スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

四次元関数

がちゃんがちゃんがちゃん


床は絨毯が敷き詰められ
緑のラシャはキチンと整えられ静かにカードが滑る
テーブルの周りには無言でカードをディーラーをテーブルを睨む人達

緊張の網にかかっているこのフロアで
そんな事にはつゆも気が付かないで自由に動ける事の喜びを隠さすに
思いっきり羽を伸ばしているような無神経に明るい音が響き渡る

底抜けに明るい人の振る舞いに
何だか冷たさや寂しさを感じるように
延々追い立てられるように動かされる三つのサイコロに
変に同情をよせている

表面に現れた数字のみを素早くディーラーに読み取られ
彼女が隣にあるボタンで数字を入力しテーブルが光ると
サイコロはもう見向きもされず
すぐに銀色の籠に覆われて外と遮断され
また踊らされる



柔な視線の中でチップが無感動に遣り取りされていく
ディーラーは明暗が分かれたテーブルの上で
まず暗い面に置かれたチップを次々にさらっていく

テーブルが無感動であれば人もまた無表情だ
いやというよりは表情が固く無変化だ


光に照らし出される誇らしげなチップには
それぞれの倍率に見合ったチップが足されて
テーブルを滑って元の場所へ帰ってくる

ただ悠々凱旋の筈のチップも
主の表情を変える事は無い
やはり人は無変化を維持しようとしている


フロア全体の張り詰めた空気が
皮膚から身体を冷やして
心の熱から溶け出して溢れてくる蝋を固まらせ
マスクのように身体全体に張り付いている


放っておくと息が詰まってくる
表情が硬くなってくる
身体が重くなってくる



毛穴中から透明の蝋がなめくじのようにゆっくりと溢れてきて
疲れ果てたように皮膚の上で固まる
その上を後から溢れてくる蝋が伝っていく

やっと燃え上がった心の炎は
次から次へと溶けた蝋を外へと出してくるが
外の空気に触れた蝋は身体の動きを止めてくる

顔にマスクがはめられる
次第に手足にも伝っていき
床に僕の蝋が辿り着く
手を伝ってテーブルにまでやってくる
透明だった蝋は周りの景色の色と混ざり合って固まってくる

いつの間にか景色の中に同化してしまいそうで
身体の表面の厚みがどんどん増していって
思考は外界からどんどんと浸食されて
身体の奥の方へ押しやられていく

思考と身体が隔離され
思考は遠くから眺めるようになり
身体は重い鎧のようになっていく



目線はテーブルに固定されてしまう
チップの遣り取りが見えるが焦点が合う訳ではない
ボヤけて輪郭が何重にもなった円が
残像を持って移動していく

さっきまで頭の中に五月蝿く
フラッシュのように明滅していた確率の数字は一向に表れなくなり
ただ目の受容体が得る光の明暗が見えるだけ
いや正確には光を強く伴った場所だけスイッチが入って反応する


そうやって目の前のテーブル
左に書かれた「大」
右に書かれた「小」
文字や記憶というよりも
視界の中の座標として頭の中に落とし込まれていく


気が付くと繰り返しの景色が
だんだんとスピード感を増してくる

大きな光の流れ
この場に漂ううねりのようなものが
薄くぼやけた景色の裏側に蠢いているのが
何となく感じられる

視界にある座標が
横軸縦軸だけではなくて
別の軸が存在していて
今までプロットされた点を通って背後からグラフを描くように
大きな光の曲線を描いて目の前のテーブルを突き抜けていく


そんなもの本当にあるなんて結局のところ信じきっていない僕は
この五感をどう処理したモノかと悩んでいる

少し半信半疑
何を期待しているかもその時はわからない
でも信じるべきかこの世界から離れるべきかを考えて
恐る恐るその流れに手を伸ばしてみる



出たり入ったりを繰り返しながら
最終的に光の流れの中に身を浸してみる

三つのサイコロの音がエコーを持って聞こえてくる

光の流れはすでに関数が出来上がっているのか
先に何処へ向かうのか見える
次「大」か「小」かどちらが光るか
その映像がなんとなく現れてくる

頭の中で「大」が出た時の映像と「小」が出た時の映像を
それぞれ思い浮かべてみて
しっくりとくるのを選んでみる

「大」の方が違和感が無いような
その程度の感覚でテーブルの左側が光っている写真を選んでみる



映画のフィルムのように
目の前の景色が一コマ一コマで構成されていて
次の一コマはどちらの方が流れに沿っているかを選ぶような



すると次の瞬間に「大」が光った映像が実際に飛び込んでくる

不思議な事に5回程これが続いた
何枚もの写真の繰り返しが
違和感無く映画になって流れてきた


驚いた気持ちと疑心暗鬼の気持ちになりながらも
心の奥底が熱くなってきて
身体の外を固めていた蝋が少しずつ溶け出しているのを感じる
手には溶けた蝋のように汗が

少し自由を取り戻した
思考も身体の近くに戻ってくる
気が付くとテーブルの上にまず100香港ドルを放り投げている



コメントの投稿

非公開コメント

main_line
main_line
Profile
    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
LAN Twitter
    旅の日記はなかなかリアルタイム更新とはいかないが、twitterならなんとか、、

     → follow me on Twitter

関連日記

共に旅立った同志達のブログ

sallan

I.G.
http://salig.blog37.fc2.com/

SHOGO
http://salshogo.blog37.fc2.com/


共に旅をするパートナーのブログ
ばーちーの、ちるり旅
http://jstyle623.blog129.fc2.com/

最新日記

 → check my all posts

カテゴリ
本 (0)
UAE (4)
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新コメント
SAL
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。