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3200 -トレッキング三日目-



朝早く起きる



外に出ると昨日の雨が嘘のように
雲一つ無いまたしても綺麗に澄み切った青空があった

そしてそこにはまた道中姿を隠していた
でっかい山がそこにあった


20100520-1.jpg



見えている山は確かに僕達にぐっと近づいてきた
いや僕達が着実に歩を進めてきている証明となって
より大きくその姿を晒している



昨日洗濯した半乾きの服を袋に入れ
靴下なんかはリュックにくくり付け
ロッジのテラスとでもいうのか外の席で山を眺めながら朝チャイをする


念入りに手足をストレッチしながら
出発までの時間をじっくりと待つ





七時半になって今日は出発した




頑張れば今日のうちにこのコースの最終目的地であるABCに辿り着ける

勿論それは山の機嫌に大きく左右されるのだが
僕達の日程を考えると押しの一手しかないだろう


昨日手に入れた杖を持ち歩き出す







昨日の道中

お兄さんが道端に落ちていたいくつもの枝の中から一つを突然取り上げて
半分に折り僕達に渡してくれた

どの枝もきちんと先が削られていて
近くに家もあったし多分家の人が何かに使うんじゃないかって物だったが
もうお兄さんが折ってしまっていたので
家の人には申し訳ないが使わせて頂く事にした



この杖


よくトレッカーがピッケルを持って歩いている姿をテレビや
日本で山を登っている時に見たりしていたが
果たしてそれは意味があるのだろうかといつも疑問だった

ちょっとは役に立つだろうけれども
それでも持って行く手間とかを考えたら
気休め程度にしかならないと思っていた

何よりそれを持っていると何とも頼りなさそうである

うん、結局そういう事なんだと思う



ただこの杖が実は凄い



いや杖自体は別にただの枝なのだが
一体これを無しでどうやって初日の地獄の石段を登ったのか
今では想像すら出来ない

足だけで戦える道では無い
手も使って全身で戦わなくてはいけない

今ではこの杖は無くてはならない必需品となった
杖をなめたらいけない







ただ今日は杖の一番の活躍の場である急な上り坂が一向に現れない
平坦なしかも土に覆われた優しい道がずっと続いている


20100520-2.jpg



今までに無いスピードで進んで行く


ちょっとの距離を進むのにすごく時間がかかっていたのが
あっという間に進んで行く

これは本当に今日中にABCまだ辿り着いてしまうのではないか
そんな気を起こさせる
そうするとさらに足は回転していく


今日は周りの景色を見る余裕もある

勾配とは本当に人間に余裕を無くさせてしまうのだ


20100520-3.jpg







周りは木々に囲まれて
山の表面ではなくて中腹を潜り込んで歩いていると言う感じ

こういうのをこっちでは『ジャングル』というのだが
日本で想像するジャングルではない
いわゆる『山道』である


20100520-4.jpg



日本でトレッキングと聞いていつも想像していたのは
まさにこういう道を延々と歩いて行くというものだった


木々が周りを覆い
葉っぱの隙間からこぼれる日の光の中を
落ち葉を踏みしめながら歩いて行く

たまに地面が湿っていたりして
その近くに湧き水が出ていたり
ちょっと行くと岩場になって湧き水が集まって川になった水が
谷に向かって落ちていっているような

まさに僕はこんな道を想像していた




実際にいくつかの山を日本で登った時は
こういう道だった気がする




日本で山登りを楽しむ時




僕の今までの経験とイメージでいうと
それは車でお望みの山の麓まで行って
駐車場に車を停めてそこから出発という流れを組むと思う

でもそれは実は山の麓では無いのかもしれない



日本の土木技術は本当に凄い

こっちに来て常にそれを感じるのだが
バスなんて真っ直ぐ進む事は無い
ちょっと山の中に入ったらコンクリートはがたがたで
むしろコンクリートじゃない方がまだ揺れが少ないんじゃないかと思わせるくらい

年度末にこぞって道路整備をやりだすのは
確かにいかがわしい所もあるけれども
あれはあれで実際に国民の為にはなっているのだ

と今では思う



という訳で日本はさーっと山の中までスムーズに入って行けて
気が付かないうちに山々の奥のまた奥まで行ってしまっているのだ

そこからトレッキングを始めていたから
いつもこの『ジャングル』が僕の中での『山道』となっていたに違いない

本当はこの『山道』というのは山の下から登りだして
中盤のオイシイ過程だったんだろう

それを抜けていくとさあ頂上「やったー!」となる訳である







僕達はその中盤の『山道』に遂にやって来た訳である

その先は、、

頂上「やったー!」

である




それを思うとやはり興奮してくる




筈なのだが
ここまで来ておいて何だかその興奮が息切れしている感がある


どうしたんだろう


一方でははるばる辛い思いをしてここまでやってきて
毎朝見る山の姿が確かに近くなってきている事に
感慨を覚えているのは間違いないのだが

逆に何処かで何だか物足りなさを感じている
何処か乾いた心があるのが判る


ジャングルの道は枝を伸ばした何種類もの木々によって遮られているが
まだ余裕がある今日はその木々の隙間から
たまに見せる空と山の景色を見つける事が出来る

確かに素晴らしい景色である


20100520-6.jpg



常に前に足を出しているから見える景色は常に変わっていて
それらに飽きている事は無い筈だ

でもそれでも
何だかクールな部分が自分の中にある

そんな自分が凄く嫌だったりして
キャンプファイヤーの火に筒を使って一生懸命空気を送り込むようにしてみるも
その火は一向に反応しないで
このままじゃ消えて「ぶすっ」と音を出して消えてしまいそうだ

これからがこのトレッキングのクライマックスだっていうのに
一体どうした事だろう


20100520-5.jpg




頭の中で山に辿り着いた時の映像を思い浮かべてみる



自分の視線の先に雪を被った大きな山がいる
その近くに今まで見てきたようなロッジがある
その前に自分がいる

自分の視線を通して見ていた映像が
いつの間にか自分を離れて少し上の方から眺め下ろしている



眺め下ろしているその映像はどうやらテレビや雑誌なんかで見たようだ
そんな感じがする

そういえば山の形もどうやらアンナプルナであって
そうではなさそうである


思い出してみると僕は数年前にカナダに行った時に
カナディアンロッキーに行っていた

そこの山もやはり頂には雪が被さっていて
世界で名を馳せているしその大きさはびっくりするには充分であった

そんな知識的な部分がいくつかアンナプルナと迎合する



「きっとこんな感じだろう」



頭の良い人間の頭は
自分の知らない所できっとそんな憶測を立てている



それが感動を邪魔している事態



今そういう事態が起きている気がする



色々な物事を知っていくのは凄く刺激的だ

人間が人間たるのはその好奇心である
と誰かが言っていたような気もする



僕の中には確かに大きな好奇心がある

沢山の事を知りたい
そして実際に五感を通して感じてみたい

でもこの好奇心が五感を鈍らせる事もあるのかもしれない


正確には好奇心によって手に入れた知識が
今度は感覚を鈍らせる


だから人間は次へそのまた次へ
そしてさらに刺激的な大きくそして奥へと
突き進まざるを得ない
矛盾を抱えた生き物なのかもしれない







悶々と考えていたのも束の間
そんな不安はいつの間にか消えていた





何故かというと





少し歩いてくると
足が全然動かなくなってきたのだ





道はたまにのアップダウンがあるが
まだ平坦に続いている

石段も現れてもすぐに終わってしまう

基本的には土の道




土の道はすごく気持ちが良い

石は踏みつけた時に
その衝撃が殆ど自分にまた帰ってくるけれども
土ならその衝撃を吸収してくれるからだ


にも関わらず
僕の身体には汗がだらだら流れてきて
そして疲れによって上手く動かせなくなっている





何で?





こんなに楽な道なのに







昨日よりも、そのまた昨日よりも







辛い!!






今までで一番キツイ!!!






状態になってしまっていた





もう一歩を踏み出すのが辛い
ただの平坦な道なのに
何も膝を90度以上に曲げる必要無いのに

何でこんなに荷物が食い込んできて
何でこんなに足が動かないんだ


20100520-7.jpg








もー!無理!!


20100520-8.jpg






最終目的地から二つ手前の集落に辿り着いた時
そんな僕の想いが通じたのか空から大粒の雨が落ちてきた


まだ昼の2時


20100520-9.jpg






山の天気は確かに突然変わるけれども
大体のサイクルは決まっている


朝、雲一つ無い青空
空気も澄み切っていて遠くまで見渡せる

昼くらいになると雪山の上にいつの間にか出来ていた雲が
段々と降りてくる

その時には高い山々は姿をすっかり隠している

そしてその雲の本丸が降りてくるのが夕方の4,5時くらい
ポツポツと雨が降り出してそして一気に土砂降りとなる

そのまま夜まで降り続ける事もあるし
一度止んでやっぱり夜降る

そして夜の間に思いっ切り振り切って
さらに麓にまで行ってしまった雲達の後には
また真っ青な空が待っているのだ


という事でトレッキングは大体4,5時には終わらせるのだが
今日は随分と早い2時


高度が上がってきたのだから雲が降りてくる時間が早いのは
ちょっと考えればすぐに判る事なのだが

この時は本当に僕の想いが通じたのだと思った

というくらいに疲れていた




幸い僕達は濡れずに済んだが
僕達が着いた瞬間に降り出した雨は本当に土砂降りだった






ロッジの部屋に荷物を入れる前に部屋の前の椅子にとりあえず腰掛けた僕は
屋根に叩きつける雨音を聞きながら本当に寝てしまった




ただ寒さで起きる



もうここまで来ると本当に寒くなってくる



何度も捨てようと思って我慢していた
荷物の奥に眠る防寒着をやっとの思いで取り出す

それからロッジのダイニングへ向かう
お兄さんに数人のトレッカーが布団にくるまっている



そこで暖かいチャイを頼む



愛二と二人
それを大事に飲む



あー、


なんて美味しいんだ



どうやら愛二も今日は相当きつかったみたいだ



二人とも疲れと寒さにやられだした


20100520-10.jpg






6時間半のトレッキング終了
デオラリ泊

3200m地点




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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


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