ブッダガヤにある日本寺
ここには日本から派遣される駐在僧が居て数年ここで勤めという
居ない期間もあるというのだが
居る時に行くとここでお坊さんの読経を聞きながら禅を組め
時には説教を聞く事も出来るという
ネパールに居た時に今は駐在僧が居るという話を聞いたので
それなら是非、色々な人に社会に揉まれながら通ってきた僕達に
いつの間にかこびり付いているだろう様々な想いや
気が付かないうちに変化しているだろう心の内を
祓って頂いたり啓いて頂こうと思う訳です
日本寺での勤めは朝と夕の二回が行われていて
誰でも自由に参加できる
僕達は折角なので朝の静かな時間に行く事にする
禅といえば朝ではないですか、やっぱり
何とか早朝に起きて日本寺へ向かう
まだ町は静かで道端で寝ている人もスヤスヤの時間
昨日の騒々しかった結婚式の会場であったであろう場所も
椅子やらテーブルやらが放置されていて人一人いない
鴨も猪も山羊も見かけない
二人のサンダルが砂を擦る音だけが耳に届く
色々な形をした寺を通って日本寺までやってくる
そこには落ち着いた茶色に包まれた
まさに日本のお寺
昨日行ったマハブディ寺や他の国々の色鮮やかな
沢山の装飾に包まれたお寺からすると
本当に質素で落ち着いた日本のお寺
昔から見慣れているからかもしれないが
日本のお寺だけ他の様々なお寺の中でも
特に違って特殊に見える
門をくぐると懐かしい玉砂利の道
お堂へ向かうと物音一つしない人も居ない
いるのは近くの木で休んでいるというかまだ半分寝ている
お寺の奉公インド人さんだけ
サンダルを脱いでお堂に入ると
そこには中心にある仏陀像だけが居て誰も居ない

時間の5時になるとこれまた懐かしい大きく重たい鐘の音が響く
鐘の音はいい
身体に優しくぶつかってきて朝まだ起き切っていない心を揺さぶるようだ
それが町全体に響いていく
鐘の向こう側にはやっと赤みが差した空が見える

駐在僧が遂にいらっしゃるのかと鐘の方を二人で見ていたのだが
鐘を撞いているのは蛍光色の青い服を着た人である
確か木の下に半分寝ていたインド人もあの色を着ていたような
そのまま見続けているとその鐘を撞いていた人はやってきて
そして
さっきの木の下に行って寝っ転がってしまった
お堂の中にあった訪問した人の感想文などが書かれた雑記帳を見ながら
30分弱程待つが駐在僧どころか訪問者も居ない
まさか遅刻なんて事は無いでしょう
きっと今日はもともと無いのだろう
いやそれとも情報自体が間違っていて今は駐在僧がいないに違いない
そう思い二人で出る事にした
木を横切る時に奉公インド人さんに聞いてみた
「お坊さんは今日はどうしたの?」
「ワカラナイ、タブンねテル」
僕達は帰りにチャイを飲んで昼寝しました