スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

大小


僕の家庭はきっと多くの家庭と同じく
僕をギャンブルの世界から遠ざけようとしてきた

そうしてギャンブルには手を出すなという言葉を子供の頃から心に刻まれ
その時に比べればそれなりに色々な経験が積み重なってきた今であっても
古傷のようにそのような場面になるとずきずきと心が痛む


だからと言って僕も男ですから?手を出さない訳はない
友達と麻雀をやり競馬も一度バイト先の店長と券を買った事がある
バイトで何度か競馬場の中に足を踏み入れた事がある

とまぁ恥ずかしげも無くこんな事が書けてしまうのは
本当に僕の中でそういったものに縁が無かったという事である
麻雀だって点5であたふたし出していたし
競馬だって買ったのはたったの一枚
いくら買ったかは忘れてしまうくらいだからかなりの小額
きっと最低額ぎりぎりだったに違いない

これで僕がどれ程ギャンブルと距離を置いて生きてきたかが
わかっていただけると思う


そんな僕が世界にその名を轟かせるマカオのカジノに
不思議と平静を保って入る事が出来たのは一体どういう事だろうか

おもちゃのようなというか現実離れしすぎた
兎に角金ピカな内装のせいだろうか
僕が居た生活の場とはかけ離れすぎていて
無意識に開き直ったような気分になったというのが近かったかもしれない


20100113-3.jpg





エントランスを入ったすぐのフロアは想像よりもがらんとしていてびっくりした
入り口だって空港の荷物検査の所にあるような
四角い枠をくぐり抜けただけで終わってしまった
四角い枠を抜けてから一体入り口の扉は何処だろうかと探してしまったくらいだ


地元の遊園地の敷地内にある少し寂れたゲームコーナーみたいに
怪しげな色のセロファンがついた電球が
壁にかけられた大きなルーレットの周りにつけられ
ちかちか光っている

目の前には三人のディーラーがお喋りをしながらあくびをしたり何だかすごくラフな感じだ
テーブルには中国人の団体旅行者が何事か叫びあっている

宝くじの番号を決める時に壇上で回されるルーレットのようにディーラーが盤を回す
ただディーラーはすべてを左右するその作業でさえだるそうな顔を隠さない
いや宝くじの時に回すお姉さんの気味悪いほどの笑顔よりは
今の顔の方が程よい緊張感に程度の良い諦めも促してきて
何だかちょうど良いかもしれない

ルーレットの番号毎につけられた出っ張りに
壁に備え付けられた棒が当たっていく
その音は子供の時によく見た痛くないヌンチャクを思い出して
緊張感の無い今の僕の心をくすぐってきて笑いすら込み上げてくる



他には数台のテーブルしかない1階に居ては
気持ちがこのまま盛り上がらずにすぐに外に出る事になってしまいそうだ

すぐに真ん中にあるエスカレーターに乗って二階へと向かう



二階には期待通りの緑のラシャに覆われたテーブルが並べられていて
ディーラーと思い思いの格好をしたプレイヤーとが睨み合っている
いくつかのテーブルには立ち見の客も居る


フロアには沢山のテーブルが並べられているのだが
よく見れば同じゲームが行われているわけではなくて
ポーカーの所もあればバカラの所もある



その中に緑色のラシャではなく白いテーブルがいくつかある

がちゃんがちゃんがちゃん

ディーラーのすぐ左脇に小さな銀色に覆われた鳥かごのようなモノが
中で本当に鳥が暴れているように三回飛び跳ねる
沢山の真剣な目つきの中で鳴らされる音は
似つかわしくない簡単なおもちゃのような音だ
早い人はその音が続いている間にチップをテーブルに置きだす

テーブルには漢字が書かれている
テーブルの大きさの大体左四分の一に大きく「大」と
右の四分の一にこれも大きく「小」と書かれている
その周りには数字の「4」から「17」まで
そして賽の目が「1」から「6」までこちらは図柄で描かれている
「大」と「小」の間には三つの数字が揃ったゾロ目の絵が6つ描かれている

ディーラーがストップの仕草をし
籠を開けるとそこには三つの小さなサイコロが転がっている
見える訳が無いのにみんなが身を乗り出しているのがわかる

するとテーブルに仕込まれたバックライトが光り
ある場所が照らされテーブルが白黒ハッキリと分かれる
「大」と「13」と「3」「5」だ
つまり今の賭けの勝ち負けがまさに明暗を持って示される訳だ


「大小」だ


きっとマカオに来たらこれをやるだろう
やりたいとずっと思っていたモノだ

僕は先に書いたようにギャンブルに至極疎いので
ポーカーなども正確なルールを知らないで
ただみんなでカードを配って
フラッシュの方が強い
いやストレートじゃなかったっけ
なんてやっているものだから
緑テーブルのトランプは多分なかなか出来ないだろう
バカラなどもっての外だ

この「大小」はそれに比べて賽を三つ振って
その合計が11以上か10以下かに賭けるという
とてもシンプルなゲームで
僕でも楽しめると思ったのだ

しかもディーラーと正面きって勝負するのではなくて
テーブルの周りにたかって
思い思いの時に好きにチップをテーブルに出せばいいから敷居は低く
小心者で優柔不断な僕にはちょうどいい都合のいいギャンブルな訳だ


今の場合「大」に「13」に「3」「5」が光った
賽の目は「3」「5」「5」である
つまり三つの目の合計が「13」なので「大」
これが基本
確立は二分の一なので単純に倍率は二倍だ

次に合計の数にも賭けられる
この場合は「13」だ
数字によって倍率が変わり
「1」「1」「2」の「4」みたいに出る確率が少ない数字は
倍率が高くて50倍にもなってしまう

「3」と「5」は出た賽の種類だ
今回は一個の賽が「3」でもう二つが「5」なので
「3」と「5」が光った
倍率は賽の一つの目に対してそれぞれ二倍
だから今回「5」に賭けていれば
二倍が二つなので全部で4倍である


見ていると展開もスピーディーで
やはりこれしかやるものはないと思える

時間帯もあるだろうが周りを見渡すと
立ち見が出ているのは大体この「大小」のテーブルみたいだ
「本気の人々」はまだまだやってこないのだろう
今はまだ5時

どうしようか
どのテーブルにしようか
やっぱりじっくり見てからやる所を決めたいよね
いやむしろやるのか?


そんな自問自答とも独り言とも会話ともつかない遣り取りをしながら
フロアを廻り続ける
たまに立ち止まってじっと眺める
そしてまた流れていく


立ち止まったり流れたりを繰り返すので
三人ばらばらにそれぞれが気になる所を見たりしている

僕と尚吾は一つの初めて見たゲームを見つけて
そのルールを推測したりして少しそこで過ごした
ディーラーが賽を投げるのではなくて
プレイヤーが賽を投げているのが不思議で
興味をそそったのだ

ただ最低掛け金とルールが完全に把握出来ない為に
やはり「大小」のテーブルを探す事に



そうやって戻ってくると
さっき見ていたテーブルに愛二が座っているではないか

もう随分とやっているらしい
こっちを見ながら喋っているとおもむろにチップをテーブルに出す
何かわかったのだろうか

賭けるのに躊躇するのと乗り出すその境界は一体何だったのだろうか
このテーブルにしたからには
何か気が付いた事があるのだろうか


でもその愛二の行為が間違いなく僕の心を一押しした

もう時間が無くなってきたのもある
聖子の仕事が終わるのが8時で香港に帰るのに二時間なので
6時には出なくてはいけない
もう5時になろうとしている

そして愛二がやっていた場所が
やるならこのテーブルこのディーラーだと漠然と思っていたテーブルだった事だ

もうそろそろやらなくてはいけない
ここまで来てやらない訳にはいけない
そう思い出していた時に愛二の姿を見た


その姿は前に進む決意をする最後の一押しになった


コメントの投稿

非公開コメント

main_line
main_line
Profile
    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
LAN Twitter
    旅の日記はなかなかリアルタイム更新とはいかないが、twitterならなんとか、、

     → follow me on Twitter

関連日記

共に旅立った同志達のブログ

sallan

I.G.
http://salig.blog37.fc2.com/

SHOGO
http://salshogo.blog37.fc2.com/


共に旅をするパートナーのブログ
ばーちーの、ちるり旅
http://jstyle623.blog129.fc2.com/

最新日記

 → check my all posts

カテゴリ
本 (0)
UAE (4)
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新コメント
SAL
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。