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小っ恥ずかしながらも

20120208















イグアスの滝は昼に見てもやっぱり凄かった
その大きさは確かにルーズベルト大統領夫人が嘆くのもうなずける



20120208 (1)








国立公園内は世界有数の滝を中に収めるだけあってとても広い
一日あっても回りきれるモノでは無い

一言に滝と言っても一筋の流れがある訳では無く
水が大地を侵食して
至るところから轟音を立てて落ちている

その数は小さいのを含めたら数百にも及ぶという


20120208 (2)




公園内にはその膨大な水によって育まれた自然が覆い
初めて見たような動物も徘徊していた


20120208 (3)






公園内に縦横無尽に張り巡らされた遊歩道
そこを歩いていると右に左に
時には下に滝を見る事になる

前日の満月ツアーには遂に姿を見せなかった
虹も見る事が出来た


虹はやはり太陽との相性の方がいいみたいだ




20120208 (4)





















みんなでこれだけはしようという事があった

それが、


『ボートツアー』


である






前回にも書いたように
僕はツアーというものを敵のように異避している訳だが
満月ツアーに引き続き、よりによって
同じ場所で二度もツアーに参加しようとするなど


だが、

満月ツアーは幽霊に惑わされてしまったから致し方無いして
このボートツアーだけは自ら遣りたいと思った


何故なら『ボートツアー』という
可愛い名前をしていながらその別
あの世界でも一番を争う水量と高低差を誇る滝壺へ
飛び込むツアーなのだ


そんなのツアーというよいもアドベンチャーだ

ドラゴンボール世代でなくても
そんなの心ときめいてしまう筈





しかも実際に来てみれば
その姿、余計にゾクゾクさせてくれる


あの遠くから爆音を轟かせていた滝

そこに突っ込んでいくオレンジ色


スピードボートだ


20120208 (5)



ナイアガラの滝にも同じような滝壺ツアーがあったが
あれは遊覧船だった

全然スケールが違う
やっぱりルーズベルト大統領夫人は哀しむだろうか



20120208 (8)












それにしても、あんな突っ込んで果たして大丈夫なのだろうか
と、ワクワクしつつも思ってしまうが実際は

















やっぱりダメである
















もうビショビショどころの話ではなかった


しっかり荷物は防水のバックを貸してくれて
防水具まで付けてくれるけれど

それ以外は別にレインコートがあるわけでもない
というよりあっても仕方無かったろう


だって白煙の立ち込めるど真ん中を
エンジン全開で突っ込んで行くんだから



20120208 (6)



みんながアンコールの声を上げると
今度は水飛沫どころか
滝に直接当てるサービスまで


叫び声も挙げられないくらいの衝撃




20120208 (7)






















みんなでびしょびしょになったあとは
遂に昨日見た『悪魔の喉笛』を
太陽の光の元で見る為にトロッコに乗って

という所で僕は残念ながら独り
街に戻る逆方面のトロッコに乗る


何故か、


実は昨日事件が起こった


この旅始まって以来
僕にとって初めての出来事が



















それは僕がジュンコと街の散歩がてら
銀行に行った時だ




アルゼンチンの困った所の一つなのだが

ここの国の銀行
大抵ATMで一度に下ろせる金額の限度額がとても低い
そのくせに手数料が異様に高い

今まで行ってきた南米の国々も
一様にそのケがあるのだが
それにしても度が過ぎたようにヒドイ

一度に下ろせる限度額は1000ペソ(約18000円)
そこにかかる手数料は一律17ペソ(約300円)


これは観光客には辛い


だってここは物価の安いボリビアやパラグアイならいざしらず
ブラジルに次ぐ物価の高さの国

そのくせ救いのクレジットカードだって
こっちはそんなに普及していない



仕方無く、まだアルゼンチンに入国してまだ数日
しかもまだ移動もしていないというのに
銀行に通う羽目になっているのだ










三回目となるとどうも気が緩んでしまうものらしい
『いつもの遣り取り』という事で
何も気に留めずジュンコとの話に集中しながら
お金を下ろし銀行を後にする


そうして帰ってから気が付いたのだ




「ありゃ?ありゃりゃ??、、、

 カードが無い、、、」




急いで戻るも勿論無い

旅に出てから足元掬われないように
出来うる限り自分に厳しくしてきたつもりだけど、、、

なんと、

その時の記憶が殆ど蘇らない


一番注意すべきお金関連の時だというのに、、


果たしてATMにカードが吸い込まれたのか
はたまたただ忘れてしまったのか、、



どっちにしても銀行の人に聞いてみるしかない

もう窓口の時間はとっくに過ぎてて
なんとか室内にいる人に助けを求め

明日もう一度来てくれ、という話に



それで今日イグアスの滝観光の前に
銀行開店前から並び
夕方来てくれ、ともう一度言われ
仕方無く切り上げたのだ









ずぶ濡れのまま街に帰って銀行に向かう




が、




「ATMの中にカードは見つかりませんでした」




という悲しい話











独りトボトボと宿に帰ったのだった











だが、

これは自分自身の問題であるし
完全に自分の落ち度であった


これをみんなの前で晒す訳にはいかない


というより

今日は晒してはいけない



何故なら今日はアヤカちゃんの誕生日
(正確にはまだ先だが)を祝うのである


実はここプエルトイグアス
イグアスの滝を観光した後
僕達の進路は遂にバラバラになる




愛二とジュンコと僕はブラジルにあるという日系コミュニティ
『弓場農場』という所へ

片やツウとアヤカちゃんは
アヤカちゃんがニューヨークまで乗って帰る飛行機が出る
サンパウロへ




約一箇月に及ぶ、長かったのだろうか
それともやはり振り返れば短かったようで

そんな共同生活が今日終わるのである




という訳で、今までのお礼もかねて
数日後のアヤカちゃんの誕生日を早めて祝う事になった











僕自身の失態でそれを台無しにする訳にはいかないのである

幸いカードは無くても
お金は手元に残っている

僕は先に街に独りで帰ってきた事をいい事に
街をブラブラしてケーキを買える場所を探し出した





























夕食の時間

ツウが上手く外のハンバーガーを買出しに行くのに
アヤカちゃんを誘い出し
僕達はセッティングを済ませる










この歳になると不思議と
どうしてもハッピーバースデーの歌を歌うのが
小っ恥ずかしい

誰が歌いだすかみんなで目配せし合ちゃう



でも、


そんな歳も、さらに歳を経て
その小っ恥ずかしさも
いつもの事みたいに慣れてきてちょっと楽しかったりもする



そんな感じで

みんなでちょっとした段取り決めたつもりだったのに
ダラダラしちゃった感じでケーキにプレゼント登場



だけど、そんなだけど

アヤカちゃんは思った以上にビックリして
感動してくれたみたいで涙を浮かべてくれている




ついこの間まで全く知らなかった僕達は
ちょっとの時間でもこんな時間を作れる仲になれたのだ



20120208 (9)










僕達は共有した時間を確かめるように
思い出話に華を咲かせる

折角だからそれを書き留めようと
テーブルに置いてあった紙に
思い思いキーワードを書いていく


最初はなかなか最近の事しか出てこなくて


「え?これだけだっけ?」


何て言って焦ったりしたけど
一度タガが外れるとみんな取り合うように書き出して
あっという間に紙は思い出で一杯になった



20120208 (10)





















最後にアヤカちゃんに聞いてみた


「またいつでも待ってるよ!」





「んー、もうこんなキツイ旅はもういいかな、、」





笑顔で言われた





ゴメンねアヤカちゃん
移動とか辛かったよね

確かにこの僕達の5人の旅を象徴するかのように
最後の街プエルトイグアスは散々な出来事が詰まってた





でも最高の思い出が作れて良かったよ!!




















そうして僕達は明日この街を離れて
別々の道を歩む




20120208 (11)











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幽霊君

20120208










そういえば、という感じで
この場所にやってきて急に思い出した記憶があった









人間の記憶というものは
色々と数珠繋ぎのようになっているというのはよく聞く話で

それは言葉同士の繋がりだけじゃなくて
匂いとか音とかにも繋がっているという

色にイメージがあったり
ある音楽を聞くといつも同じ事を思い出すというのも
誰しも経験がある事

それを利用して記憶力を高めるだの
効果的な記憶術だのという商売まであるし

逆に繋がりの中には
自分でもすっかり理由を思い出せない
脈絡の無いものも沢山ある


まあ、日常生活の中では何かの拍子に思い出しても
大概は今の現状とは殆ど関係が無い場合が多くて
そのままあまり気に留めずに
頭から消えてしまっていってしまう事もよくある




果たして何に反応したのだろうか




そんなあやふやで不思議な記憶のインデックスだけど
今回はたまたま時と場所に見事に合致したモノを
引っ張り出してきた
















その記憶の映像はテレビの画面だった


僕の身体はというとそれを遠くから眺めている筈だが
どうもよく分からない
それがどこの部屋で何歳くらいの自分なのか

兎に角、ほぼ記憶の映像一杯にテレビの画面がある


チカチカするその映像の中の画面は
それに輪をかけた様にさらにビカビカの番組が流れている

アマゾンのジャングルを思わせるようなものや
砂漠にそびえるピラミッドを模したものや
世界中のシンボルタワーを並べてたものや
兎に角そんなものが画面中を覆っている

色んな動物や植物の装飾が光った箱が並び
その中に埋もれるように数人が
存在感が埋もれないように大声で何かを叫び合っているような


その中の一人が

『VTRをどうぞ!』

と叫ぶと極彩色と言えるお祭り騒ぎの画面が
パッと真っ暗になったかと思うと
その黒い画面の中で一つまん丸の円がある




『月に浮かび上がる巨大な滝
 そしてその膨大な水飛沫で初めて浮かび上がる虹!』


『夜に現れる虹!』


















記憶の映像はたったそれだけだ

一体何故こんないい加減な記憶が残っているのか分からない
『滝』と『虹』という単語だけが
異様に耳の奥に大きく響くところを見ると
自分の好奇心をそそってたのだろうか




僕は滝に目がなかったり
虹を兎に角追い掛け回した記憶など

それこそ無い


その証拠に僕のこの記憶には
この滝が何処の滝というのは全く無いし
僕がその後、気になって調べようとした
というような意識の繋がりのイメージは全く無い

むしろその時の自分が
そのままその情報を留めようともしなかった
という確信だけ何故かある


不思議なモノで
記憶自体は曖昧なのに
その記憶を留めようとしなかったという事は
ハッキリと確信があるのだがら












でも、

じゃあ何で、実はこの映像が留まってて
今、引っ張り出されてきたのだろう


















もう一度映像を思い返してみる


最近なかなか触れる事の無い極彩色の映像がまた頭を一杯にする

その強烈な華やかさの割りに
嫌悪感も枯渇感も何も感じない平穏な心

どちらかと云えば懐かしさが強い
日本のテレビだ


司会者らしきが言う決めゼリフの後に
また画面が真っ暗になるけれども
その色は真っ黒では無いようだ

まん丸の円はやはり月のようで空は少し蒼く
そして光に照らされて画面の下は黒くなっている

轟音がそこに滝がある事を伝えているが
僕の目に留まっているのは蒼黒い空との境界線
画面の端下にハッキリとした輪郭を作っている影

一本のラインが蒼に食い込んでいて
頭にギザギザを広げている

ヤシの木だ







ヤシの木といえば南国だ

いやアマゾンか?


とすれば

わざわざ日本のテレビでご紹介される
巨大な滝はやっぱり?


というより

このイグアスの滝観光拠点の街にやってきて
無意識だろうとも滝に関する記憶が蘇えってくるというのは
つまりそういう事だろう





















という所までくる頃には
もう僕はこの話をジュンコにしていた



とても曖昧で短い映像だから仔細に説明するのに一苦労だったが
自分でもこの映像を表に出すのは限界があると分かっていたので
二人で街を散歩ついでにツアー代理店にでも顔を出して
さっさとこの想いから開放されようと考えた

そうしたら逆に、余計にこのちっぽけな記憶に
雁字搦めになってしまう結果になってしまった

何故なら代理店に入った瞬間に
目の前の壁に大きく掛かっていた等身大の広告にあった写真が
記憶の中と同じ真っ暗な中に光る満月の絵だったから


やはり黄色い文字でアルファベットがその広告に踊っている









『 FULL MOON tour !!! 』









あやふやな記憶が今の現実の世界に姿を現した

幽霊を見たような衝撃で
僕は腰を抜かしそうになったが
何とか椅子に座って話を聞く事に


普段はツアーなどは目の敵のようにして
眼中にも容れぬ勢いの僕であるが
今は幽霊の正体を確かめたいという好奇心で一杯だ

幽霊は敏感にそれを察したのか
どんどんと僕に擦り寄ってくる

代理店の人は言った










「満月はちょうど今日の夜です」









もしや幽霊に摂り憑かれるとは
つまりはこういう事なのだろうか

もう僕はすっかり身を操られているようだ


今夜の天気はどうか
夜中に街を出て危険では無いか
どれくらいの人が出るものなのか


色々と矢継ぎ早に聞いてみるも
心の中はすっかり舞い上がっていて地に足が付いていない

仕方無い、

相手は幽霊なのだ
足が付く筈がない


それでも必死に抵抗する現実の僕は
強烈なパンチを自分の中に居座った幽霊にお見舞いしようと
最後の質問をする


「値段は?」


「一人260アルゼンチンペソ(約4500円)です」


きっと世界にも有名であろうツアーなのだ、高くも無いだろうが
いつも言う貧乏人にはトンデモ無い額な訳です
(ちなみに今泊まっている宿は一晩40ペソ)

そんな額が飛び出して現実の僕は嬉し哀しだったろうが
幽霊君には全く関係なかったらしい
興奮は一向にやみそうになかった

頭が興奮に突き上げられてよく解らなくなってきている


「ちょ、ちょっと待って
 友達がホステルに居るから彼等に聞いてみないと、、」


「でも人気のツアーでね
 確か2人分しか空いてないんだよ、、ちょっと待ってて」


と言って彼は何処かに電話をかけ始めた
僕はと云えばその間も頭はポッポと湯気がたっている


「今5人分無理に空けてもらったよ
 でも今スグに決めてもらわないと
 さすがにずっとキープというのは無理なんだよ、、」


一体どんだけ古典的な手だよ
と、突っ込む余裕も無く
兎に角僕はホステルにいる愛二達に
話を持っていかなくてはいけないと代理店を後にし

殆ど走り出してしまわないかっていう状態で
ホステルに戻っていた

















まずもって僕が一番断りそうな
高額ツアー話を持ち込んできたので
愛二はビックリしたような顔をしていたが
最終的には5人みんな揃って夜ホステルを出た


残念な事に昼間晴れていた空は夕方から曇り出し
主役の満月は薄雲の向こう側に
虹どころか自分の存在をやっとこさほんのり示している









送迎付きというこのツアーは
まず各各のホテルで客を拾って
イグアスの滝がある国立公園の入口まで連れて行って来れ
指定の時間にまたやって来てホテルまで送り届けてくれる

その間の時間は自由に公園内を散歩できる



という訳では無かった



国立公園内はとても広く
入口から数百はある滝の中でも一番有名で大きな
『悪魔の喉笛』の近くまでは最近出来たという
トロッコに乗って行く


プエルトイグアスの街は観光地の割りには
僕からしたらあまり大きく無く
人通りもあまり見られないような街だったので
トロッコ乗り場の所に薄明かりを浴びて
多くの人だかりが出来ているのにはビックリした


単線のトロッコであるというのと
夜間の安全保証の為か
観光客は大きく三つにグループ分けされていて

まず第一陣がトロッコで行くと
公園の職員がトロッコ下り場から彼等を滝まで誘導し
時間を見計らってみんなをそこからまたトロッコまで誘導
みんなが乗ったのを確認して公園入口まで戻る
そこで第二陣と交替
第三陣はまたその後

というシステムになっているらしい


だから自由には見れない
というより完全にシステム化されている


まあ、仕方無い、ツアーだから



第二陣になった僕達はトロッコ乗り場で
大勢の人達と待った

その間に雲の合間から顔を出したり引っ込めたりする満月



20120207 (1)



これじゃあ同じ日でも第何陣に行くかによって
見れたり見れなかったりしてしまうんだなあ
と、焦りも無く考えていた
何だか昼程の興奮はなさそうだ



もうすぐという所まで来て
幽霊の正体を見るのが億劫なのだろうか

でも実際にそれまでの行程が興奮して
いつの間にかそのもの自体に対する好奇心が
とんでいってしまった事って今までも確かにあったかもしれない

それとも幽霊やそういう類いの話は
やっぱり存在があやふやだからこそ興味をそそるモノなのだろうか

答えが輪郭を持ち始めた辺りから
既にこれは興味深き幽霊の話では無くなってしまったのか


と言ってもこれは観光ツアーだから
しっかりカメラに三脚は持ってきているけれども



20120207 (2)





















それから程無くしてトロッコに乗り
駅を降りてから満月に照らされたり
隠されたりしながら黙々と歩いていると

静かだと思っていた夜道にいつの間にか轟音が
すぐ耳の近くにやってきて

そして突然に目の前に空間が広がる






拍子抜けなくらいな気持ちで来たていたが
正直ビックリする迫力だった



20120207 (4)



良く考えたら満月や虹がどうという前に
僕はあの世界三大瀑布のイグアスの滝を
今初めて見たのだから致し方無いというモノだ


その迫力に圧されるがままに
僕達は写真を撮っていた
係員に「もう時間です」と注意を受けても
なお撮り続けようとするくらいに


でも、その正体はイグアスの滝であって

ちっぽけな記憶から突如現れた幽霊君ではなかった


結局満月は顔を出す時もあったけれども
虹は現れる事は無かった




20120207 (3)














そもそも本当に虹など現れるのだろうか



これはただ『満月ツアー』であって
満月に照らされる滝を見に来ただけなのかもしれない


そういえば代理店の広告には虹という言葉は一言も無かったし
係の人に聞いても返事は生返事というか
いやらしい商売人の都合のいい受け答えだったような気が
しないでもないし

あの記憶の映像にヤシの木の影が写っていただけで
それが何も南米のアマゾン周辺の滝である証拠では無い
というより南米だけですら滝なんていくらでもある


いつの間にか時と場合が『似通った』だけで
勝手に僕の頭の中の記憶がすり替わっていただけかも















どっちにしても

『滝』と『虹』というキーワードを持ったこのちっぽけな記憶


本来ならしゅわっと消えてなくなって
しまいそうなくらいちっぽけな筈なのに

たまたま今の時と場合に沿ったおかげで
新しい記憶と繋がってしまった




この記憶は、









また幽霊のように

すっと僕の前を横切るかもしれない














いや、

現れたり消えたり
なんか同じような気がしてみたり
やっぱり違うような気がしてみたり






記憶そのものが幽霊みたいなモノか





20120207 (5)

















長い一日

20120206-2









アヤカちゃんをバス停のベンチに座らせ
みんなが看病している間
僕は銀行を探しにバスターミナルを後にする


これくらいの観光地のバスターミナルなら
銀行のATMくらいありそうなものだが
何と無いというのだ

街の人に聞きながらドンドンとターミナルを離れて
15分歩いてやっと発見

お金を手に入れてからアヤカちゃんの為に
冷たいジュースを買ってターミナルに戻ると
何故かツウとジュンコしか居ない


「ベンチに横になってたら警備員の人に注意されて
 気分が悪くて動けないと言ったら
 医者がいるからって、ターミナル併設の医務室に連れて行かれた」


という

愛二はその付き添いで向かったらしい


このジュースを渡したいし
何より二人はアルゼンチンのお金を持っていない
見たら二人の荷物丸ごとここに置いてある
このままではきっと不便であろう

それに僕達もいつになるか分からないこの状況下で
先に宿の場所を確認して二人が帰ってきた時
そして勿論体力的に限界が近づいている僕達自身の部屋も
チェックインして用意しておかなくてはいけない



僕は二人に待っているように伝えて
ターミナル内にあるという医務室を探しに
アヤカちゃんと愛二の全荷物を無理矢理肩に載っけて歩き出す



歩き回ってもなかなか見つからないので
バスターミナルの入口に居たタクシーの客引きのオジサンに
何処にあるか聞いてみると


「ターミナル内に医者はいないよ」


という返事
そんな馬鹿な、と思うが何度聞いてもそう言う

仕方無く


「この近くに病院はあるか」


と聞き
言われた方角へ向かう







今までの移動でヘトヘトだというのに
さらに二人分の荷物を持って
パラグアイに負けずとも劣らない日差しを浴びながら
必死に歩いた



辛い事は短時間のうちに済ませれば、、



という例の精神で僕は休まずターミナルから30分弱程歩く
途中人に聞きながらやっとの思いで病院に辿り着く

地元の人がごった返すロビーの中
みんなに異質の目で見られながら
息を切らせて聞く


「に、に、、日本人、、ふ、二人、、」


ハッキリ言って全くスペイン語の出来ない僕
意識も朦朧としていてどう話していいかわからないから
単語だけで訴える


こんな地元の病院

アジア人が二人来てて
その後に変なアジア人が大きな荷物を持ってやってきたら
きっと悟ってくれるだろう

そういう勢いでやってきたが何だか反応が悪い





もう埒があかないので仕方無く
僕は沢山の好奇の目にさらされながら
再び炎天下へ出る


必死に足を前に出してターミナルへ

するとターミナルの方角から
救急車らしきが走ってくるでは無いか

まさか、と嫌な予感がしつつその車を見送る

窓の中を見てみたかったが
やはり中を覗く事が出来ず
そのまますれ違った











やっとこさターミナルに戻ると
やっぱりな返答が


「どこまで行ってたの!?
 今さっきアヤカちゃんが愛二と一緒に車椅子でやってきて
 しっかりした治療が必要だって救急車で病院に向かったよ」


膝がガクっとなってしまいそうになるのを必死に堪える

ここで挫けたら絶対にもう動けなくなってしまう
まだ宿にだって辿り着けてないのだ

きっと今あの病院にあの救急車で行ったに違いない
まだ荷物は僕が背負っている
行くしかない


「やめときなよ
 もう汗びっしょりだし
 絶対この負の連鎖止まらないって
 また上手くいかないよ」


そうジュンコに諭されるも
僕はまたターミナルを後にする
二人の荷物を持って






分かっている、きっとこれは負の連鎖に陥ってる
でもそう考えるなら断ち切るキッカケが無いじゃないか

あそこで待っていたって、じっとしていたって
周りの環境はどんどん変化していって
負の出来事は襲いかかってくる


僕の経験からしてみたら

その負の連鎖の速度を上げてやって
負の時間を少なくしてやる事の方が大事だ

負というモノを考えるなら正がやってくるハズで
時間に限りがあるのなら早めに正の時間に突入すべく
負のトンネルを抜けるべきなのだ



どっちにしてもジッとしていられなくて
というよりも今止まってしまったら
本当に動けなくなってしまう恐怖感があって

自分を鼓舞しながら
僕はまた必死に足を前に出した















さっきよりもさらにおデコを汗でテラつかせながら
僕は受付の女性に訊ねる




、、



も、彼女は「また?何度来ても一緒よ」という
呆れ顔で首を横に振る

そんな馬鹿な、確かに居るはずだ!

こっちの切羽詰ったのを感じ取ってくれたのか
何処かに電話したりしてくれたが
受付の女性はやはり首を振るばかり



さすがにここに来て笑ってしまった

もうここの線はダメだ
きっと会えないだろう



僕は今度は好奇の目に対して
笑顔で応答する余裕を見せて
病院を後にした

いや、余裕はハッキリ言ってないのだが
何かにとりつかれた様に切羽詰っていた感じは
すっかり汗と共に流れて去っていた










きっと変にポッカリと空いた意識のせいだろう

「これから宿を探しに行かなくてはいけないから
 もうちょっと街を知っておく必要がある」

と独りごちて帰りは違う道を通って行ったら
行き止まりにぶち当たって
急な坂を登る羽目になった


もう、本当に笑うしかない






ターミナルに戻ってから
僕は荷物を置きベンチに座り込む

「しょうがないよ、飲みな」

と促されて僕はアヤカちゃんの為に買った筈のジュースを飲む
何がどうあるべきでこうするべきモノ
なんてのがすっかりグチャグチャな状態







さて、二人に今この段階で会うのは諦めた
先に宿に向かう事を考えよう

またすれ違いがあったとしても
そうであれば荷物は宿に置きっぱなしに出来るから
もうちょっと動きやすいだろう


このバスターミナルに着いた時は
まだ歩いて宿を探す余裕があったような気がしたが
もうそんな気持ちは何処にも見当たらない

タクシーで街中へ向かう事に
さすがに5人分の荷物があるのだ






幸いだったのは珍しく僕達は事前にネットで調べて
宿を予約していた事だ
タクシーの運転手に宿の名前を告げる


ぐったりしながら外の景色を眺めていると
僕がさんざん通った病院の前を通った
そしてそのすぐ先が宿だった

もうどう反応していいか分からない






一体今日僕は無事にベッドの中で眠りに付く事が出来るのだろうか
本当にそのイメージがつかなかった
まだまだ先の事のように思えた

そしてその予想は悲しいかな宿の受付についても
やはり間違ってなかった










「今日5人で予約している者ですけど、、」




「え?!今日はもう満室なんですが、、」












ああ、、

僕はきっと気が付かない内にトンデモない程の
悪事をこの人生に沢山成してきてしまったに違いない

懺悔をしたくなるようなこの仕打ち



僕はしっかりネットで予約して
その予約番号も控えてきているのだが
それを出して抗議する力が全く残っていなかった


代わりにジュンコが掛け合ってくれる

その姿を頼もしく、しかしただ呆然と眺める自分


もう心は尖った部分など無くなって
というよりも随分と削れてしまって
すっかり小さく丸くなってきたかもしれない









結局宿には三人部屋だけは用意できるといい

二人は別の知り合いのホステルに融通を聞いてもらって
そこに泊まる事になった


僕とジュンコが別のホステルに泊まる事になったので
ツウに少しの間待ってもらって
僕達はまたリュックを背負って受付の女性と向かう

すぐ近くではあったがもうヘトヘト



もう何もかも信用出来る状態というか
何が起きても不思議では無かったので
受付の女性と新たに紹介してもらったホステルの受付が
話し合っている時も僕はまだベッドで寝る想像は出来なかった





さすがに無事に鍵を受け取った僕は
今日初めて物事が上手く進んだ錯覚に陥って
光を感じるまでだった


きっとそれがトンネルを抜ける鍵にもなったのかもしれない













僕達がエレベーターの無いホステル内を必死に登って
荷物を置いてチェックインの手続きをしにまたロビーに降りくると

なんとそこにはアヤカちゃんと愛二が居るではないか!!







病院から無事に戻ってきたはいいが

何故予約した宿では無くて
不測の事態で初めて紹介されたこのホステルのロビーで
あれだけ会いたくても会えなかった二人にバッタリと会えるのか


















理由がまた不思議だった


実は愛二に、僕は今回の予約した宿の名前と住所を伝えていなかった
本来あまりこういうミスはしないのだが
すっかり5人で行動するのに慣れてしまって
そんな単純な事を怠っていた


では何故二人はこのホステルにやってきたかといえば


僕はペンション園田でプエルトイグアスの宿を探している時に
ネットを見ながら「これどうかな、よさそうだけど」
と軽くホステルの写真を見せていた
そのホステルがたまたま今回紹介されたホステルだったのだ


だが、結局僕は違う宿を予約した

僕は違う宿にした事を伝えたつもりだったが
愛二の頭の中には写真付きで見せられた
そのホステルの方が印象に残っていた


病院に居る時に愛二は持っていた i-Pod touch で
例の写真を頼りにこのホステルを調べ上げ
ロビーの人にアジア人が泊まっていないか
確認している所だったという

(まずこの病院でネットが使えた事がビックリだが
 ここで使えなかったらまた面倒な事になっていただろう)
























こうして無事に5人が揃い
無事に5人ともベッドで眠れる事になった



この長い一日

無事に乗り切ったお祝いに
高いとは知りつつホステルのビールを買い
みんなで乾杯









団体行動とは難しいものである



そして何よりも、

もう無茶が通る身体では無いのである



というのを再確認した日だった




















それにしても書いてても疲れる記事だった、、

写真が無いのはご勘弁
そんな余裕は一切ございませんでした、、













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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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