スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

迷子の感情

香港に来て一体どれくらいが経ったか

こんなフレーズをわざわざ言う程居る訳ではないが
香港にやってきてから殆ど生活をしている僕たち
あっという間に香港の生活リズムの中に溶け込んでしまった
そんな錯覚を受けてしまうくらいに
時間の進み方に対する意識が薄く遠のいている
気がつくととんでもなく時間が経っているのだ


朝起きて聖子を仕事に見送り
昼は本を読んだりネットをしたり
夕方になれば食事を作って聖子の帰りを待つ
そして食卓を囲んで
旅の話や仕事の話
これからの僕たちの話
ビールを片手に夜遅くまで語り合う

そんな事わざわざ香港でしなくてもいいだろうに
とは思うけれども
やっぱりそれは香港でしか得られないだろう時間だ



簡単に言えばそこに聖子がいるから

元々流れていた香港の流れとは
ようは香港で生活している聖子の生活リズム
そこに僕たちが溶け込んだ

そして僕たちは聖子と過ごした日本での日々に直接飛ぶ事が出来る
聖子が僕たちと共にした過去の映像は
僕たちが世界一周を夢見て憧れ実際に取り組み
形にしていこうと努力していた時期でもある


そうなると
自然と話は過去に飛んでいくし
未来へと視点を移せば刺激的な
久しく忘れていた想像力をかき立てる
ワクワクして仕方が無いような
どうしようもない焦燥感に教われてくる

ポジティブな焦燥感
早くあれがしたいこれがしたい
いてもたってもいられない




そんなんだから
観光どころではなかった

一日中暇なんだからそれでも出る時間はあるだろうに
そういう反論には
僕たちが居たこの一週間は殆ど曇りか雨で
あまり外に出ても気持ちの良い感じではなかったと言っておこう

それに折角だから聖子が休みになる週末に一緒に出歩くのが一番だ
彼女がガイドしていただければ
それが一番良いに決まっている


僕たちは新しい国へ行くといつも困ってしまうのだ
何処行こうにもかなり限定された
若しくは殆ど皆無に等しい知識しか持ち合わせておらず
ひいてはガイドブックすら持っていないので人に聞く土台は無く
さらには何処に行きたいのと訪ねられてもどうしようも無いのだから

その点聖子はきっと僕たちの事を理解してくれている筈、、、
希望的観測にしか過ぎないが





という訳で今日やっと一週間振りに仕事から解放された聖子と共に
4人で香港観光をする事になった

今日は「九龍城」で有名な九龍へ


僕たちが籠っていた聖子の家は香港島
ビジネスの中心がこの香港島に集まっている

テレビや写真などでよく見る
道路にせり出す看板群の親玉がみれるのは
そこから橋を渡ってユーラシア大陸に上陸した所にある
そこが九龍地区だ



久し振りに観光に出るという事で
少し浮き足立っている

という訳でもなく
前日に飲んだお酒がまだ体内に残っているのか
久し振りの外でのコミュニケーションが応えたのか
なかなか外に足が向かなく
結局家を出たのは午後の三時を回っていた



家の近くにあるセブンで昼食を
別の店で前から気になっていた地元の人がよく食べているのを見かける
ワッフルのようなベビーカステラのようなお菓子を購入
目の前にあるビクトリア公園で食べる事に


20100111-1.jpg


天気は良好

木漏れ日に暖まるベンチに座って
道行く人を眺めながらみんなでゆっくり食事

とういう訳にはいかなかった


ベンチどころか
公園の敷地いっぱいに沢山の人がシーツを敷いて靴を脱ぎ
ある人は新聞を広げ
ある人はコンロで鍋をいじり
ある人は友達の髪の毛を切っていた

みんな家みたいにくつろいでいる
いやむしろ家でもやらないだろう大掛かりな事をしている者もいる


20100111-2.jpg



まさにお祭り騒ぎ
だがこれはいつもの変わらない日曜日の風景だそうだ


聖子によると
香港の家庭に雇われているお手伝いさん
フィリピン人やマレーシア人が多いそうなのだが
その人たちが週一の休みである日曜日に
香港中から公園に集まってくるという

コミュニケーションの為か
それともアイデンティティの発露か

ちなみに香港島には大きな公園が二つあり
聖子の家の目の前にあるビクトリア公園はマレーシア人
もう一つ別の公園にはフィリピン人が
それぞれコミュニティ別に集まるという

事実目の前に広がっているのは
黒い頭ではなくて様々な色をしたスカーフだ


だからこれはお祭り騒ぎではなくて
香港人に言わせてみれば
公園で見かける親子でするキャッチボールようなほのぼのした映像と
同じ種類のモノという事になる






バスでフェリーターミナルへ向かう

バスで橋を渡る事も出来るが
折角船で渡れるのだから
たまにしか出来ない事は極力やろうという訳で


乗り場へ向かうと「スターフェリー」という文字が見えてくる
かの沢木耕太郎氏の本を思い出す
本の中での彼の贅沢が確かこのスターフェリーだった筈だ

感慨に耽る程僕は読み込んでいないし
大した想像力も感受性も持ち合わせていないが
入り口の看板を見て少し立ち止まった僕には
それなりに何か引っ掛ける網を持ち合わせていたのだろうか


20100111-3.jpg


本から得られる知識や想像に任せて作られた映像は
写真集やノンフィクションでなければ
視界の映像と結びつく事はなかなか難しい

沢木耕太郎氏の「深夜特急」は
彼の体験に基づく話でありながら
語り口調で少し小説のような別に設定された世界へと飛んでいく感覚になる

まさにそれは僕が知らない見た事の無い
土台の大きく違った世界が描かれているからであって
そして何年も前の話であるからだとは思う
きっとその事が無意識の中で僕はこの映像を生身で見る事は無いだろうな
という距離感を持って読んでいた気がする


20100111-4.jpg




「深夜特急」の旅の始まりであるゲストハウス
その建物が今も九龍の地区に残っていて
今だ沢山のゲストハウスや両替所がある
レートがいいというので国元を香港ドルに両替するという名目で入った時も

へーここが

といったすごく平べったい感情で居ながら
その下で微妙に蠢く心の動揺を感じていた
でもその感情は結局表に現れて来ない事を僕は知っている


20100111-5.jpg



これに似たような事は今までにも何度かあった
じっくりと振り返れば旅だけでは無く
日常の中にもたまに表れていた


得られた知識によって頭の中に表れる映像
それと現実の映像とのギャップ

心の動揺を収めようと意識が働く時もあるし
逆に意識して心の動揺を引き出そうとする時もある

そのうちそういった作業が無意味に思えたり
意識的な作業によって何かを得ようとする事に嫌気が差したり


現実の映像と頭の中の映像が溜まれば溜まる程
二つの間の距離感が様々になってきて
たまに距離の取り方を間違えてしまう

そんな時一体どう感じていいのか
急に呆けてしまったようになってしまう


待ち合わせ場所までの道のり
嫌という程頭に叩き込んでここだという所で道を曲がったのに
目の前に現れた道は想像していた交差点では無く
ただ行き止まりしか無かった時
衝撃が心を一瞬だけ飛び上がらせて
直後にショートしたみたいに立ち止まるような
頭の中は今までの道のりを思い出そうとするのだけれども
空回りしてしまう

それは自信をもっていればいる程
期待感で一杯で足早に歩いていた時程
衝撃は強いような気がする



無理に現実と頭の世界を摺り合わせようとしているからだろうか
その作業は意味の無い事なのだろうか


もともと完全に折り合わない世界

でも頭の中に出来上がった世界は元をたどれば
現実の世界から得られた知識と映像によって成り立っている筈で
繋がりを探し求めてもいい筈だが

でもたまにそれを許さない時がある



例えばエアーズロックを見た時
例えばスターフェリーに乗った時
例えば誰もが知っている人に出会った時


そんな所謂特別な状況において
頭は何かしら反応するべきもののような気がするモノだが
実際に記憶には強く残っている訳で

そこで平静になる心とは一体何だろうか
それは期待外れとかそういうモノとは少し違う気がする

正直にあまり感情が揺れ動かなかった
僕にとっては大した事ではなかった
そういうのとも少し違う

何故ならそういう時
残念だな
という思いすらなかなか思わないからだ

感情が外に出る為の道を間違えた
と書いた方がまだしっくりくるかもしれない
その道の途中で迷ってしまって
何処へも行かずに立ち止まってしまった

そんな感じ


だから感情を助けたくて意識的に誘導しようとするけれども
慌てている僕はなかなか上手く誘導出来ない時がある
無視してもいいような気もするし
でもそこで迷わせるともう戻って来ないような気もする


クールに何事にも冷静に
という人間を装うようにしていた時もあった

その時よくこんな虚無感に襲われる事があった気がする
それはいつの間にか感情が怠けてきてよく道を間違え
その状態をほっといていただけかもしれない



じゃあ感情を無理矢理にでも誘導するのがいいのだろうか

よく笑う人はよく泣く
きっと道を繰り返し通っているから
その人の頭と現実の間には
はっきりとした道がいくつも存在しているに違いない
感情が迷う事が無いんだろう

感情が迷うのはなんだかとても疲れるような気がする
感情的になる方が疲れる気もする
でも出口の無い徒労感よりはマシじゃないか
何故なら現時点で人間は感情から解放されていないからだ


だから


だから感情を沢山誘導してあげる事がいいのかもしれない

幸せな事に僕はこれから沢山の出来事や映像を見ていく
本で読んだ事やテレビで見た事話に聞いた事
僕は意識的にそれらを見ていこうと思う





すっかり夜になった


聖子が最後に連れて行ってくれたのは海岸沿いにある遊歩道


海沿いに出ると向こう側に香港自慢の摩天楼が見える
午後八時になると毎晩音楽に合わせて
摩天楼のライトが踊る


20100111-6.jpg


かの有名な
きっと殆どの人が頭に思い浮かべる事が出来る
香港の百万ドルの夜景


頭の中に映像が浮かび上がる
そして目の前に広がる夜景
僕の頭と視線の先の間には黒く漂う道の無い海が広がっている

そんな道無き道を
真っ直ぐ進む船

淡く道を示すように赤や青のネオンの光が
すぐ足下まで伸びていた



20100111-7.jpg


コメントの投稿

非公開コメント

main_line
main_line
Profile
    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
LAN Twitter
    旅の日記はなかなかリアルタイム更新とはいかないが、twitterならなんとか、、

     → follow me on Twitter

関連日記

共に旅立った同志達のブログ

sallan

I.G.
http://salig.blog37.fc2.com/

SHOGO
http://salshogo.blog37.fc2.com/


共に旅をするパートナーのブログ
ばーちーの、ちるり旅
http://jstyle623.blog129.fc2.com/

最新日記

 → check my all posts

カテゴリ
本 (0)
UAE (4)
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新コメント
SAL
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。