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生活音楽

空は白い雲に覆われている
ある時に忘れていたかのように冷たい雨を
ぱらぱらと面倒臭そうに降らせてくる

窓から高層住宅に挟まれて見える遠くの湾
その先に見える筈の100万ドルの夜景を彩る筈のビル群は
自慢の高さを曇らせ足元だけ見せている


20100107-1.jpg




家主はしっかりと朝起き
そんなビルに囲まれた都会の霧の中へ
今年初めの仕事へ向かった



僕達は今彼女の家に居候させてもらっている
海外女独り暮らしの家に
大きなリュックを持ったそれ以外にはただ時間しか持っていない男三人が転がりこむ
ぱっと聞けば何とも奇異でどうしようもなく申し訳無い
友という所に完全に寄り掛かり切っている
随分と格好の悪い話なのだが

僕達は今まで東南アジアを通り過ぎて香港にやってきた
都会の景色や人の多さよりも
まず目に付いたのが物価の高さであって

どうしてもどこまでも付き纏ってくる問題だけに
不甲斐無いとは思いつつ彼女の優しさに甘えてしまう


これからとても肩身の狭い
これでいいのかという自問自答を繰り返しながら
一週間を過ごして行く事になる


こう書くとこれまた彼女に失礼であり
ここは一つ開き直って
友はおおっぴらに明るくからっと付き合うべきだ
というような声も何となく聞こえてくるが
どうしてもやはり引け目がちらついてきて
なかなかしんどい事になる


そんな彼女は僕の心を見透かしてあえて煽って楽しんでるのか
私が居ない昼の間調味料や洗濯機を使ってもいいよと
朝出勤の時間でバタバタしている中
近くまで行ってボタンのつけ方に至るまで細かく教えてくれる




そうやってオーストラリア以来の
久し振りの共同生活が始まった




朝起きると
今までなかなか洗濯できずにいたタオル
手洗いでは綺麗になりきれなかったTシャツ
それらを少し他よりも時間のかかるという洗濯機に放り込む

やかんに水を入れてコンロのツマミを捻り
コップにコーヒーの粉を入れ
窓にかかるブラインドを開け
手が届きそうなほどに重く立ち込める白い雲を
何とか潜り抜けてきた日の光を部屋に取り込む

出来たコーヒーを啜りながら
朝の空気に流れ出していた僕を引き戻す

玄関入るとすぐにあるテーブルと椅子
机の大部分を占める彼女の白くて清潔感のある大きなパソコンの前に
僕達の埃なのか砂なのかを纏った黒く小さなパソコンを構え
一人一人が交互にパソコンに向かう

パソコンをしていない間は
今まで出来なかった大掛かりな荷物の整理をするか
それとも過去の日記の整理か
そして本棚にある新品の本を取り出して読み耽る

昼がやってくると
前日にスーパーで買出しをして残った食材を使って
随分と手にしていなかった包丁を片手に料理する

久し振りの炊き立てのご飯
お湯の中に踊る味噌
かちゃかちゃと高い音を出す食器も久し振りだ
テーブルに幾つも並べられる
冷たい食器からはいかにも上手そうな湯気が上っている

外に出るかまたパソコンに向かうかはたまた本の世界へ飛び込むか
気がつくと時間はもう夕方で
家主が一日中仕事をしている間
僕達は何かをしながらもあっという間に一日を費やしている


仕事をしている彼女の事に想いを移らせると
何と時間とは無責任に流れていくものかと愕然とする
当たり前
同じ時間に身を浸していても
得られてくる対価は計る物差しが違えば全く変わってしまう

彼女の一日の仕事
その積み重ね
それによって今僕が座っている快適な場所が維持されている

その事に想いが至ってまた朝の不甲斐無さのループに陥る
今回はさらに焦燥感までが加わって
さながらデフレスパイラル
何処までも落ちていかねない


何とか払拭しないともう彼女に対して僕は耐えられない


とかそんな重い話でなくとも
何か彼女にしてあげられれば

そうやってみんなで話し合う
さあ今晩の食事は何にしようか
彼女は八時に帰ってくる

スーパーには何を買いに行こうか
誰がどれを作るか
風呂上りのビールは必要だろう

決して僕達の為ではない彼女の為を想って
最高の夕食を作ろうと画策する
少し楽しんでいる向きもある



気が付いたら何だか本当に古めかしいホームドラマの主婦のようだ



みんなで言い合う

そういえば朝のいってらっしゃいの映像を思い浮かべると
男三人が部屋の中にいて彼女を送り出すのは異様だが
行為自体を純粋に見てみると
そうやってずっと繰り返されてきた
生活スタイルの様に見えなくも無い



さて帰ってきたらお決まりのセリフでも言ってやろうか
そんな事をにやにや思いながら
生活っていうのはやっぱり悪い物じゃないなと思う

それは主夫になりたいという事ではなくて
生活の匂いとでもいうのか
生まれてから繰り返されて刷り込まれてきた
僕の中に組み込まれたリズム感のようなモノなのかもしれない




事実まだ滞在時間は少ないが
あっという間にこの部屋の中で過ごす時間に溶け込んでしまっているのだから

みんなで言い合う
ラオスでのベトナムでの
方々のバスや電車での移動の方が今までの香港の滞在時間よりも長く感じる

本当に実感はそうだ
既に何倍も長さが違うのに

香港の滞在時間は順調に過ぎていっている気がする



寝て起きて食事をして眠って
その繰り返しの生活リズム

それが基本だけろうけれども
それに少し安心という旋律を加えて音楽にした時
漂うゆったりとソファで聞けるような生活音楽が

それが今この生活のリズムなんだろう




20100105.jpg


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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
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