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音楽ってやっぱりすごい

果たしてこの感動を正確に最初から書く事が出来るだろうか
もう僕は感動を感じてしまったのだからこれを感じる前の事を書くのは大変だ

でもこの日の事は書いておかなくてはいけない
僕の中のまた新しい人生での初体験なのだから



20100319-2.jpg




今日僕はある縁である所にやってきた


時間ぎりぎり
少し息が上がりながら店員と遣り取りして
もう何でもいいから兎に角チケットを
そうやってお金を払ってエレベーターに乗り
そして目的の場所に飛び込む

照明はもう殆ど落とされていて
ステージの所だけ浮かび上がるようになっている

ドアを入ってすぐの所でピチッとしたスーツを着た小柄な青年が話し掛けてきた
まん丸の小さな眼鏡を掛けた少し間の抜けた顔をしている


もうすぐ始まってしまうのでここの席で少しお待ち下さい


早口のささやき声で言われたのでもう一度聞き返す
その時人々のざわめきが急に大きな拍手に取って代わった
ステージを見ると一人の正装した人が舞台袖から歩いて中央までやってくるのが見える

眼鏡の青年にわかりましたと言ってホールの一番後ろの壁にもたれかかる
すぐ近くの席に座るのはやめた
手前の席はもう埋まっていて人の前を通らなければいけないから
何となくその方がいいと思ったし心を早く集中したかった

青年も何か言いたそうだったが
後からやってきた人にまた同じ事を繰り返している間に
もう気にしなくなっていた




ステージ上に現れた正装の人は丁寧にお辞儀をすると
真ん中にある壇上に上がりまたもう一度礼をして観客に背を向け両手を振り上げた
彼の目の前には金と黒と茶に彩られている
彼の腕の動きに合わせて一斉に揃った動きをして一度止まる

さっきまで音で包まれていた空間は全く静かで観客の存在感は一気に消え失せた
遠くに見えていたステージとの距離が縮まったように感じる




振り上げた腕は中空に暫く留まっていたように感じた




決心をつけたみたいに腕がゆっくりと振り下ろされると
それを合図に今まで何処かに隠れていた音がじっくりと様子を伺うみたいに出てきた

その内に色々な音達があっちからこっちから顔を覗かせてくる
出てきた音達が手を繋いだり喧嘩をしたりしながらぶつかって広いホールを走り回る
一度空間に空いた穴はどんどんと大きくなって
そこから溢れてくる音の量は膨らんでいってぶつかりながら勢いを増してくる



気が付くと心臓が早く打っている
さっき早足で駆け込んできたからだろうか
そんな筈は無いだろう
時計を見ると既にここにやってきてから30分は経っている

身体を動かして心臓が早く打っていたら
もっと頭の中は熱くてぼーっとしてそれでいてぐちゃぐちゃな感じだろうけれども
今は何だかすっとんでいて頭は涼しく風通しがいい
音が頭の中で一度反響して通り過ぎていく

壁に寄り掛かっているのがダメな気がして身体を起こすけれども
緊張してる時みたいに足ががくがくしてまた寄り掛かる





あっという間に時間が過ぎた
あとでプログラムを買って見るとここまでで一時間あったらしい
とても一時間も経っていたとは思えないくらいに没頭していた





大きな拍手と共に観客席の照明がつけられ動き出す観客が久し振りに現れる
すぐ後ろにあったドアが開けられて
どうやら僕よりも遅くに来て外で待っていた観客達がホールに入ってきた
僕もその流れに乗って前に向かう

当日券は既に残りが少なく贅沢をするつもりは無かったのだが
二番目に高いチケットを僕は買っていた
でもこの機会を逃したらダメだっていう何だか強迫観念みたいな気持ちがあって
値段などお構い無しで急いで購入した

お陰で僕の席は想像以上にステージに近い10列目
さっきまでとは全く違って上から全体を見渡す所から
一気に局所的に下から見上げる具合になる
それだけでまた心臓が高鳴る





舞台袖からぞろぞろと人が大事そうに楽器を抱えてやってくる
今度は細かい動きや表情まで見える

きちっと唇を横に閉めている人や
自分の楽器をじっと見つめている人や
ただやってるく時間を待って中空を眺めている人や


ぼぅっと人を眺めていたら大きな拍手が巻き起こる
さっきの正装の人と思われる人とそして背の高い金髪の男が
一緒に舞台袖から出てきた所だった

新しく出てきた彼は真ん中の壇上の隣で深くお辞儀をすると
壇上の隣にセットされていた沢山の楽器の中央へと入って行く

気が付かなかったがそこには大きな木琴や
ドラムにシンバルにコンガが置いてある
どうやら今日のメインゲストみたいだ


僕は今日のプログラムの中身を殆ど何も聞いてきていなかった
だから誰がやってくるのか
どんな演奏が聴けるのか
どれくらいの時間なのか
何もわからなかった
それでもいいと思っていたし
何より聞いても判らなかった訳だし

でもそれでも今日は来て良かったと既に思っている
さっきまでの体験もそうだけれども
どうやら今日ゲストがやってきていて
その彼は打楽器を演奏するのだから

僕は楽器の中で打楽器の音が一番好きだから
パンフレットを見てみると『鼓動 心動』と書いてある
うーん、最高だ


20100319-1.jpg




僕はどうしても感情が昂ぶってくると身体を動かしたくなってくる
きっと感情を表す時って人間はそのエネルギーを身体に仕舞っておけないんだと思う
だからそれを発散させる
そうやって身体を動かして人と手を叩き合って
そこらへんの箱とかテーブルとか叩き出す
そうすると音が出る
僕の感情が表に出て具体的な形を持つ
そうしたら楽しくてまた叩く
それがリズムを持ってくると身体は今度はそれに合わせて踊りだす
気が付けばみんなもそれぞれの感情を音に乗せる
それぞれの人間の感情が音という形を取って直にそこで出会う
大きな感情の渦が出来る

何だか打楽器が一番人間にとって自然な楽器であって
それが一番自然な音だと思っている

からすごく好きなのだ


何処かのグループでドラム缶や空き缶とか
日常に溢れているモノを使って音を出して演奏するパフォーマーが居た
今じゃあ何処にでもいるみたいだが
昔子供の時にテレビでチラッと見たその映像が忘れられていない
だから何処の誰がやっているグループかわからない
でも兎に角その映像が今でも離れていない

多分その理由は僕がまだ何も知らない子供だっただけに
打楽器本来の性格にまずは惹かれる事が出来たんだと思う




そんな打楽器のスペシャリストが今すぐ目の前にいる
セットされた楽器はちょうど僕の席の目の前だった




彼は念入りに手をタオルで拭き
いくつもの種類のスティックを取り出して並べ
片手に三本ずつスティックを指して今では壇上に上がった人に視線を向けて頷く

その頃にはまたいつの間にか音はいなくなっていて観客の存在も消えていた
でもすべての集中力が彼に集まっているのがわかる
彼自身もそれを理解していてそしてそれを受けながら
すべての集中力を目の前にある大きな木琴へと注いでいる



木琴の音を聞いたのは一体何年振りだろうか
多分小学校以来だろう



ぽんぽんと気持ちの良い音が一つ一つ生み出されていく
そのスピードはどんどんと速くなっていくそして全体的にはかなり力強い
周りも負けずと激しく音を撒き散らすけれども
マイクが大きくなっているのかそれとも僕の席の位置なのか
兎に角彼の打ち鳴らす木琴やドラムの音は強大だった

突然甲高い金属音が聞こえてくる
懐かしい鉄琴の音だった
叩いている彼は没頭しているのかその音は子供が遊ぶみたいに闇雲に叩いていて
音は強くて耳に突き刺さってくる

何だか初めての経験だからか
久し振りに鉄琴や木琴の音を聞いたからかそれとも僕の位置がやっぱり悪いのか
音が後から後からやってきて周りの弦楽器や管楽器との相性が余り良くないような気がする

でも必死に叩きまくる彼の姿と
たまに笑顔になる彼の顔を見て安心する

多分打楽器は独りでやるものじゃないんだな
みんなで叩き合うものなんだ


実際本来の彼の演奏が気になって家に帰った後ネットで調べると
みんなで叩き合っている演奏が沢山出てきた
そして今日実際に聞いたのとはやはり少し印象が違った

僕はこっちの方が断然好きだな
Martin Grubinger







少しの休憩を挟んで一度引けていた人々がステージ上に戻っている
もうさっきの彼は居なくなり楽器も片付けられ
少し寂しいようなでも本来の姿に戻って落ち着きを取り戻しているかのような
そんな余裕があるように感じられる

今日のシメに向かってゆっくりとまた音がやってくる


さっきは打楽器の彼の姿に気を取られていて全く目に入っていなかった
壇上の必死に腕を身体を動かす人の姿に釘付けになる

音は彼の腕の動きに合わせて彼の持つタクトにつられて引き出されてくる
気持ち良く漂ってみたり激しく打ち付けてみたり

音は自由に出るのは当たり前なんだけど
彼の身体が自由自在に動くからこそ
初めて音が自由に飛び出しているように思えてくる

彼の目の前には沢山の楽器がある
実際に僕が聞くのが始めての楽器も沢山ある
でも彼が引き出してくる音は僕の中の沢山の映像を引っ張り出してくる

ピッコロはしっかりと鳥のさえずりの映像を浮かび上がらせる
どうやら何処かの草原を歩いている

そんな映像僕の頭の中にはあっただろうか
どこから引っ張り出されたのだろう
ピッコロの音なんて実際には始めて聞いた筈なのに
これしかないというような景色が現れてくる


先が小刻みに動く壇上のタクト
腕が水平に波を打つようにうっくりとうねっている

突然その腕に高波がやってきて
身体全体で伸びをしたと思うと
周りに飛び跳ねていた音は一気に緊張して立ち止まる

タクトをつまむ手はいつの間にかしっかりと握られていて
二つのここから眺めても明らかに力のこもった拳が
思いっ切り同時に振り下ろされる


立ち止まっていた音は弾け飛んで新しい音が後ろから走りこんでくる
チェロが低い音を強く押し出してきて
バイオリンがキンキンに神経を刺激して
大型の打楽器ティンパニが盛大に鳴り出して
トランペットが高らかに劇的な景色を演出してくる

急に頭の中は優雅な時間が消し飛んで
白い雲がもくもくと空を覆いだして
大きくなると同時に白から灰色にそして真っ暗になっていく
風が吹き始めて青々と生い茂っていた木々は
慌てふためいたようにざわめきだす

映像を演出するのではない音が映像を引っ張り出してくる
一つ一つそれぞれの音にそれぞれの画が
重なる事によって映写機が回って映画を頭の中で流す




視線は彼の持つタクトに指先にしっかりと固定されているけれども
頭の中には全く違った映像が映し出されている




一つの事を思い出す

子供の頃すごく好きだったディズニーの映画
ミッキーが魔法使いの弟子になる話
主の留守の間に勝手に魔法の杖を使ってしまうお話
本当に好きで何度も見た記憶がある

あれは確かウォルトディズニーが
クラシック音楽を映像に表現したかったのだとどっかで読んだ気がする

今でもすぐに思い出せる
ミッキーの振る魔法の杖に合わせて
腕と足の生えたほうきが綺麗に隊列を作って水を組み続ける映像
水が溢れ砕ける波がミッキーの振り上げる腕に合わせて飛び上がり
ミッキーの振り下ろす様に合わせて流れ星が落ちてきて

そんなダイナミックな映像が忘れられない


今ならよりウォルトディズニーのイメージした事がわかる
今壇上で振られているタクトはまさに魔法の杖に思える
そう考えないと納得がいかないような

彼の振るタクトは自在に音を取り出してくる




音を出しているのは楽器だし
それを作り出しているのは奏者なのだけれども
でもすべてを操っているのはやっぱり彼としか思えない



今までどうしても指揮者という存在が僕にはわからなかった
色々な話を聞いて本で読んだりして
偉大な指揮者の言葉を聞いたりもしてきたけれども
どうしても最終的な所で理解が出来ていなかった

結局練習やリハーサルをするのであれば
奏者は暗譜をしているのであれば
奏者独自に上手いや個性が表れるのであれば
どうして指揮者が必要で指揮者の個性が表れるのか

だからどうして指揮者が必要でありそして一番重要な存在なのか




今すごく理解できた気がした




壇上のあの人は今この空間で一番「人間」なんだ
それはこの地球上とでもいえるかもしれない
最も純粋な人間
感情が溢れるままの

喜んだ時に回りに溢れる伸びやかな映像
怒った時に現れる赤く燃え上がるような映像
哀しい時に降り始める暗い雨のような映像
楽しい時に飛び上がるような明るい映像

映像だけではない五感を通して遣り取りされる
すべてが正直に表現されている
表現しているのが指揮者だったんだ

最も純粋な人間
人間らしいとはやはり感情に純粋であるという事なのか
感情に操られている彼こそ今人間の中の人間なんだ

感情がぶつかり合って矛盾を生み
苦悩したり答えを探したり
かと思えばすべてを弾けさせて開き直ったり

そんなのも吐き出す
あそこの壇上に立って魔法のタクトを持つ
そうして純粋な人間になる
それはそれは人によって全く違う演奏になるのは当たり前だ




彼の一挙手一投足に僕の頭は突き動かされている
今言ってみれば僕は彼の身体を借りて感情を感じている
「準人間」といった所か





気が付くと瞼が落ちそうになっている
後ろから軽い寝息が聞こえてくる
音は波が引いたように静かなフルートの音が飛んでいる


もう瞼が閉じてしまいそうだ
さっきまでの興奮はなんだったんだろう
寝てしまうのか?

そんな事を思いながらイメージがあやふやになってくると
またタクトが振り上げられるのが目に入る
そうすると一気に目が開かれる

シンバルが盛大に鳴らされる
身体も起きる
そうして一気にクライマックスを迎える








指揮者は最後に何度もお辞儀をして舞台袖に入っていった

僕はずっと拍手をしていた
彼はやはり少し出し切ったような顔をしていた

前ならわからなかったでも今ならわかる
あれは本当に疲れるだろう
すべてを出し切るのだから



何で一曲がこんなに長いのか
それは感情を表現するから
だから必然的にストーリーが必要で

それに気が付いたら何だか音楽とは本来こうあるべきだと思えてくる
ストーリーや感情が表現できていない音楽なんて

何だかもうクラシック音楽じゃないと満足出来ないような気がしてくる







僕の人生で初めてのオーケストラは
最高のイメージを持って終わった

外に出ると暗い中に建物がライトアップされて浮かび上がっている
すごく幻想的に綺麗に映る


何だか感情の孔みたいなのがあって
そこに詰まっていたモノが飛んでいってしまったような


20100319-3.jpg





これからも聴き続けていきたいと思った
もし頭がぱんぱんになったらいつでも来ようと思った


恥ずかしながら今頃オーケストラの力を知りました


まだ行ってない人がいたら是非行く事をお勧めしたい
もし何かの壁にぶつかっていると感じていたりしたら特に
一気に感情が解放されて楽になると思う

思い付きもひらめきもきっとそこから導きされる気がする


そして最初は独りで行く事をお勧めする

今外に出てきて確かにこの感動に感想を喋りたくてしょうがないけれども
でもきっと隣に誰かいたら変に言葉を繰って感情の解放が台無しになってしまう
別に無理に話さなくてもいいけど
でも人といるとどうしても何か話さなきゃと思うのが常だろうから

独りで楽になって自分の感情に生み出される映像に浸るべきだと思うから


僕も密かな贅沢としてこれからもきっと独りで足を運ぶだろう
とりあえず台湾に居る間はあと何回かは絶対に行く
だって高いといっても日本に比べたら破格に安いから




それにしてもここにやってきたきっかけがtwitterだとは
まさかtwitterにこんな力があるとは全然思っていなかった




<今日のプログラム>

KODALY(1882-1967) : Dance of Galanta

AVNER DORMAN(1975-) : Percussion Concerto Frozen in Time

MAHLER(1860-1911) : Symphony No.1 in D major, Titan







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hello~~~
I WANT TO ASK YOU
Do you have music sort of like in French, Italian, Spanish...
Can tou introduced to me ??ありがとうございます^^
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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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