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出会いの種類

其処彼処が腐って痛んでいる板張りの部屋
電気も無い
鍵も無い
ただファンが回っている
そんな部屋で目を覚ます

そこは
第一次世界大戦時の
満州の奥地の住居みたいな
そんな宿

廊下はどこも音がなり
不思議な匂いが立ち込めている


20091025-2.jpg



入り口は規模のわりにお寺みたいな
重々しい大きな朱色の扉が
その中にはエントランスがあり
そして上半身裸のおじいちゃんが
写りの悪いテレビをつけっぱにして寝ている



マラッカでボックスに教えてもらった
兎に角安い所
7リンギットの宿



昨日は夜遅くの到着だった
本当ならそこから宿探しをしなくてはいけないので
そんな時間に新しい場所へ行くのはナンセンスだが
ボックスにある程度情報を得ていた自分は
その時間についても戸惑う事無く
そして迷う事無くその一番安い宿を選択し
そこに泊まった

他の宿は12リンギットや15リンギット
飛びぬけて安い
意気込んでそこに入っていくが
さすがに安いだけの理由がそこにはあった

夜電気が全く届かない部屋は
間違いなくこの旅の中で一番最低ランクに位置するだろう
そういう直感をみんなに信じさせる確信が持てる
そんな場所だった

確かにボックスが言っていた
あくまで安い所を求めている人
そして薦めていながら自分で綺麗では無いと言っていた
正直だ
そしてこれは確かに
どんなに謙虚めにみても綺麗とは言えない
いやむしろどこをどう謙虚に見ればいいのかわからない

タイムスリップしたような間隔になれるかもしれない
ミュージアムでわざわざ再現するような
そんな時代物の宿だ



そんな宿の中には落ち着く場所も無く
起きてすぐに待ち合わせ場所へと向かう



実は昨日の夜
そこに荷物を置いた僕は
散歩をしたいというよりもそこの空気から逃れるように
街へ繰り出した
そこで一人の青年に出会ったのだ


泊まった所のすぐ近くのベンチで
やっと使えるようになったi-pod touchを使ってネットをしていると
ライターを貸してくれないか
といって声を掛けてきたインド系のマレーシア人がいた

彼はやはりここで沢山の観光客の友達を作っていて
ボックスと同じように
沢山の連絡先と今度は写真を見せてきた
そして僕のカメラで撮った今まで行った所の写真を見たいと言う

そうやって随分と夜遅くまで話し合った
ここで出会ったのは運命だね
君にも妹がいるのか
僕の妹もニュージーランドにいるよ
ニュージーランドにもいったんだ
奇遇だね
僕がペナンでの最初の友達だなんて最高だな
このコーヒーのみなよ
もう友達じゃないね
兄弟だ

そうやってどんどんとテンションが上がっていく
マラッカでの気持ちの高揚がまだ続いていた自分は
それにのめり込んでいく

話が進んでいくと
自分はアパートを持っているし
是非うちに泊まりにきたらいい
お金はいらないよ
今までの友達もみんな泊まっていったんだよ

さっき見せた日本人の彼も
先月二週間家に泊まっていったし

もう宿決まっちゃったのか
そうかそれは残念だ
じゃあ絶対に明日から
だって僕達は兄弟じゃないか

じゃあ明日車で迎えに来るよ
昼にここで待ち合わせよう



何とも有難い話だ
タダよりも強いモノは無い
そして何よりただ安いだけで決めたあの宿から変える事が出来る


始めはただベンチに座って話をしていた

ただ
どうも怪しい
兎に角スキンシップが激しすぎる

帰り際に歩き出すと
やたらと兄弟
といってハグしてくる


別れてから宿へと戻る


そして話し込んだ割には
少しざわついた気持ちで真ん中が窪んだベットに
壊れてしまわないように気をつけながら横になる

そのざわつきはなかなか心から離れない
それはその人の事なのか
それともただこの宿のせいなのか





そうやってあまり寝付けないまま朝を迎えた
ただ気がやっぱり重い
コミュニケーションを取った
けれどもその後味が
きっと自分のせいなんだろうが
マラッカとのギャップを感じて重い

宿のせいにも出来るが
やっぱりそれだけでもなさそうだ


待ち合わせ場所に向かう足取りも重い



待ち合わせ場所でネットをして時間を潰していた
頭の中は今日何処に泊まるか
どうするかを考えていた
ぼーっと画面を眺めていたら
尚吾からメールが来ていた

実は延泊してまだペナンにいるという
そして今日の昼に経つという


ペナン


ペナンってここじゃないか
もう12時まであと15分だ
すかさず携帯を掛ける



二人は僕が泊まっている
すぐ裏に泊まっていた

入っていくと白い壁に
きちんとベットが並べられ
室内にシャワーまでついている
随分と広い部屋だった

今の自分の宿を思い浮かべて失笑する


久し振りの二人は
なんだか逆に白くなったみたいだ
ただ自分が黒くなっただけかもしれないが

荷造りに忙しく
そして話したい事が一気に押し寄せて
なかなか順序良く話せないまま
バスはやってきて
いつ出発するかはわからないけれども
すぐに追いつくよ
そういい残し
二人はタイへ向けて出発して行った



久し振りの会話が何かを動かした

そうだ悶々と考えていてもしょうがない
ここでくすぶっていてもしょうがない
前に行く自体に
今の自分には意味が存在しているんだ

少し長めにペナンに滞在しようと思っていた
でもそれはマラッカにいた時の自分だ
そこにこだわる必要は無い

明日すぐに出発しよう



チケットを探す作業を始める
そしてバスのチケットを
結局一番安かった
二人が泊まっていたホテルで購入する

もう一度銀行でおろすつもりだったリンギットは
今財布の中に7
宿代を払うとちょうど無くなってしまう
そうしたら今日の夕食と明日の朝食を我慢しなくてはいけない

まず昼の時間だったバスの時間を
朝一番に変えてもらう
そうすれば一刻も早くここを去る事が出来
そしてリンギットを使わなくて済む

そして我慢を選択するか
宿代をどうするか

その時には既にインド系の彼の家に泊まる選択肢はなくなっていた

あの宿だ
あの宿はしっかりと管理されている雰囲気も無い
前日の夜もみんな寝てしまって人がいなかった
これからずっと外にいて
夜中に荷物を取りに行って
宿代を払わずに出て行ける事が出来そうだ


しかしそれは何とも後味が悪い
それはやめておこう
ただ頼んでみる価値はあるかもしれない

なんて言っていいか分からないが
とりあえず当たって砕けてみよう


そう思って宿へ向かい
しどろもどろ事情を説明する
困った顔をして

そうか金が無いのか
うーんだったらしょうがない
そのまま荷物置いておきなさい

自分で言っておいて
信じられないくらいあっさり了解が出た

これで結局ペナンに二泊して7リンギットだった訳だ



ここまで来て
朝までのモヤモヤがやっと晴れ
意気揚々と待ち合わせ場所へ向かう

インド人の彼がやってきて
いつも通りコーヒーをおごってくれる

そして事情を説明し
あとせめて一週間はいたらいいよ
兄弟なんだから
タダでうちに泊めてあげるんだからいなよ

そう言い寄る彼を押し切り
ペナン島を回る気力もお金も無く
通りを忙しく駆け回る原付に
隣で騒がしくお酒を飲む欧米人を世間話を聞きながら
夜中まで時間を潰し
そしてまたあの電気の無いベットへと向かう




今日はあんなベットでもよく寝れそうだ



20091025-1.jpg


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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
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