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詐欺か親切か


岸に着きながら河の流れに上下する船ように
ゆっくりと時間に揺れているようなホイアンの街




愛二と朝食を食べて宿に戻った後だ
フエ行きのバスとその後ラオスへ行くバスのチケットを調べる為に
外へもう一度出た時だった


宿の目の前のバイク屋で1人の女性に声を掛けられた
僕の母親くらいの歳
優しく英語で語りかけられた

さて一泊といえども今日は朝から活動している
この時間を一体どうやって有効に利用しようか思案していた時だった

だから呼び止められて話しかけられた時は
つまりまだ何をするか決めていなかった訳で
特に考えもせずに立ち話の感覚でその場に立ち止まった

お母さんはバイクの修理にいるみたいだった
話をしていると
気に入られたかそれともこうやって観光客を引き入れているのか
家に来なさいという話になった

まだこの街に来て二三時間しか経っていない
だからどんな人がいるかも分からない
そしてこのお母さんとはまだ二三分しか話していない

お母さんは家には英語が上手な娘がいるし
マッサージとかも出来るし
それがもし嫌でも
そこで何もしなくてもいいから
お酒でもお茶でもしながら一緒に話でもしましょうって
バイクで送っていってあげるし
なんて親切に誘ってくれる

しかもバイクを直しているお兄さんにどれ位かかるか問いただし
時間が掛かると分かると
バイク屋に僕を今乗せて行きたいから代わりのバイクを貸してよ
何ていう遣り取りだろうと思われる事もしている


旅をしているなら素直に疑わしいシチュエーションだが
街の雰囲気とお母さんの顔が不思議ととげとげしいイメージをなくしている
だがそこが一番警戒すべきであるのは事実である

こんな優しそうなお母さんの顔を見ながら言うのは忍びなかったが
一応聞いてみる


僕あんまりお金が無くて、、、


そうしたらこっちの考えを汲み取ったのか
大丈夫
そんな事気にしなくて大丈夫だから
バイクで送るのなんて勿論タダよ


お母さんはやっぱりこの通り親切な人であってくれたという事に安心する
その優しさに乗じてもう一つどれ位の距離か尋ねる
そうしたらバイクで二三分だという

それなら歩いても帰ってこれる

その時にはもう行こうと思っていた


友達も今宿にいるので聞いてきます
少し待っててください



戻ってきた時には娘と息子がバイクで来ていた
お母さんは笑顔で僕達を迎えてくれる
ただバイクはまだ直っていない
僕達はお母さんにまた後でと言い残し
二人のバイクの後ろに乗って動き出す



着いた所はなんと美容室だった
内装は白い壁で覆われていてとてもキレイにしてある
どうなっているのかわからないまま薦められる席に座る
まさか結局あのお母さんも、、、
そんな悲しい妄想が頭をよぎる

娘さんは確かに英語が達者だった
ただ持ってきたラミネート加工の紙には
カットやカラーの値段がかかれている
裏にはマッサージ

信じたくない現実が今目の前で展開されているのか
一体こういう時はどうしたらいいのだろうか

ただお母さんは嫌ならいいと
飲み物でも飲みながら話でもって言っていたから
そんな子供みたいに
その時の記憶を頼りに娘さんに言ってみる


ちょっと今はこういうのは考えていないかな
さっきの話だと飲み物を飲んだりとか、、、


そしたらここには無いという話
あぁやっぱりそんなに都合の良い話は無いのだ
そう諦めそうになった時
娘さんが何を飲みたいのって聞き返してきた

何だか諦めきれない気持ちが悶々とあって
こっちにきてコーヒーをまだ飲んでいなかった事を思い出し
コーヒーと言うと
じゃあコーヒーを頼みますねって
誰かに頼んで買わせに行かせてしまった

一度疑心暗鬼の中に落ちてしまった心はすぐにうろたえる
いや外に買わせに行かせなくても大丈夫ですよ
それに、、、

みたいな素振りをすると
娘さんも察しがいいのか
大丈夫安いから
観光客が買ったら多分10,000ドンとかするだろうけど
私達が買えば5,000ドンだから



やってきたコーヒーは
ホイアンに来た時から街角でよく見ていた物だった
ホーチミンシティでもミトーでも味わっていない
この雨降る寒さの街に相応しい
ホットのコーヒーだ
ベトナムらしく濃くて美味しい

騒がしかった頭はやっと落ち着いた
それからは本当に話をしただけだった

彼女ニーさんの本業はツアーガイド
この美容室は副業みたいだ
アメリカ人に雇われて
ホイアンでの事をすべて任されているらしい

ホイアンという街について
ベトナムの歴史について
伝統料理のカオラオについて
さらにはバスの情報まで
色々な話を聞いた

フエ行きのバスを安く仕入れる事が出来るというニーさん
事前に調べたシンカフェのバス60,000ドンの三分の二の値段
なんと40,000ドンで行けるという
それは是非に頼みたいと思った


途中でお母さんも帰ってきた
今日はホーチミンシティから親戚一同が尋ねてきてくれているらしい
忙しそうにしている


僕達は邪魔にならないように席を立つ
きっともう一度遊びに来ます
バスのチケットもお願いしたいし




そうやって後にした

流石に帰りはバイクで送ってくれなかったけれども
コーヒーはきっかり5,000ドンだった




20091222-1.jpg


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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
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