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会話の繋がり

コーヒーを飲んでゆっくりした時間を過ごしていると
過去にあったもやもやなんてどこへやらいなくなってしまう
そうなると意識が今という時間に戻ってきて
未来を見つめる余裕が出てくる

そうそう僕達は明日の水上マーケットの行き方を求めているのだった

破ってきたノートの切れ端とペンを持って
コーヒー屋の男の子の所へ向かう


前日に水上マーケットについて少し宿の人に聞いていた
話によると水上マーケットで有名なのはカントーという
ミトーからは随分と離れた街だという
そこへ行くには流石にこの街から向かうには難しい
早朝の水上マーケットを見るなら多分前日の夜中にここを出発しなくてはいけない

他にないのか尋ねるとその手前にカイベーという所があるそうな
少し規模が小さいというがそれでも充分だ
この目で水上マーケットという生活の姿を収める事が出来るのであれば
大きさなんて関係無い


知っているのはカイベーという単語だけだ
馬鹿の一つ覚えみたいに男の子にカイベーという単語を連呼する
英語が通じないからだ
そして僕にはまだベトナム語の発音が習得できていない
色んなイントネーションでカイベーと言ってみる

そうしたら何度目かにやっと理解してくれた
そうなると一生懸命伝えようとしている方と
一生懸命頭を働かせて聞き取ろうとしている方と
お互い緊張しながら辛い徹夜仕事が無事に締め切りに間に合って
プレッシャーから解放されたみたいにお互いに安堵の表情を浮かべて
自然に肩を叩き合ってしまう

だがそれで本当に解放された訳ではない
さて今度は行き方を質問しなくては


予想では現地の人が利用するバスが必ずある筈だ
現地の人までがバイクやタクシーばかりを利用するとは到底考えられない
宿の人はそんな物無いとすぐにツアーの話に持っていたが
そんなのは信用できる訳が無い
彼らの生活がかかっているからツアーの話へ持って行きたがるのは当然なのだが

ここ一帯をメコンデルタと称す訳できっと同じ生活圏として繋がりは強い筈
ベトナムの南部は鉄道も通っていないのだから尚更バスという
公共機関の需要はあるだろう
いくらバイクをみんな持っているといっても

そして何よりここはみんながみんな言っている事がバラバラだ


ただこれがまた大変だ
バスという単語すらなかなか通じない
発音の問題なのだろうが何度も言い直しても通じない

男の子の顔がさっきの晴れた顔から一気に曇りだす
このままでは彼の親切心が磨耗しきってしまって
コミュニケーションの糸が切れてしまうかもしれない

急いで持ってきた紙にバスの絵を書く
この際絵が下手なんて恥ずかしがっていてもしょうがない
いついらいかバスの絵を描いてみる
男の子もこんな大の大人が必死に変な絵を書いているのを
不憫に思ったのだろう
覗き込んで見てくれる




いくら世界的にも有名な観光地でも
やはり国の中で少し田舎の方へ行けば英語はなかなか通じない
カンボジアのシュムリアップで日本語が通じたのを例外として殆どそうだ

言葉が通じないというのは本当に辛い
こんなにも意志の疎通において言葉の占めている割合は大きいモノかと
その大きさに愕然としてしまう

壁に向かって闘いを挑んで
何度も体当たりをするけれども
結局疲れ果ててぼろぼろになった身体だけが残る


言葉を越える世界
文学などで描かれるキレイなストーリーや心理学などの学術的にも
コミュニケーションには言葉だけではなく身体の動きや表情
いわゆるボディランゲージ
そして周りの環境や持っている知識など
沢山の要素が絡まって成り立っている
むしろ潜在的に強く作用するのはそういった面で
言葉はあくまで補助でしかない
そんな話はたらふく存在しているというのに

だというのにどうしてもやはり
通じなくてどうしようもなく途方に暮れてしまって
その時の虚脱感といったら無い
まさに八方塞りという感じ
疲れがどっと身体中にのしかかる


そんな思いをこの東南アジアで何度か経験すると
コミュニケーションに対する幾ばくかの恐怖感が奥底に芽生える
旅をして現地の人とすれ違えばすれ違うほど
芽は成長していく


決して話しかけなくなるという事は無いのだが
伝わるか伝わらないかに対して妙な諦めが出来てしまって
どっちでもよくなってしまったりするのだ
そうなるのは本当に怖い



コミュニケーションは最低二人の人間で成立する
まずは僕
そして正面にいる君
その間には4つの動作が繰り返される

僕が伝える動作
君が伝える動作
僕が受け取る動作
君が受け取る動作

コミュニケーションを熱く深くしようとするのなら
僕に出来る事は二つしかない

僕が一生懸命伝える努力をして
僕が一生懸命君の伝えてくるモノを受け取る努力をする事だ
その大事な所を諦めが支配してしまったら
到底素晴らしいコミュニケーションなんて取れたもんじゃない

最終的には会話というモノが社会性に結びついている
そこから会話が乖離してしまって
必要性が失われ同時に社会性も失われていくような気がする



それは何としても避けたい
自分にとっても
これから出会うであろう沢山の人との時間を思っても




愛二は以前から紙とペンを出歩く時に持ち歩いていた
僕は英語が通じればそれでいいと思っていた
そして中国語も少しかじっているのでそれで何とか成ると思っていた
さらには先に書いたボディランゲージの力をどちらかというと強く信じている方だった

だが今日宿を出る時に
時間の無いメコンデルタでの観光
今回はしっかりと情報集めをしないと何も出来ずに終わってしまう
必要な正確な情報を短時間に手に入れなくてはいけない

そういう事をおぼろげに思って
ノートの切れ端とペンに手を伸ばした



それらは早速役に立ってくれた
稚拙なバスの絵は何とか通じたらしく
男の子の顔はまた緊張から解放された顔になった
奥に引っ込んで行くがその足取りは力強く
理解した足取りだったので僕も心配しなかった

中から男の子のお母さんと思しき人が出てきた
僕の質問を理解してくれてお母さんに聞いてくれたのだろう

二人は店の外に出て道の先を指差す
バス
カイベー
2キロ先
の三つを繰り返す

男の子はしっかりと僕の目を見て情報を伝えてきてくれている
その実感が簡単な質問の遣り取りだけなんだろうけれども
充分達成感と気持ちの良い温かさを心に与えてくれる


人とのコミュニケーションは生きて行くには必ず必要な物だ
そこに温かさが内包されているというのは幸せな事だ
そして一つのコミュニケーションが成功すれば
その先にまた次のコミュニケーションが待っている


カイベーとバスターミナルの名前
それを男の子に忘れずに書いてもらう


まだ道の向こうを指差してくれている男の子


その先には次の会話が待っている
会話の繋がりを示すサイン




20091218-7.jpg


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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
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