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言葉ってやっぱりすごい



新しい刺激は否応無しに人間を興奮させてしまうもので







この間の週末に行ったおじさんの写真講座を開いている学校
ここはセミナー形式になっていて
台北市内の高校の校舎を授業後に利用し他にも沢山の講座を開いている

民族舞踊だったり
油絵だったり
演歌もあったり中には水引なんてのもある

この間の写真セミナーの時のように
仕事に余裕が出てきた4,50代の人達や
もうリタイアしてこれからの新しい人生に向けて
新しいステージを目指している人達が多い

でもそれでもぽつぽつと三十代や二十代の人もいたりして
幅は広かったりする

授業の幅も広ければ受講生の幅も広い


そのセミナーの中には日本語講座というのもいくつかある
実はその中の一つをおじさんが担当しているという


北京語を勉強するとかいいながら
なかなか思うように進まない僕は
ここで飛びついた



日本語講座に行って北京語を聞いてみようじゃないか
日本語を北京語で教えてる場所に行ったら北京語のリスニングになるし
絶対に単語の勉強するはずだから単語力も伸びるし
しかも単語のしっかりとした説明の勉強にもなるし
もしかしたら台湾語だって飛び交うかもしれない
さらにはしっかりとした日本語を知る事になって
それですら新鮮で刺激的じゃないか

メリットしか思い付かない



おじさんに聞いてみると快諾してくれた

という訳で日が暮れてからバスに乗り学校まで出向いてやってきた
本来ならばカードが配られそれを通して行くのだが
僕は今日特別枠で通していただく







もう夜の七時を回っているのに教室はどこも明かりがついている

中を通って行くと何と制服姿の女子学生が沢山いる
あっちの教室にもこっちの教室にも

まさか時間を間違えたのか
でも7時を回ってるし外はしっかり暗い
場所を間違えたのかもしれない
それとも階を間違えたか?

階段を登ったり降りたりを繰り返し
でも確かにさっき二階の奥だって言われたしなぁ
と思ってよくよく教室の中を廊下から覗いて見る

絶対に怪しまれるけれども
それでも少しでもマシなように斜め後ろから
だって中にいるのは女子高生
変な事になったら大変だ

細心の注意を払って覗く




教室の中にある机の数には足りない十数人の女子高生が
それぞれ頭しかないマネキンの髪の毛をいじって何かしている

美容師養成講座?

隣の教室も覗いてみると今度はきちんと生徒たちは座っていて
教壇には先生らしき人が何か喋っているお馴染みの光景
でも黒板に書かれているのはアルファベット

英語講座?





どうやらこの高校の学生も講座に積極的に参加しているらしい
確かにここなら使い勝手もわかっている馴染みの場所だし
変に何処かの塾に行くよりも講座の幅もあっていいかもしない
沢山の年代の人に出会えるし

確か前に日本の世田谷区が同じような事をしようとして
少し揉めていた様な気もするな
それはあくまで学校内の補講の延長みたいな感じだった気がするが




今から行く日本語講座にももしかしたら積極的な女子高生がいるかもしれない
そんな不純な期待がむくむく

まさかまさか
なんて気持ちが昂ぶり過ぎないように否定しながら
今度はどんどん廊下を歩いて行く




少しくすんだ白い壁に良く響く廊下
ドアを通り過ぎると
僕の腰の高さから天井まである、中を良く見渡せる窓が並び
中には白いブラウスを着た沢山の女子高生がきちんと並んで一つの方を向き
その視点の先には向き合っているスーツを着た人が
その後ろには緑色の大きな黒板が教室で一番の存在感を示している
歩いていくとすべての景色は次のドアの影に隠れて見えなくなる
その景色が繰り返される学校の中

右を見れば大きな空間が広がっていて
暗く沈んだ色の中に緑色とオレンジ色が地面に描かれ
白色の陸上トラックのラインが際立って見える




いくつかの教室を通り過ぎるとおじさんが教壇に立っているのが見えた
黒板には日本語が書かれている

ちょっと遅刻してしまった
遠慮がちに教室に入る

すぐに周りを見渡す
期待しないようにして結局意識する事になっていた訳だが
そこには期待しないようにしていた白いブラウスは一つも無かった

まあ目的はそんな所には無い
俺は北京語を勉強しに来たのだ

そうやってさっきまでの自分を軽蔑するが
そんな自分は小さなメモ帳くらいしか持って来ていないし
鞄の中には日本語の本が入っている
何よりここは日本語講座だ




席に座るとおじさんが教科書を差し出した
教壇まで取りに行くとおじさんが生徒に向かって僕を紹介した
それから僕にみんなの前で自己紹介をするように促される

教室には15人程の生徒が
年齢としては大体40代から50代の人が大半
中には30代の人もいるみたいだ

日本語でするべきか北京語でするべきか台湾語でするべきか
いきなり言われてしまったので混乱して
ついつい日本語で言ってしまった

折角ここに北京語を勉強しにきたのに
でもみんなは日本語を勉強しにきているのだから
きっと彼等に取っては僕はネイティブな訳で
それが僕がここの場におけるメリットにもなるのだから

と正当化する





席に座って渡された教科書にプリントを眺める

教科書をまずぱらぱら眺めると当たり前だけど日本語が一杯
期待していた日本語と北京語の単語を併記するページを見つける
ただ見た事の無い赤い線が日本語の上に書いてある

ただの真っ直ぐな線の所もあるし
別の単語だと線の先が少し折れてL字になっているのもある

例えば「あたま」だったら
「たま」の上に赤い線が描かれていて「ま」の後で赤い線が折れている
「からだ」なら「らだ」の上に赤い線が描かれていて線は折れていない


20100314-3.jpg


どうやら発音のアクセントみたいだ
まさか発音のアクセントの表記方法なんて日本語に無いと思っていたから
いや正確には考えた事もなかっただけで確かにあってもおかしくない

だって中華圏でも英語圏でも
僕達がアクセントが難しいと思うという事は
彼等が日本語に対して思う落差と同じだけの筈だから


それにしても日本語のアクセントが
ただの真っ直ぐの赤い線だったり
最後に申し訳なさそうにちょろっと下に折れてるのだけだなんて
すごく貧相に見えて何だか悲しくなってくる

中国語の四声や英語のチェックマークみたいなものとは違って
表記上でも何だか躍動感が無い
まあそれが悪いっていう訳ではないのだが

後でおじさんに聞いてみたのだが
やはり生徒のみんなはアクセントが強すぎて
それをならすのに大変だという




次にプリントを見てみると
意識的にひらがな表記が多くなっている文章が並んでいる
おじさんの子供の小学校の本をコピーしたものらしい
イソップ物語が書かれている


20100314-2.jpg


授業は今このプリントを使って進められている
それぞれの単語や文章の言い回しについておじさんが説明し
たまに黒板に書かれる

黒板に書かれているのを見ていくと
どうやら今日のテーマは形容詞の活用みたいだ

これも後に聞いた事なのだが
講座の中でここのポイントが習ってきて一番最初の難関らしく
ここで諦めてしまう人が多いらしい




知っている人もいるとは思うが
中国語には明確な過去の活用が無い
というか言葉が変化するという事が基本的に無い
全部漢字なのだからしょうがない気もするが

例えば「おいしい」という形容詞
過去の出来事の時はこの形容詞は「おいしかった」となる
(厳密に形容詞に過去形があるのかどうか疑問だがこれは一体どういう形なのだろう)
逆にまだ達成されていない出来事に対してなら「おいしそう」になる
(なんだかここで使われるのが一番形容詞っぽく感じる)
さらに否定となると「おいしくない」となる

同じように「強い」でも
過去なら「強かった」
見た目(北京語だったので結局何形というのかわからない)なら「強そう」
否定になれば「強くない」



北京語だと過去なら完了を表す「了」を最後につけていればそれでいいし
なにより「おいしかった」などという表現は無い
「これはおいしい?」と聞かれれば「ハォツー!」で
「あれはおいしかった?」と聞かれればやっぱり「ハォツー!」なのだ

さらに見た目の「おいしそう」の場合なら本当に「見た目おいしそう」という事になる
厳密に言えば「見た目おいしい」となるのか

否定なら否定語を作る「不」を前につけるだけ
日本語で書いてみれば「不おいしい」となる


すごく簡単でシンプルなルールにのっとっている訳だが
お陰で日本語を覚える時に大変なのだ




今日の授業はここにポイントが置かれていた
黒板に単語が書かれて
じゃあこの単語は否定になったら何でしょう?
とかこの単語は今現在の話だったら?
と質問して生徒があれこれ考えるという感じ

黒板には「い」に×がしてあって→の先に「+かった」と書いてある
みんな一生懸命頭の中で形容詞の最後の「い」をとって「かった」を足し
それを恐る恐る口に出して言っているのだった




これくらいならまぁ感覚でわかるしな
なんてまだ余裕を持って授業を眺めていたのだが
そんな態度を改めさせる例文に出会う




「悪い」をやっている時に例文として
「状況は悪い」が出てきた
それまで僕は授業の遣り取りを端から眺めていて
うんうん、そうそう
なんて偉そうに眺めていた
「状況は悪い」にも何処にも間違いなんてない
というか何処にも違和感が無く聞き流していた

そんな時に
「『は』の所は『が』じゃダメなんですか?」
という質問が飛んだ
別に「は」で大して何も感じていなかった僕は咄嗟に
「それはダメでしょう」みたいに思ってしまった

先生であるおじさんはちょっと止まって考えるふうをして
「確かにそれでもいいんだけど、この場合は、、」
みたいに話し出した

いや!嘘でしょう
と思ってよく考えてみるが
あれ?確かに「状況が悪い」でも大丈夫じゃん

「状況が悪い」「状況は悪い」「状況が悪い」「状況は悪い」、、、
繰り返し繰り返し頭の中で反復して違いを探す
確かに二つとも成立して何処かに違いが存在するのだが、、

その間にあじさんの説明が続いてしまっていて
何を喋っていたのかよく聞こえなかった
でもおじさんが黒板に書いた事が目に入ると
深い深いループに入ってしまいそうだった頭に光が差した

そこには「状況」と「悪い」の間に「は」と「が」が並列して書かれ
「は」から矢印が前の「状況」という所へ向かって書かれ
「が」からは矢印が後ろの「悪い」という所へ向かって書かれていた

次の瞬間プリントの裏にその文章をメモってしまった
まさかここにきて日本語の文章をメモする事になるとは

確かに冷静に考えればそうだ
助詞もそういう働きだ
ただいつも適当に使っているので漠然としか捉えられていないものだから
そんなに断定的に書かれるとどきっとしてしまう

「が」の場合、直前の言葉に重点が置かれている
今現在の「状況」に対して悪い
「は」の場合、直後の言葉に重点が置かれている
もう状況については話題になっていて
既にその話の中でこの状況が「悪い」となる

でも確かにそうだ
他の例文を考えてみる
「天気が悪い」「天気は悪い」
「足が速い」「足は速い」

どれも「悪い状況」「悪い天気」「速い足」と言う事も出来るが
わざわざ逆にして助詞を付け加えるのは
そのどちらかに重点を起きたいという事で









質問をした生徒をついつい見てしまう
すごい、すごいよあなた
そしておじさんも

冷静にこの言語というモノに対して向き合っている
彼等は日本語を「学習」しているのだから当たり前だのだが
偉そうだがすごく感心してしまった


そして自分は、、、
「は」で違和感が無かったから「が」は有り得ないだろうなんて思っていた
でも言語というのはそういうモノでは無い
ある事に対して答えは必ず一つ、という訳ではない
だから表現というモノが可能なんだ

言葉というのを人類が使い始めてから
長い年月を経て今までやってきてなお使い続けているというのはその柔軟性にある訳だ
だって遠い昔の人達が造ったシステムなのに
その当時には考えもしなかった沢山の出来事が今現在には起きているけれども
それでもこの言語システムは機能しているのだ

僕の中では言葉を喋るなんて当たり前だという無意識の想いがあった
でも今僕達人類が言語を使用しているという事実は
本当は凄い事なのかもしれない



僕の頭はいつのまにか数学的頭に偏っていたみたいだ
それを少し恥じる
そしてやっぱりこの日本語講座にきて良かったと思う


20100314-1.jpg





ここには書ききれない沢山の発見があった

その後にやった動詞の活用だって
日本語の動詞には大きく分けて三種類の動詞が存在しているだとか
台湾人には「寄り道」の概念がなかなか理解出来ないだとか
英語のcomeの概念が何で日本人にわかりにくいだとか

思い当たる所が沢山あった






帰りのバスでも頭はカッカしたままだった
すごく元気一杯だった


これは北京語どころの騒ぎではない





だから今度会った時に
全然北京語出来るようになってないじゃんかよ
何て言わないでください

その分きっと日本語が出来るようになっています


20100314-4.jpg





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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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