次は何時だろうね
次は何処だろうね
僕達三人がまた一緒に出会うのは
それまでに一体僕達はどういう人間になっているんだろう
たった二ヶ月くらいじゃあ人間は変わらないか
いや人間変わる時は徐々にではなくて
あるキッカケがあって突然変わるのであれば
もしかしたら突拍子も無い気付きと共に
すごく新鮮な人間になっているかもしれない
家の近くの地下鉄改札口
今日はここでお別れ
愛二と二人で尚吾を送る
三人一緒ではなくて
二人が一人を送る
改札の前まで来ると自然に歩みが遅くなり
誰とはなしに足を止めみんなが向き合う
何だか顔の表情が緩んで笑いが洩れて来る

改まった恥ずかしさだけではない
きっと次への大きな期待
みんなの前に広がっているそれぞれの道
その先の道がまたぶつかった先まで
おぼろげに遠くに見える
その時の三人が霧に隠れて見える
その時の三人のそれぞれの話がうっすら聞こえてくる
どんな会話がされているのか遠くて聞き取れないけれども
でも
時たま聞こえてくる笑い声はしっかりと聞き取れる
短い言葉を掛け合う
何だか少しチグハグになってしまう
色々な事を言ってみようとしてみるけれども上手くいかない
それでも文章は
しっかりな
身体に気をつけて
頑張れよ
でしっかりと切られる
それが一番重要で一番伝えたい事だから
尚吾は改札の幅ぱんぱんのリュックを背負ってくぐっていく
僕達はカメラだけをぶら下げて見送る
突然
尚吾が日本を一足先に発った時の事を思い出す
あの時も僕と愛二は東西線の高田馬場駅改札から
二人で旅立つ尚吾を見送った
ちょうどあれからもうすぐ一年
その時の映像が
今目の前の景色になだれ込んでくる
周りの景色は二重窓を通して見たみたいに
ピントが合わないようにぼんやりとしてきて
でも一年前と今の映像で合致している僕達三人の位置だけはしっかりと見えて
二つの映像が重なり合っただけ三人の関係性が余計に色濃く僕の目に映る
一年前と同じように尚吾は手を大きく振って小さくなっていく
大丈夫
オーストラリアで再会した時のエネルギーを知っているから
そこに不安は無い
何か最近別れが多いけれども
今口を付いて出る言葉はさようならじゃない
行ってらっしゃい!