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二度寝



今日こそ早起きをして
カメラ片手に散歩でもしよう

そうやって決意していたのに
起きれば既にもう遅く
完全に眠気の抜け切っていない身体は
決意をさらに削ごうとしてくる


それを手助けするように
遠くのトタン屋根に当たる雨の音が聞こえてくる

窓からやってくる薄明かりが
奥まで届いてこないで
最近一向に明るくなったためしが無い家の廊下



僕の意識が覚醒したのに気が付いて
開いていた部屋の周りを囲む障子が
慌ててぱたんぱたんと
音を立てて一つずつ主張するように閉まっていくような
最終的に僕を暗いまどろみの中へと押し込もうとしてくる


20100124-1.jpg


そのまま呆然とその感覚を中空を見ながら聴いていると
真っ暗になっていく部屋の中で
徐々に五感の受容体はお辞儀をするように
閉じて暗闇の進行を許す

ぽつんと取り残される僕の意識
感覚器官を閉ざして皮膚を通り越し
身体の中にまで入り込んできた暗闇は
遂に僕の意識にまで辿り着こうとしてくる


僕の意識は必死にもがこうとするけれども
金魚鉢に入れられたばかりの活き活きとした金魚の様に
元気の良さがある一定の膜の中に押し込まれている
明らかに小さな枠の中に収まりきっていない元気
この元気はどんな衝撃的な結末を導くのかという緊張感と
膜を破る事が出来ずに終わるだろうという安心感が
交互にやってくる


結局僕の意識の元気は五感を潰されて
根からの栄養が途絶えた花のように
暗闇にまだ直接触れる事無く萎れていく

そうして最後には暗闇に掴まれて



暗闇が意識を包み込んでくる
周りに見えていた障子や掛け軸は見えなくなり
代わりにプラネタリウムのような
黒の中から幾つもの主張するもの達が奥の方から現れてくる
目を凝らしていくとどんどん黒が分解されてくる

外から見れば黒に見える色
そこには数ある色に動きに速さにすべてが詰まっていて
それらが複雑に絡み合って黒を作り出しているのが分かる

様々なもの達が今までの静寂とはうって変わって
騒がしく僕の周りを飛び回って行く
とても速くそして魅惑的な色を持ったものが
僕には決して捕まらないと言わんばかりに
すれすれを突き抜けて行く

近くを通り過ぎる時にちらっと覗くと
そこには何だか見た事があるような映像が流れている
けれども記憶を辿ろうにも僕の意思で意識が働いてくれない
そうしているうちに映像はあっという間に何処かへいってしまう


街灯が並ぶ夜のハイウェイを走り抜けるように
映像が通り過ぎる瞬間に僕の周りはハッキリと
明るくそれぞれの映像の色で染められ
通り過ぎれば遠くに包まれた黒だけの世界が静寂と共にあって
気が付けばまた同じような光がやってきて
繰り返しの刺激が心を少しざわつかせる


そうやって沢山の映像との遣り取りの後
何かの手違いなのか
それともそう計算されていたのか
一つの光の塊が僕目掛けて飛んでくる



僕はさっきあれ程見る事が出来なかった映像の中にいる
何の違和感も無く映像の中の一人の登場人物として
何故か映像の中の世界のルールをすべて熟知している

今は何だか分からないが
必要に迫られればその時に必ず思い出す
というような確信が僕の中にある

確信が僕の足を前に出させる
十字路にやってくればどっちに曲がればいいのかわかっている
いやその前に足が先に動いている


さっきまでの騒がしさは無い
映像の中の実際の登場人物でありながら
何の音も聞こえてこない
周りを見渡そうとすると突然男が視界に入ってくる
話し掛けられるが音は聞こえない
頭に直接響いてきたような
そして同じく僕は何も音に出来無い
でも僕はうろたえない
そしてちょっとした間の後に
相手が次の言葉を伝えてくる
そして僕はその返答が返ってくるのを知っていたみたいだ


ところで彼は見た事がある
何処でだろうか
頭の何処かが懐かしさを感じている

中学生の頃だろうか
いやそんなに前じゃないような
じゃあつい最近出会ったのだろうか
場所は海外だろうか
そんなに新鮮な場所じゃなかったような気もする

感覚を目の前の映像に合わせて行く
何故なら記憶の引き出しに鍵が掛かっていて
彼を写した記憶を取り出せないからだ

ただ何となく彼の登場するこの映像は懐かしいような気がする



突然電話の音が鳴り響く
実際の音をもって

その波は周りの景色を激しく揺さ振る


けたたましく
僕は顔をゆがめる




そして


周りに広がっていた映像は
スイッチが切られたテレビのように
一気に消え去り


真っ暗な視界の中に再びやってくる





電話の音が誰にも構われずに響き渡っている
ただ繰り返される強く叩きつけるような音は
日曜日の夕方の寂寥感を煽る


暫くして止むと
久し振りの静寂が訪れてくる

少し呆然として
呪縛から解かれた五感が
たっぷりとつけた歯磨き粉で磨いた後のような
清々しい痺れの中にいる事に気が付く



トタン屋根を規則正しく打つ雨の音が聴こえてくる
まだ外は雨が降っているみたいだ




ふと振り返る
記憶を辿る

引き出しの鍵は外されている


彼を思い出す


そういえば彼は何をしているのだろう





暗がりの部屋の外にいる事は間違い無い






20100124-2.jpg


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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
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