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二度目の出会い



パーイから帰ってきたばかりの僕に現実感を思い出させるように
チェンマイはむっと暑かった
あの世界は別世界であったような気にさせる


20100425-1.jpg







当初の予定ではチェンマイに長く居る理由もなかったので
遂にタイを離れてしまう前に好きなアユタヤかパーイになるべくいようという意識が強かった

だけどチャンマイで泊まったゲストハウスで沢山の人と出会い
すべての出会いを結び付けてくれた
ゲストハウスのオーナーのアマラに毎晩のようにやってきたスティーブが
是非パーイからの帰りには寄りなさい

そう言ってくれたのでせめて一泊でも寄ろうという事にした



勿論別れの常套文句だし社交辞令みたいなものかもしれないけど
それは気持ちの問題であって
僕は本当にそう思うのであれば
無理をしても予定を変更してでも顔を出したいと思っている

それはこの旅の中だけじゃなくて
人間関係や社会の中にいても常にそうしようと思っていた

社交辞令を社交辞令と受け取らないものだから
結局図々しくなってしまうのかもしれないけど


でもそうでないと次には繋がらないし
そうでないと新しい事に出会わないし

何より出会いは二度目からだと思っているから














チャンマイのバスターミナルからソンテウに乗る



これは乗合いタクシーみたいなモノで
トゥクトゥクの荷台が大きくなったみたいになっていて
頑張れば10人ほどが乗れる感じ

町の中心部から離れたバスターミナルに停まっているので
運転手に行き先を告げて乗り込む

トゥクトゥクや普通のタクシーならそのまま走り出すが
ソンテウはすぐには走り出さない
人が集まって充分な集客がなされてから発車する

下手したら一時間くらいも待つ時があるらしい


そうやって段々人が集まってきて出発する


ただ乗り合っている人達はすべて行き先が違う

運転手がみんなの行き先を整理してルートを作り出し順番に降ろしていく
降りていく時に乗客はお金を払う


ただいくら人が集まって走り出してもそれから順調に事が進む訳ではなくて
途中の道端で人が手を挙げたりするとやはりソンテウは停まる

降ろしてばっかりでは商売が成り立たないから
途中でもどんどん乗客を乗せていく訳だ


そうやって町をぐるぐる回るソンテウは
やはり他のタクシーに比べて時間がかかる

ただ値段はチャンマイのバスターミナルから中心部まで
トゥクトゥクが一人大体50バーツくらいなのに対して
ソンテウは20バーツで済む



バンコクなどの渋滞が激しい町などでは小回りの効くトゥクトゥクしか見かけないが
北の方の町ではソンテウは地元の人達にもよく利用されていている


大体中心部から離れているバスターミナル
都市間をバスでやってくる安旅行者はトゥクトゥクの半額以下のソンテウを使いたいので
よくターミナルで乗り合いを持ち掛け合って
ソンテウに乗り込んで弱点の発車まで時間がかかる所と
行き先を統一する事でスムーズにしようとする








僕達もパーイから一緒のバスに乗っていたドイツ人とソンテウを乗り合い
運転手側の早とちりからとんでもない所に連れて行かれながら
途中に乗ってきたアメリカ人に助けられて
何とか見覚えのある交差点までやってきて20バーツを払って歩き始めた


いつもならケチな僕達だからソンテウですら嫌って
数キロの距離を歩いたのだが今日はそういう訳にはいかなかった


宿にはアマラにスティーブ
そしてマラッカに続いてバンコクで再会したタダシさんがいるからだった


タダシさんはバンコクで別れた後
僕達はタイの北を回っている間にミャンマーに行きまたタイに戻ってきていたのだ

うまいぐらいに一日チェンマイで僕達のルートは再び交差した
そうであればやはり会わない訳にはいかない

パーイで到着予想時刻と宿をメールしておいた

のだがバスはやはり時刻通りにはなかなかいかないもので
遅れそうな僕達は途中の休憩所で一時間遅れる事をメールしたのだが
バスターミナルへの到着も予想より遅れソンテウを利用したのだ








ソンテウでのトラブルもあり余裕をみた筈の変更時間もぎりぎりで
殆どぴったりの時間にマルボロハウスに辿り着く

久し振りの荷物に小走りで息は少し上がっていた
そんな僕達の姿に中に居た人達が一斉に振り向く

オレンジ色の間接照明の中に
いつもの場所にいつもの影が出来ているのがすぐに飛び込んでくる



アマラとスティーブが
テーブルに一杯のビール瓶を前に座っていた



沢山の人の出入りがあるゲストハウス
一週間振りに帰ってきた場所には僕達の居場所はまだちゃんとあった

彼等はこの暗がりでもしっかりと僕達を認識してすぐに手を挙げてくれた



何と前回一緒に飲んでいる時に冗談のように言っていた
一週間後くらいに帰ってくるという事を覚えていて
前回と同じ部屋の鍵を
「もう綺麗にしてあるから」
と僕達に渡してきた













知らない所で知らない時に僕の存在がある人の中で生きていた事を知る時
僕はすごく幸せを感じる



何だろう

疑心暗鬼とまではいかないけれども
独りで居る時頭の中にいろんな人を想い浮かべるけれども
なかなか像を結ばなくなってくる

頭の中はどうしても青黒いフィルターに覆われていて
集中しなければすぐに輪郭を失ってしまう

日が経っていけばいくほど
自分が弱っていけばいくほど

白い靄のようなものまで現れてグレーの影でしか見えなくなってくる
そうやって一層孤独感を増していく



でも誰かの頭の中に自分が居た事を知るだけで
急に相手が僕の頭の中の靄からぐっと現れてすぐ近くにやってくる



信頼関係の第一歩


信頼の糧



だから出会いは一度キリでもしょうがない
二度目に出会う為にそのまま靄の向こうに行ってしまうのを探しに行く

初めての出会いとは違った
二度目での頭の中での出会い

図々しい僕はその信頼の糧を手に入れる為に
強引に人と再会を望むのかもしれない





でもそれ以上に優しい気持ちに包まれる

愛情のような


無条件の信頼を含んだ母性の本性とはこの事かもしれない












アマラの優しさは僕の中にあった無意識の緊張を一瞬で解き
僕達はすぐに部屋に行って荷物を降ろし
急に重くなった身体をそのままベットに倒れさせる



ただタダシさんは居なかった



アマラとスティーブによるとついさっきまでここで待っていたという



少し呆然とする感じで天井を見上げる






お互いこまめに連絡手段を取る事の出来ない状況にいる
どうしたってすれ違いはおきる
今確かに便利になったとはいえむしろ会える事がすごいようなものだ




でも




だからと言ってこのまま流れてしまう訳にはいかない



出会いは二度目から



出会いは瞬間
でも人生は瞬間で終わらない






タダシさんのゲストハウスを探しにマルボロハウスを出る


20100425-2.jpg




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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
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