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トゥクトゥクでいいのか

バスの方へ向かうとすぐに声がかかる
今度はトゥクトゥクの運転手ではなくて
バスの方からだ
こっちの人は兎に角観光客を見ると声を掛けてくる


遠くから二人組みが盛んにこっちを見て叫んでくる
その後ろには沢山の人を乗せてもうエンジンがかかっているバスがいる

どうやらもうでるから早くこっちに来い
といっているみたいだ


マレーシアの国境の街のバスターミナルでもあったが
まだ何もわからない来たばかりの観光客を
バタバタの間に兎に角乗せて
高い金額を要求してくるケースがある

それが思い出されてまず警戒した
冷静になるように暫く様子を見ていた


しかし向こうは叫びをやめない
バスはその間ずっと待っている
こうやってアジアのバスは
どんどんとタイムテーブルを壊していくわけだ


ただこっちもバスの運転手に
直接情報を聞きに行こうとしていた訳で
ただ眺めているのもしょうがない

少し状況を把握できた所で話しかける事にした



英語が通じないと見えて
こっちが話し掛けるが全く要領を得ず同じ事を繰り返す
ただパクセーという単語を発すると反応する

そうだそうだパクセー
このバスだ

と自分達のバスを指差す


いくらなんでも偶然すぎる
そして向こうはまだ熱さを持続させている
そのまま乗ってしまうにはまだまだ状況の流れは急すぎる



そうしたらすぐ横から別の声が飛んできた
その方を見るとなんと日本語のおじさんではないか
めげずにこちらの様子を伺っていたのだろう
これは面倒な事になった

ラオ語で話し合い
こっちにこれはパクセー行きだから大丈夫
なんて言って来る


もし自分達でその情報を得て判断すればいいのだが
日本語のおじさんが間に入っただけで
急にその情報が怪しげなものに思えてくる



折角の新しいコミュニケーションも
すぐに日本語のおじさんがバスの関係者と
ラオ語で話してしまう為に前に進まない

もうこれは埒があかない
このバスは諦めるか
そう思い出して少し諦めきれない面持ちで
バスを眺めていると一人の青年と目が合った
向こうの青年の顔を見るとどうやら偶然目を合わせた感じでは無いらしい

学生風のワイシャツを着たその青年は自分を指差した
その動作に気が付いて
その青年に語りかける
そうすると遠くてよく聞き取れないが
口の動きがパクセーのような動きをしている
そしてやはり自分を指差す


その遣り取りに気が付いたバス関係者が
そうだそうだといわんばかりに
学生風の青年の下に走り寄って
パクセーと言いながら指差す


その学生風の青年はパクセーまで行くんだ


青年の顔立ちをもう一度しっかりと眺めると
別に何かのグループとかそういうのに関わっている
何かの役を演じているという感じはとりあえず全く受けない
まだ瞳は純粋さを保っているような感じだ
兎に角好印象

今までの人との比較が知らぬ間になされているのかもしれないが
数いる乗客の一人であるには間違い無いようだ

このバスにトライする価値は十分にあるという事だ
少し踏み込んで聞いてみよう



もうエンジンがかかって相当経っている
宿に荷物を置いてきた僕達はどちらにしても
今すぐに乗る事は出来ない

その旨を何とか伝えて
他に今日バスがあるかどうかを尋ねてみる

ただそんな入り組んだ質問がすぐに興奮した相手に
言語の違いを乗り越えて通じる筈が無い
そうしたら日本語のおじさんが何かを喋る
どうやら通訳してくれているのか

もう腐れ縁とでもいおうか
日本語のおじさんを頼るしかない
その間様子を伺う


ちゃんと通訳をしてくれたみたいで
バス関係者は数字を言ってきた
どうやら一時間後にまたあるらしい


ここまできた
ある程度の情報が集まった
この感じを見ると
これだと決めた瞬間にもう動けるようにしておかなくてはいけない
荷物をそろそろ持ってこなくてはいけない

ありがとうを言ってそこを去ろうとする
バス関係者も流石に時間が経ちすぎているのか
あまり深追いをして来ない
バスに乗り込んでしまった


ただ日本語のおじさんだけはまだついて来る


本当にめげない人だ
何でそれでこんなに態度に分かりやすさが残ってしまうんだろう
何か別の職業にでも就いた方がよいだろうに


今すぐに出発するんだったら
今から三人をトゥクトゥクに乗せて宿まで行って
そのまま別のターミナルまで乗せていってあげるよ
同じ額でいい







そこで愛二がもうトゥクトゥクで行ったらいいんじゃないかって言う

もしこれでバスがあったとして
バスで行けたとしてもその先の本来の長距離バスがなかったら
結局もう一泊で余計なお金がかかっちゃうじゃん




いや


いやいや


それは間違っていると思う

その理論自体は間違っていないけれども
でもそれでそのトゥクトゥクに40,000キープを払うのはおかしい
確かに日本円に換算したら大した額ではない
危険性を考えたらそのお金の価値は十分果たされているだろう
でもそれはあくまで日本におけるお金の価値で

僕達は旅をしに来ている
そして勿論それは僕達がパイオニアな訳ではない
随分と前から随分と多くの人が沢山の道を歩いて行った

それを見ていた人達は旅人相手に商売を始める
物価の違いがある事を学ぶ
その商売はただの商品売買だけではない
サービスも含まれる
自分達の目の前を通り過ぎていく沢山の旅人に
色んな人がいる事も学ぶ

戴ける可能性があるなら一番戴いたほうがいいに決まっている
そうして彼等旅人は少しいただけですぐに目の前からいなくなってしまう
後腐れも何も無い

そうやって形作られていった金額

それは今まで旅人が通ってきた道に沿うように敷かれて
僕達はその中を進んで行く
そして僕達は限られた金額を持ってそこを進んでいく
増えはしないのだ


さらには僕達は生活を少しでも覗きに
触れに世界を回ろうとしている

それはお金の価値に関してもサービスの価値に関してもそうだ


それを学ぶにはどうしても提示された金額では意味が無い
そうやってそれぞれの国の人と渡り合っていては
いつまで経ってもその国の生活には入り込めない

完全に入り込む事は無理だとしても
触れるだけでもいい
その手触りは見ていただけの時の自分とは大きく違うだろう
そこが大事なんじゃないだろうか


みんなが使う市バスを使い
みんあが使う都市間バスを使い

そうやって分かる事がやっぱりあるんじゃないだろうか

そこでトゥクトゥクを使えば
向こうが作った観光客用の網にかかって
そこから動けなくなってしまうだろう



その提案はどうしても受け入れられない

もう時間が迫っていて
絶対に今日行かなくては行けないのであれば

でも今まだ昼だ
時間はある
さっきの感じだと今日はまだまだバスはある




そうやって決意を新たにバスターミナルの出口へ向かって歩き出す



もう日本語のおじさんはやってこなかった



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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
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