に離れる







台湾に長く居た時
僕の心は何かに押し潰されそうだった

幸か不幸か考える時間が沢山あった僕は
その相手が何かもわかっていた

でも勝手に回転する
考える事をやめない僕の頭は必要以上にぐるぐると廻り続ける



台湾を離れようとする時
僕は殆ど発狂するような気持ちが一気に雪崩れ込んで熱を持ち始めた



新しい土地へ!

旅への熱がまた勢いよく燃え出した



本来の予定ならタイに一ヶ月それからラオスに抜けて
行けていなかった北ラオスを見て廻り
またタイのバンコクに戻ってから南アジアへと向かう筈だった






そんなだらだらしてらんない!

今、今すぐにでも新しいモノを見たい

行かなくちゃ気が済まない

大きな刺激が
目を真ん丸にして驚いたように
そして小さな事にもついつい目が行ってしまいそうになる
そんな場所に行きたくてしょうがない



僕はラオスに行く事をやめ
タイからすぐにネパールへ向かう事にした








フィリピンから帰ってきた尚吾
尚吾もまた違った新しい想いが彼の先を照らしていた


20100429-2.jpg


ここアユタヤで僕達はバラバラになる
次に尚吾と会うのは次の三月になるかもしれない
全く違った道を歩む事になるだろう




モンゴルから帰ってきた愛二
愛二もまた違った新しい想いが彼の先を照らしていた


20100429-1.jpg


インドを抜けてから僕達はバラバラになる
ネパールとインドを過ごしてから次に会うのは年末になるかもしれない
全く違った道を歩む事になるだろう








友と共に







そうやって日本を飛び出した

生活をして旅をして
殆どの時間を一緒に過ごした


話を始めれば

「あそこの飯うまかったよねー」
「あの時さ」
「あの人覚えてる?」

話の流れですぐにどの場所かどの人か
ピンと来て盛り上がる


沢山の時間と経験を共有した証が
その度その度に実感できる


同時に同じ出来事を同じ場所で通り抜ける


話もするからすぐに考えや情報が共有されて横一列
それからまた新しい壁に向かって一緒に対峙する





そんな僕達にいつからかぽっとそれぞれの色をした火が心に点り出した




個性とは何処からやってくるものなのか




同じ横一列から
いつの間にか違う先が見え出して

気が付いたら全然違う人間が目の前に居る

そして振り返れば自分もまた違っている




ついこの間新年の乾杯をした僕達は
今日忘年会と称して今年最後になるだろう三人での乾杯をした



周りには沢山の人がいる
今回出会った大好きなアユタヤの人達

最高のマスター

20100429-4.jpg




お茶目なスタッフ

20100429-3.jpg




ハリー一家

20100429-5.jpg




まだまだ若い美容師さん

20100429-6.jpg




アユタヤでのすべての出会いのきっかけを作ってくれたホテル従業員

20100429-7.jpg



いつもいつもおいしいラーメンをありがとう

20100429-8.jpg





みんなに囲まれて
オレンジ色の光に包まれて
お願いして僕の音楽を流してもらって

みんなが僕達の旅路を祝してくれる
みんなとの再会を約する

三人での何処かでの再会を約する











さて





一体これからどんな色の炎が燃えて

紙にどんなストーリーが炙り出されていくんだろうか




楽しみでしょうがない






運動不足


またアユタヤでの生活が始まった

同じ部屋に三人で

贅沢な時間






前日の the seven seas で遂にマスターと共同出資している
オーナーのオランダ人のハリーと話す事が出来た

彼はマスターのお姉さんの旦那さんで
一年のうちに半年は奥さんと東南アジアを廻りながら
時間を過ごしているのだという

今回はたまたまアユタヤにやって来た時に
僕達もそこにやって来て会う事が出来た訳だ


前日お酒を飲みながら話をしていると突然

「明日何か予定はあるか?」

と聞かれた









という訳で僕達はハリーと
アユタヤの周りを囲んでいる川をカヤックで廻る事になった


これも前にやったボートトリップと同様 the seven seas の新しく始めたサービスで
前回マスターに見せられたパンフレットに載っていた
確かきちんとした料金が書いてあった筈なのだが


今回もフリーになってしまった、、


ここに居る人達は一体何なんだろうか
金持ちの道楽なのか
それとも今まで僕がまだ本当の親切に出会ってなかっただけなのか





ハリーが僕達に水とタオルを買ってきてくれ
昼の12時前、ハリーと僕、尚吾と愛二が組んで
二つのカヤックに乗り込んで滑り出した



はっきり言って



完全になめきっていた



かなり体力使う



バスに乗って電車に乗って何時間も
重いリュックを背負って街を歩き回る

そんな事をするといっても
基本的には宿に居て飯時になるとちょっと起きだして街を歩いて
戻ってきて話して寝て

そんな繰り返しになっている僕達に
体力がある訳もなく



尚吾と愛二のカヤックは技術的な話もあるだろうが
右に左に大きく蛇行してなかなか進まない

僕のカヤックはハリーのお陰でどんどんと真っ直ぐ進んで行くのだが
僕はそれについていくのが精一杯で尚吾と愛二のカヤックを待つ為に少し休む
その時の休憩が待ち遠しくて必死にオールを漕ぐ

だからなかなか周りの景色を見る余裕もあんまり無い

それでも川沿いで遊んでいる子供達から

「日本人!日本人!!」

だなんて声がかかって
ちょっと顔を向けて笑いかける

何だかマラソンの時を思い出す



ハリーはこれを友達と三時間もこなすらしい

僕達は二時間のコースをお願いしたのだが
ハリーが見かねたのか近道で一時間にしようと言ってくれた

どれだけ嬉しかった事か



まだ救いだったのは
普段のタイだったら日中は日差しが暑くて歩くのもままならないくらい
なのに今日は珍しく曇っていてたまに涼しい風が吹く所






途中ハリーもまだ行った事が無いという寺院に寄った



桟橋にカヤックを括りつけて
裸足で寺院の中を散歩した



そこは船でしか行けない所らしく
歩いていても殆ど人に出会わない

木々が生い茂る細い道を通ってくる涼しい風に当たりながら
奥の仏像が奉られているお堂へ入っていく


お堂に入ると音が綺麗に遮断され
日差しから隔離されたひんやりとした空気
五感を通して別空間に入り込んだ事を告げてくる


ここの当番を任されているのか
それともただの近所の子供が遊びに来ているのか
小さな座敷童子のような子が静かに歩き回っている


何かのストーリーが一枚一枚の天井板に描かれている
袈裟を着たお坊さんに手を合わせながら訴えるような目を向ける民衆
それを熱心に見上げるハリーの姿


外に出ると木の合間からこぼれる日差しがまた暑い
僕の裸足の裏まで焦がしてくる


ブッシュに覆われた道無き道を歩いていくと
小さな小屋が並んでいる


何人かの家族連れが縁側に腰掛けて中に向かって真剣な目つきを向けている
横まで行って中を覗いて見ると
そこには橙色の袈裟を着たお坊さんがその眼差しを受け止めている






小さな島はあっという間に廻り終えて
再び過酷なボートの旅に出る


ハリーが必死に漕ぐ僕の後ろから声を掛けて色々な事を教えてくれる

ここに係留されている船は建造から100年以上経った物ばかり
今はレストランになっていたり家として使われていたりするんだ

僕は耐え切れずに漏れるような息の荒い返事をするばかりになってしまう






一時間半くらいのクルージング

やっとこさ辿り着いた時には両手の親指の付け根にマメが出来ていた






20100427
運動不足



またアユタヤでの生活が始まった

同じ部屋に三人で

贅沢な時間






前日の the seven seas で遂にマスターと共同出資している
オーナーのオランダ人のハリーと話す事が出来た

彼はマスターのお姉さんの旦那さんで
一年のうちに半年は奥さんと東南アジアを廻りながら
時間を過ごしているのだという

今回はたまたまアユタヤにやって来た時に
僕達もそこにやって来て会う事が出来た訳だ


前日お酒を飲みながら話をしていると突然

「明日何か予定はあるか?」

と聞かれた









という訳で僕達はハリーと
アユタヤの周りを囲んでいる川をカヤックで廻る事になった


これも前にやったボートトリップと同様 the seven seas の新しく始めたサービスで
前回マスターに見せられたパンフレットに載っていた
確かきちんとした料金が書いてあった筈なのだが


今回もフリーになってしまった、、


ここに居る人達は一体何なんだろうか
金持ちの道楽なのか
それとも今まで僕がまだ本当の親切に出会ってなかっただけなのか





ハリーが僕達に水とタオルを買ってきてくれ
昼の12時前、ハリーと僕、尚吾と愛二が組んで
二つのカヤックに乗り込んで滑り出した


20100427-1.jpg




はっきり言って



完全になめきっていた



かなり体力使う



バスに乗って電車に乗って何時間も
重いリュックを背負って街を歩き回る

そんな事をするといっても
基本的には宿に居て飯時になるとちょっと起きだして街を歩いて
戻ってきて話して寝て

そんな繰り返しになっている僕達に
体力がある訳もなく



尚吾と愛二のカヤックは技術的な話もあるだろうが
右に左に大きく蛇行してなかなか進まない


20100427-4.jpg


僕のカヤックはハリーのお陰でどんどんと真っ直ぐ進んで行くのだが
僕はそれについていくのが精一杯で尚吾と愛二のカヤックを待つ為に少し休む
その時の休憩が待ち遠しくて必死にオールを漕ぐ

だからなかなか周りの景色を見る余裕もあんまり無い

それでも川沿いで遊んでいる子供達から

「日本人!日本人!!」

だなんて声がかかって
ちょっと顔を向けて笑いかける

何だかマラソンの時を思い出す



ハリーはこれを友達と三時間もこなすらしい

僕達は二時間のコースをお願いしたのだが
ハリーが見かねたのか近道で一時間にしようと言ってくれた

どれだけ嬉しかった事か



まだ救いだったのは
普段のタイだったら日中は日差しが暑くて歩くのもままならないくらい
なのに今日は珍しく曇っていてたまに涼しい風が吹く所






途中ハリーもまだ行った事が無いという寺院に寄った



桟橋にカヤックを括りつけて
裸足で寺院の中を散歩した



そこは船でしか行けない所らしく
歩いていても殆ど人に出会わない


20100427-2.jpg


木々が生い茂る細い道を通ってくる涼しい風に当たりながら
奥の仏像が奉られているお堂へ入っていく


お堂に入ると音が綺麗に遮断され
日差しから隔離されたひんやりとした空気
五感を通して別空間に入り込んだ事を告げてくる


ここの当番を任されているのか
それともただの近所の子供が遊びに来ているのか
小さな座敷童子のような子が静かに歩き回っている


20100427-3.jpg


何かのストーリーが一枚一枚の天井板に描かれている
袈裟を着たお坊さんに手を合わせながら訴えるような目を向ける民衆
それを熱心に見上げるハリーの姿


外に出ると木の合間からこぼれる日差しがまた暑い
僕の裸足の裏まで焦がしてくる


ブッシュに覆われた道無き道を歩いていくと
小さな小屋が並んでいる


何人かの家族連れが縁側に腰掛けて中に向かって真剣な目つきを向けている
横まで行って中を覗いて見ると
そこには橙色の袈裟を着たお坊さんがその眼差しを受け止めている






小さな島はあっという間に廻り終えて
再び過酷なボートの旅に出る


ハリーが必死に漕ぐ僕の後ろから声を掛けて色々な事を教えてくれる

ここに係留されている船は建造から100年以上経った物ばかり
今はレストランになっていたり家として使われていたりするんだ

僕は耐え切れずに漏れるような息の荒い返事をするばかりになってしまう


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一時間半くらいのクルージング

やっとこさ辿り着いた時には両手の親指の付け根にマメが出来ていた






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Profile
    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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