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冷徹さ

[20100719]



オマーンに来てずっと脳裏を離れない絵がある


空港から今泊まっているホテルがあるコルニーシュまでやってくるタクシーの中
大きな幹線道路をすごいスピードで走る窓から見えた
夜の暗闇に、緑色に浮かび上がるドーム

時間にしたら一秒そこらにしかならないだろう
しかも100キロは出ていたタクシーからの眺めだから
しっかりと像を結んで見ていた訳ではない筈なのに
ずっと頭の中には静止したしっかりと輪郭を持ったモスクがある

右上の方に大きく光っていた満月に近い月もしっかりとある









既に四度夜をここで過ごした

物価が高いくせに
ただどこにも行かずに界隈をぶらぶらしただけだ
実は一番贅沢な過ごし方をしている

僕はそれでいいと既に腹をくくって荷仕度を済ませている
今日マスカット、オマーンを後にして
つい先日、急に全世界にその名を轟かせた隣国UAEのドバイへ向かう


うれしい偶然
ジャビットという友人と出会い
長く語り合い
人生で初めてコーランというものを直で手に取った
僕の好奇心は十分満足している


けど、

あの絵が頭から離れない

























最後の朝がやってきた



朝が苦手で、目覚ましがなかなか通用しない
そんな僕は、今日はしっかりと起きた


昨晩何度もモスクに行く為のルートを反芻し
ドバイ行きのバスの時間の前にどれだけの時間が取れるか
モスクの閲覧可能時間
モスクまでの移動距離
バス停までの移動時間

この時間までに起きないと不可能になる
そんなデットラインを考えるのではなく
ただ、ひたすら好奇心を埋める為に頭を回転させ
起きた時に行けるか行けないかを判断しよう
その為の材料だけ、眠たい頭でもすぐに引き出せるように
情報を寝る前に頭の一番手前に置いておく

そうすると、不思議とちゃんと目が覚めた










荷物をロビーに預けて
朝食を採る為にいつも行くコーヒーショップへ行った

同席した人が僕にサンドイッチを差し出してきた
結局ここに来て毎日遭遇する親切
僕はさすがに毎朝それをご馳走になる訳にもいかず
僕なりに丁重に断り、
自分でサンドイッチを頼み初めて店長にお金を払った

「まだまだここにいてのんびりしていきなさい」

きっと深い考えではなく
習慣として出た言葉かもしれないが
僕はそんな言葉に簡単に後ろ髪が引かれてしまった














ワゴン型の乗り合い型タクシーを乗り継ぎ20分程経つと
見覚えのある幹線道路にやってきた

平坦な土地を真っ直ぐに伸びる幹線道路
たまに通り過ぎていく歩道橋は
何も空を遮る物が無いこの景色の中でとてつもなく巨大に感じられる


その中のひとつのたもとに突然タクシーは停車した

満員の乗り合いタクシーの全員が僕の方を見る
一人だけ前を向いていた運転手が
バックミラーを覗き込んで僕を見る

「ここだよ」







クーラーの効いた車内から
相変わらず刺す様な日差しと潰される様な湿気の暑さの中に突然飛び出す
そうすると何だか放り出されたような寂寥感を覚える

歩道橋のたもとに立っていた白いクルタを来た男を一人吸い込むと
タクシーは急発進して行ってしまった

それがまた僕の寂しさを助長する























回りを見渡しても今までタクシーの中から覗いていた景色と変わらない
ずっと見てきた景色だから妙に既視感に捉われ
何故ここにやってきたかを見失いそうになる

とりあえず側に聳え立つ歩道橋に登ってみる事にした


階段を一段登る度に大きく息を吸い込む
あっという間に服はびちょびちょになり
口は開いたままになってしまう


最後の一段
手を膝に付きながら登り切って視線を上げる

そこには、視界が開けてもやっぱり真っ直ぐ伸びる幹線道路と
その隣にここらでは目立つ緑の一群と中から聳える白い塔に

そして

ドームが見えた


20100719 (1)















入り口に向かうと白人の二組のカップルがいた

女性二人はイスラムの教えにのっとって
私服の上から肌を覆い隠すグレーのポンチョを係りの人に借りて
彼氏達と笑い合っている

それを通り過ぎると
すぐに目の前にドームが現れた


20100719 (2)




大理石できっちりと整えられた庭園
その向こう側

圧倒的な大きさをしている訳ではないのに
肩に力が入った







進んでいくと廊下の入り口があった






壁、天井
全てがはっきりとした表面を持つ大理石で
限りない幾何学的完璧さを脅迫してくる

曲線までがあいまいな優しさを許さない


20100719 (9)



辺りはそれに影響されているのか
緊張感のある静けさが覆っている



進んで行くと壁に装飾や
天井に荘厳な木細工がアクセントを入れてくる

それを相変わらず完璧な床が見事に反射させている


20100719 (3)







国王がお金と時間を掛けて近年作らせたというグランドモスク
数年前に出来たばかりで
その完璧さ綺麗さはこのオマーンの中でさえ際立っている

周りを囲む回廊は、射し込んでくる日の光で
きちんと統制の取れた明暗を繰り返している


20100719 (10)


最も記憶に残っていたドームは緑色ではなく金色に施されていて
そこを覆うように格子がある
それは肋骨の中に心臓が安置されているような神秘さを持っていて
冷徹な印象を覆っていたこのモスクの中で
突然そこだけ熱い生物の鼓動を感じる


20100719 (11)



そう思ったら
何だかモスク全体が恐ろしいくらい思慮深い動物のように感じられてくる

ただ、その動物は遥かに人間より巨大で
全体を推し量るには恐れ多いくらいだ












大きな扉があった
靴箱にサンダルを入れて中に入る

すると気圧の違いが耳をキーンとうならせて
大きな空間の中にいることを認識する

天井など遥か上に位置して前を見ている僕には当然視界に入らないが
それでも端が眼に入るくらいのシャンデリアが空間の真ん中にいた

当然見上げる
こんなに大きなシャンデリアを見たのは生まれて初めてだった


20100719 (8)






僕はその空間の壁を伝って歩く

壁の装飾に触れながら歩いて正面に向かっていく


20100719 (7)





頭は何を考えているだろうか
何だか動いていない

『絶対』を見せ付けられている

そんな感じがする


止まった思考を補うかのように
無意識に手は物に触れるのだろう





入り口から一番遠い所にやってくる

そこにも少し小ぶりなシャンデリアがあって
壁が唯一凹み、一面装飾で埋め尽くされていた


20100719 (5)


近づいてみるとアラビア文字が潜んでいた
完全に文字と装飾が同一していた


20100719 (6)










確かに歴史が降り積もった
少しでも茶けた建造物の方が味があっていい

金閣寺よりも銀閣寺の方が歴史を感じるし人間臭さを覚え
身近な美を感じるかもしれない

でも、



人間は本当に美しいものには、
『黄金比』とでもいうべき整ったものには、
どんな理屈を持ち出してこようが結局太刀打ちできない

そんな弱さがあるように思う




嫉妬や憧れが生まれ、その完璧さへ向かおうと必死になるが
それは一種の夢であって理想であって
本気で手の届く場所ではない

結果論的に人は、個人では基本的に眺めているのである
しか出来ないのでは無いか

独りで完璧に近づけるには限界がある
だから人は嫉妬や憧れをある程度自分の中に収めて
その代わりに社会性を保っている






この建物には個人では成し遂げられない完璧さが
至る所から匂いたっている

きっとそれは強固な社会性によって
ある個人の特定の完璧さを大人数で追求できたか
それとも、共通の理念を持った人々を選ぶ確かな選別眼を持った個人がいたか


















兎に角

途方も無い気持ちで
僕はこの建物を歩いた



不思議だが
日陰でもずしっと暑いマスカットにあって
床はひんやりとし
涼しい風が吹き抜け
回廊でも暑さを感じない



それは完璧の冷徹さか



でも、








悪い気はしない




20100719 (12)













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最初の出会い


[20100718]





いつもお世話になっているコーヒーショップとは別の場所で
海岸沿いの遊歩道が見渡せるテラス席に座って海を見ていた
時間は夕方だがまだ十分明るい
珍しく今日は風が吹いて外にいても心地が良い

このとても気持ち良い風が
久し振りにコーヒーでも飲みながら外を眺め
考え事でもしてみようという気にさせた


テーブルの上にはオマニコーヒーが
目の前には数枚のポストカード
横にはポケットサイズのイスラム教経典コーラン
























ホテルから歩いて行く場所といえばここら辺だとスークくらいしかない
昨日もスークに立ち寄って周辺を歩いてみた


20100718 (2)


裏道は強い太陽の光を思いっ切り反射する白壁にぎゅっと囲まれている
所々に砦の跡がせり出していたりする


20100718 (3)


珍しいのか、途中途中道行く人々に絡まれ
汗だくの手を握り合い、だらだらの服で抱き合ったりして
満身創痍になりながら帰路についた


その道すがら、ガラス張りで
本来僕には縁の無いような絨毯屋の前で、ふと足が止まった
入り口の外にポストカードが並んでいたのだ


20100718 (5)


日本へ送るポストカードを選ぼうと
よく観光地のお土産屋さんで見かける
そのくるくる回るラックを回していた


『結構いいのあるじゃないか』


ポストカード選びは意外と時間がかかる
送る相手を想像しながら、あーでもない、こーでもない
でもそれは楽しい時間でもある

そんな事をしているとついつい長居してしまって
何度も何度もラックを回転させてしまう



ラックの前のちょっとした段差に腰を掛けている男性が居た
始めは通行人がそこで少し休んでいるのかと思った

オマーンでよく見る光景だが、道端で数人が固まって話をしている
井戸端会議のような感じだが、日本と違うのは
それが全て男性であるという事


だが、店先に長く座っている彼はずっと独りで黙ってのんびりしていた
ここの店員だろうか
何となくこのまま無言で居続けるのもきまりが悪いと思い

「ポストカード一枚いくらですか?」

と聞いてみた
やはり店員だったみたいで

「1枚100バイサだよ」

何だか商売にはあまり力を入れていないのか
それとも何か他に大事な事柄があると言わんばかりの、
ポストカードの値段なんていくらでもいい、といったような、
ふわふわ飛んでいってしまいそうな返答だった


「思ってたよりも安いね
 すごくいいポストカード一杯あっていいよ!」

そう答えてからまた僕はラックをくるくると回し始めた

このまま会話が終わってしまうかと思っていた所に
意外にも彼がまた話し掛けてきた

「どこに送るんだい?」

「日本にいる友達に送るんだよ」

さっきの少し素っ気無い態度とは違って
僕に少しでも興味を持ってくれたようで
何だか嬉しくなった

きっとそれが返答に表れていたのかもしれない
それとも始めからこう聞くつもりだったのか
彼はその直後にこう聞いてきた

「彼?彼女?」


驚いて、彼の方に振り向いた
その時彼の顔を始めてじっくりと見たかもしれない

彼はトーブもオマーン帽も被っていない
でもあごひげをたらふく生やし、その目は優しく笑っていた


「『彼女』、だよ、、
 僕は日本を離れてから一年ちょっと経ったんだけど
 実はその間に色々とあってね、、」


自分でもびっくりするような返答をしていた
そうしたら彼は


「そうか
 実は僕もそういう事があってね、、」




気が付くと僕達は店先で一緒にオマニコーヒーを飲みながら話していた
目の前の海岸線を眺めながら
通りすがる人々を眺めながら













ジャヴィッドはインド西部のカシミール出身だった

カシミール地方といえば日本では
インドとパキスタンの領土問題で有名な場所だが
彼曰く、

「あそこは、ヘブンだよ」




彼は友達の絨毯屋さんを手伝う目的でオマーンにやってきた
その時、ずっと付き合っていた女性と離れる事になった

「離れてしまうのは、本当に難しい事だ」

二人は結局別れる事になってしまったのだという

「男は夢見がちで、女は現実的だ」

なんて彼が言い出した時などびっくりした
なんだか日本で友達と話しているみたいな錯角を覚えた

僕達は男女の難しさをひとしきり話すと
今度は人生観に話が移っていった

歳もお互いに近かった事もあって共感出来る所が多々あった
二人で「わかる!」、「そうそう!」なんて言い合った


場所や環境だけではない
やはり何か共通する人間的な部分が誰しもあるんだ
そう強く思うのと同時に一つの疑問がふと沸いた


彼はイスラム教徒なのではないか

僕はずっと宗教について知りたいという想いがあった
世界は日本で感じている以上に宗教間の溝が深い
と、言われているが、実際その距離感は人の思考にどれ程影響があるのか

こうやって沢山の事に共感できている
その中で、宗教はどこに存在しているのか

こうやってジャヴィッドとは共感できたからこそ
聞いてみたくなった事が沢山出てきた

「答えたくなければ答えなくてもいいから」

そう前置きしてイスラム教についての話を聞いた
彼はやはりイスラム教徒だった
そして彼に話を聞こうと思った僕の直感は正しかった










彼の出身地カシミール地方に住む人々の90%以上がイスラム教徒
だからこそヒンドゥーを国教とするインドと
イスラムを国教とするパキスンタンとの間で領土問題が発生している

そんな中で彼は生まれながらにしてイスラム教徒だった

彼は中学生くらいになるまでその事に疑問を持たなかった
一日五回の礼拝も昔から家族がやってきた事なので
日常の事として自分もやっていただけだった

ただそのうち、

「何で僕はこんな事をしているのか
 何故神はアッラーで、アッラーでしかあり得ないのか
 そうであるのに何故世界には数々の宗教が共存しているのか」

と思うようになっていったという
きっと反抗期のようなものだ


心理学的にもこれぐらいの年齢は
『自分とは何者なのか』というのを考え出す時期らしく
何事にも疑問を持ち始める

自分にもそんな経験があるだけに
それはまたしてもすごく共感出来るポイントだった


彼の中でこの疑問はどんどんと大きくなっていき
そうして彼はイスラム教から一旦離れ他宗教の事を勉強し始めたという

特にキリスト教にユダヤ教

大学での専攻も宗教学を専攻し
沢山の本を読んだという


そしてその後やはり彼は昔馴染みのイスラム教の良さを捉えて
イスラム教へと原点回帰し、今に至るという

結局同じ所に帰ってきた訳だが
彼の言い方を借りれば「前とは全く違う」という
他宗教を知った上での選択であるし
他宗教の存在やそれぞれの良さを認めた上でのイスラム教徒だ、と


この『選択』というのがきっと大きいんだと思う

生まれた頃から日常としてやってきた事と
目の前に選択肢が置かれて自らに課すのとでは










自分の深層心理の中に刷り込まれている数々の習慣に対して
完全なる客観性と批評を加えるのは殆ど不可能に近いけれども

それでもその努力をする、つまりその問題を
自分の目の前に引っ張り出す行為だけでも評価されるべきだし
大きな意味をもたらすと思う


その意味とは
選択肢を選択肢として捉えるという事

選択肢は本来、選べる事が出来るという意味において
対等な位置付けにあるべきだから


さあ、最寄の駅に着いて家に帰る
コンビニに寄ってジュースを買っていくか
バスに乗り継がずに歩いて帰ってみるか
友達に電話してみるか

一見全く同列に感じられないばらばらな選択肢達だけど
どれも選択として可能な事
この時、自分が絶対にしないだろう出来事も出そうと思えば出せる
それを言い出したらキリが無いから選択肢として出していないだけ
という訳ではない
考えに現れないという事は既にその時点で取捨選択がなされている
とも考えられる


『無限の可能性』というけれども、それと選択肢は違う
選択肢は可能性ではなくて実現性だ

目の前に現れた選択肢達は
内容の前に対等に「選択する」、「選択しない」
の二択の天秤に載せられているだけな筈












選択肢の捉え方が変われば
その命題に対する考え方も変わる


ジャヴィッドの宗教に対する熱はイスラム教に戻ってからも
収まっていないようだった

ユダヤにキリストにイスラム教の関係性
そして歴史を丁寧に教えてくれたあと
彼は僕に言った

「日本の宗教観はどう?」

僕は仏教と神道について少し語ったが
説明できているとは言い難かった

でも彼の好奇心は強いらしく
どんなに僕が迷いながらゆっくりと話しても
じっと待って話を待った

「僕は仏教にもすごく興味がある
 知っているかい?世界で一番教徒が多い宗教は仏教なんだ」

その話は本当かは知らないが
彼の好奇心は強かった


結局僕は店の中に通され
奥の事務所にまで通され
コーヒーを飲みながらあっという間に5時間は話していた




次の日も訪ねて僕達は話した

僕は尚吾に借りていた仏教の英訳本を渡した
彼は本当に嬉しそうに全てのページをコピーした
そして彼はお店の上にある自宅に案内してくれ
またコーヒーを飲みながらコーランを見せてくれた
そしていくつもあるコーランの中から小さめの物を僕に渡して

「是非、とって置いて下さい」

と、くれた






彼に一番聞いてみたかった事を
事務所に戻ってコーヒーを飲みながら聞いてみた

「あなたの日常の中に宗教はどれだけ関わっていますか?
 例えばちょっとした日常の中の選択
 今日はスーパーに買い物に行くかどうか
 友達と会うべきかどうか
 車を買うかどうか
 大学に行くかどうか
 彼女と結婚するかどうかまで」

彼は言った

「毎日、毎瞬間、いつもいつも考えている訳では勿論無いよ
 遣りたい事をその瞬間直感でやっているつもり
 そしてふと神に、アッラーに感謝するんだ
 生活は生活、その時にアッラーをいつも感じている訳ではない
 行動としては自分を信じてやっている」

僕の印象としては
彼の考え方、現実に対しての振舞い方は
宗教観に無頓着と言われる日本人
その中にいると自分でも思っている
そんな僕と殆ど変わらないような気がした

「一番大事なのは自分がどう生きたいか
 どの宗教も共通する部分がある
 宗教は中身というよりもまずは全体として
 ただ、どう生きるかの見本であるという事」

驚いた事に僕と同じような宗教に対する感覚を彼が持っていた
その事をイスラム教徒のジャヴィッドから聞くというのは
不思議と新しい事に気づかされたような気分になった






何時間も何時間も話をした
最後にお礼を言う

「沢山の時間を割いてもらって有難う
 とても為になった
 むしろ何でこんなにしてくれるんだい?
 大事なコーランまでくれるというのは」

僕はおぼろげに

「どういたしまして
 喜んで貰えるのが一番ですから」

なんていうような返答が返ってくるのを想像していたのだが
そうではなかった

「これが自分の役目だと思っているから
 自分が得てきた知識を伝える事は必要な事だ
 喜んで貰えたなら良かった
 僕もこうして伝える事が出来た事が嬉しい」

今まで長く宗教について話してきたけれども
不思議とこのセリフに一番宗教臭さを感じた


20100718 (4)




























ジャヴィッドと話した沢山の出来事が頭の中をぐるぐると回っていて
ぼーっと海を眺めている

飛んでいってしまいそうな意識を留めるかのように突然大音量で
一日五回の礼拝の前にモスクから流されるアザーンが流れてきた
あっという間に夜の暗闇はやってきた

僕は手紙をノートに挟んでたたみ、
代金を置いてコーランを持つ




中東にやってきた

強い宗教観をもったイメージの中東
触れた事の無い、ずっと知りたかった事の一つ、イスラム教
それを一カ国目、最初に出会った人にここまで教えてもらった

これに関しては確かに感謝してもいいかもしれない




『アッラーは唯一偉大である』

コーランの始めの文章を繰り返し流すアザーン




きっと僕はこれからも宗教をこれ以上自分には受けれ入れる事はないだろう
でも知るというのはそれとは違う

ジャヴィッドのように

もともとイスラム教徒であるのと
キリスト教を知った上でイスラム教を選択するという事



選択するという事
知るという事
共有するという事



20100718 (6)









欠かせない


[20100716]




朝の寝起きは気分が良かった
音のしない静かな場所だったからよかったのだろうか
すぐに起き上がってコーヒーでも飲もうとロビーへ向かう

ロビーには笑顔を絶やさない
昨日と同じトーブを着たお兄さんが挨拶をしてくれる

朝八時

これでも久し振りの早起きで気持ちは良い具合に上り調子
太陽の光もしっかりとガラスからロビーに注いでくる




昨日、ビールもどきを買った売店へ向かう為に力強く扉の取っ手を掴む
さあ扉を動かそうとする時、
不穏な気配を感じてうきうきだった足が一瞬止まってしまう

ただ今日はそれに躊躇しないくらいの寝起きだったみたいで
一瞬の後に身体は力を押し出して扉を開いた






さっきの気配の正体が一気に身体を包み込む










アツイ!!









独りで叫んでいた

とんでも無い熱気が身体を包み込む
そこらじゅうから泥を投げつけられているみたいに
身体は一気にひるむ


まだ朝の八時、、

どんな太陽してるんだ、と見上げようとするが
もう顔を上げる事も難しい

海岸を横目に見ると、昨日見たキングの船が霞んで見える
砂が原因なのか暑さの陽炎の為なのか


20100716 (1)


でも、こんなんでへこたれてはこの先どうするっていうんだ
と、奮い立たせて何とか前を見るがなかなかしっかりと出来ない
ふらふらな身体に大きく揺れる視線
そんな中に突如人だかりを見つける


何かにすがりたかったのか
売店には行かずに、人だかりがある建物へと向かう

冷房を期待したのだがその建物はドアも窓も無かった
けれども日差しを避けられるだけ全然涼しく感じた
そして別のアツイ活気がそこにはあった

魚市場


20100716 (4)



中東の優等生と言われるオマーン

けれども昨日からホテル周辺で見かける人たちは
誰しも強気な顔立ちと屈強な身体という感じで
何だかイメージと違っていたのだが
どうやらその理由はこれだったようだ

沢山の海の男達が行き交っていた


20100716 (3)



市場という活気はやはり良い

のだが、すぐに喉の渇きを覚えて退散
当初の目的の売店へ向かう事に



日本で言うコンビニのような売店を
オマーンでは『コーヒーショップ』と呼ぶ


20100716 (6)


オマーンの国民的飲料である、コーヒーにサフラン等を入れるオマニコーヒーや
紅茶、食べ物にスナックに軽食も食べられる
ちょっとした市民の憩いの場所だ

僕が行った時も数人の男達が椅子に座ってサンドウィッチらしきを食べていた

まずコーヒーを頼む
それからお腹を満たそうと僕は目の前に座っている海の男に
今まさに出されたサンドウィッチらしきを指差し

「これは何?」

と聞いてみた

そしたら男は無表情な顔を全く変化させずに
おもむろにそれを掴むと無言で僕に差し出した


『やる』


と、



強気な顔立ちに屈強な身体の中で目が語っていた








戸惑いながらも受け取ると
同じ物がまた彼の前に置かれた

「僕達は二つずつ頼んでるから気にしないで食べなさい」

隣に座っている若干スリムな男が言ってくれた


二人共つなぎを着ていていかにも海の男という感じ
スリムな彼が、

この食べ物は『シャワルマ』という豆をすり潰して揚げた物で
中東では野菜と包んでよく食べられているんだ

という事を教えてくれた


20100716 (5)





お腹も満たされて宿に戻る

普通ならこれからさあ散歩だと行きたい所だが
なにせ、暑い

昨日ロビーのお兄さんに聞いた所によると
昼の一時から四時まではほぼ全ての店が閉まるという
活動するなら四時以降にしておきなさい、との事

この暑さなら、納得だ











ホテル内のパソコンを使ったり荷物の整理をしていたら
窓から差し込んでくる光が弱まってきた

早速近くにあるという『スーク』へ向かう
アラビア語で商店街を指す


20100716 (8)


商店街といってもどちらかというと
最近出来たショッピングモールのような出で立ちで
天井の装飾などはとても綺麗にされていた


20100716 (9)


物も沢山あり、恵まれている印象を持つ
中にはシルクロードの中継地点として発展した中東の象徴
ゴールドのお店もよく見かけた


20100716 (12)




そんな中にアバヤを並べたお店があると、つい立ち止まってしまう
そしてアバヤのお店が立ち並ぶ隣に必ずある対照的な色とりどりのお店


20100716 (10)


僕は知らなかったのだが、
どうやらあの真っ黒のアバヤの下で
みなこんな派手なドレスを着ているようなのだ


20100716 (11)


みんなではないかもしれないが注意深く見てみると
何度か黒いアバヤの袖の下に赤や黄色い色を覗かせている人を見かけた

何とも大変だ
こんなに暑いというのに重ね着とは、、









一通り回ると日も随分と弱まってきている
が、日本の真夏の昼間くらいの温度はありそうだ

まだ暑さに慣れてないようで身体はすっかり疲れている
もう帰ろうと海岸沿いの遊歩道を行く


昨日とは違って明るい海岸線
白い建物の背中に沢山のごつごつした岩山が見える


20100716 (2)


砂漠のアラビア半島
国土の殆どを砂漠気候に覆われているオマーンだが
オマーンらしい景色とは、実はこの灰色の山々である

そしてその山のてっぺんには所々に砦の跡
そして現役の砦が至る所にある


20100716 (7)




石油ルートの世界的に重要なポイント
いわゆる『湾岸』の出入り口、ホルムズ海峡を抱える場所

数々の事件に戦争を目の前にそして実際に通ってきたオマーン

中東の優等生と言われるまでの平和を勝ち得るには
やはりこういう物とは切り離せないのだろうか

そういう世界なのだろうか












と、考え出すも、まとまる様子も無く
冷房を求めてすぐに部屋へと戻った

一度体験してしまった冷房
とりあえずオマーンでの生活に冷房は欠かせないのは間違いないようだ





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Profile
    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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