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インドを象徴する場所


インド中の死者がバナラシにやってくる
天国への階段を上る為に沐浴をしにやってくる
死に逝く者もやってくる
死を待つ者もやってくる

火葬場はきっとずっと燃え続けてきたんだろう

似つかわしくないピンクに塗られた太い煙突
その周辺からも煙が昇っている
働く人見送る人で辺りはごったがえしている

今を生きる人も
そして勿論そこには白い布で包まれた『人』も




















僕達が泊まっていた宿は中心街から結構離れている所で
宿の近くの迷路をまだうろうろしていた僕達は
メインの火葬場やセレモニーが行われるガートを見に行っていない

それではさすがに来た意味が無いという事で
今日は炎天下の中気合を入れてガンジス河沿いを歩いて
メインガートと呼ばれる所へ向かう





人は思ったよりも居ない

川辺に階段があってちょっとした市民の憩いの場のような広場にはなっているのだが
居るのは釣りを楽しむ人か昼寝をする人に水浴びをしている牛ばかり


20100626-2.jpg


寺院のごつごつとした建物がここの寂しさを助長する


20100626-1.jpg




歩いていると大粒の雨が降ってきた
最近バナラシは昼過ぎに少し雨が降る
といっても10分くらいなのだが

通年ならすでに雨季に入っているらしいが今年は遅れているらしい
ガンジス河の水位はここ数年の中で一番低いという

僕達は建物のちょっとした出っ張りに雨宿りをする
そうしたら一人のインド人がこっちにやってきて
僕達と同じ場所で雨宿りをした






とりとめも無い話をする

少しして今から何処に行くのかという話になる
メインガートだと言うと僕も家があっちの方で
今から帰る所だから折角だから案内するという
最後に

「僕はガイドでも無いしお金を要求する事は無いから」

と付け加える



基本的にインドで話しかけてくる人達は観光客相手に商売をしている輩である
だから勿論そういう疑いを持ちながら接するがそれは仕様が無い

観光地としてもバナラシは既に歴史が長いので騙された観光客の数も多い
なので情報もよく出回っていて
新しくやってくる観光客は「怪しい奴にはついていくな」という警戒心がつく
今までそれで商売をしてきた人達はまずその警戒心を解かなくてはいけない

その結果が先のセリフである
基本的に何気無い話から始まり
「金は取らない」とかまたは「僕の良心で」という事を言って
観光客に沿って歩き出す

結局それで何処かのお店に連れて行って誰かに引き渡したり
しらばっくれてお金を後で要求したりする


もう一つの南アジアでの特徴がある
さっき会話の中で

「この町に来てよく『ハッパ』とか声を掛けてこないか?」

と彼がニヤッとしながら聞いてきた
彼は『ハッパ』の所だけ日本語で言う

そうだねぇ、なんて答えると

「気をつけなよ、ここでは一杯騙してこようとするやつらがいるから」

さも自分はその一味では無いように言う
これは南アジアではよくある事で東南アジアでは殆ど無かった気がする

「アイツは信用するな」

周りをおとしめる事によって相対的に自分の立場を高める
本当に誰しもが言う
本当の良心から言っている人もいるかもしれないが
まあつまりは両者共に同じ事を言う訳なので結局それだけで判断するのは難しい




じゃあどう判断すればいいのか


簡単だ


話をしていって最終的にビジネスの話になるかならないかである


それしかないしそれ以外はもう最初からすべての人を拒否しかない
か、そのビジネスにノルか




ここでそれなりに日が経ってくると
それが自然になってくるので変に構える事もなくなってくる

後で適当にあしらう事も出来るし断る事も出来るし
しつこくても強引に突破する事も可能だから最初から拒否する事は無い

もしかしたら本当に親切な人にも出会うかもしれないのだから
最初から拒否していたらそういう出会いもフイにしてしまう
ただそれは最後まで会話をしてみないと分からない

というか基本的にビジネスを通して観光客を見るのがこっちの人であるから
みんながみんなそうなのであって
その中で『良い出会い』を作りたいのであれば
やはりそれは会話次第でありそれはつまり自分次第である




彼はどちらかといえば観光客相手に商売をしている方だろう

僕が「何で『ハッパ』なんて日本語を知ってるの?」って聞いたら
「街中でみんなが日本人に向かって『ハッパ』って言ってるのを聞いているからさ」
と言っていたのだが結局僕達がメインガートに向かって歩いている時
「トモダチ、ダイジョウブ?」とか「バナラシハオチャデユウメイダ」とか
所々で日本語が飛び出してくる

前にも書いたかもしれないが日本語が喋れる輩はほぼ間違い無く商売人である
特に『トモダチ』やら『ダイジョウブ』やらそういう単語を知っている人はそうだ




おっちょこちょいな彼なので
あんまり害は無いだろうと一緒にガンジス河沿いを歩いて行く

ガートでのセレモニーの様子やヒンドゥーの神話
そんな話の合間合間に

「僕はいいお茶のお店を知っているんだ」
「すごく安く服を買える所があるんだよ」
「実は政府公認の『ハッパ』を売るお店があってね」

なんて話が入ってくる


きっと彼は英語にちょっとの日本語が出来るので
暇つぶしにガンジス河を歩いている観光客を捕まえて
お店に流して小遣いでも稼いでるのだろう
あまりしつこくは言ってこないし勧めてくるお店もバラバラでいくつもある

どうやら本当にそんなに害はなさそうである



ガートの近くまでやってくると
彼は一度離れてまた戻ってきた

別の男を連れて来ている



その別の黒いTシャツを着た男は僕の近くに寄ってきて

「『ハッパ』いるか?」

とぼそっと言ってきた

ハッパ売人は基本的に近寄ってきて小さくぼそっと言ってくる
どうやら小遣い稼ぎのお兄ちゃんが日本人が二人今一緒に居る
と売人の友達に言って連れて来たのだろう

適当に受け流していると
彼もバナラシの歴史について話しながら一緒についてきた


20100626-3.jpg











話をしながら4人で歩いていると
急に周りが暑く感じられてくる



古ぼけた建物に囲まれた場所


木材が所狭しと積み上げられている
河と建物の間で木材が灰になって煙がもくもくと昇っている
長い杖を持った男が灰を崩している
その向こう側にはまだ火がつき始めてすぐの木材がある
黒と灰色に覆われた中でその黄土色の木材は目を引いた
そしてしっかりと格子状に組まれた木々の上に白い布が置かれている

白い布を認めてその輪郭を目で追うと
そこには足があり手があり鼻があり顎がある


「ここが『カソウバ』だ、写真はダメ」


日本語でハッパ売人が僕に告げる
近くまで行くと灰から立ち昇る煙が顔に身体に容赦無く向かってくる

じっと顔を向ける事が出来無い
暑さも身体を痺れさせる





もっと近くで見たい
近づこうとするといつの間にか僕達の目の前に別の一人の男が居る
ハッパ売人によると彼はここのホスピスでボランティアとして働いているという

ホスピスとはこの火葬場を囲むようにしてある建物にある
不治の病にかかった人や老人が死を待つ為にインド中からやってくる場所
それがホスピスで彼はそこのボランティアだという

ボランティアの彼が喋り出す

「ここは火葬場です、僕が色々と案内します」

これはそろそろ引き際である
ここは観光のメインの場所である
小遣い稼ぎがハッパ売人を通して彼の所まで連れて来た
観光のメインという事は騙しのメインの場所でもあるという事で
彼の先には必ず何かある

というか何より僕はこの火葬場での営みをゆっくりと独りで眺めたい
説明など要らない


「僕はそんな説明などいらない、僕達だけで回れる」


ボランティア氏が言う
「いえ、ダイジョウブです、僕はボランティアなので
 『僕が』お金を請求する事はありません
 ここで働き説明をするのは僕のカルマなのです」


彼は『僕が』という所を強調する
間違い無く怪しい


「いいから、僕は大丈夫、説明要らないし、あの火葬場の所にまず行きたいんだ」


今度はハッパ売人が言う
「ダイジョウブ、彼はガイドじゃなくてボランティアだからお金は要らない」


じゃあ何でそんなに強引なんだ
何より独りでゆっくりとこの場に居たいのだ
ただ向こうはまだ引き下がらない

もう勝手にしてくれ
このままずっと遣り取りを続けては行く前にもう気分が悪くなってくる


「いいか、説明するのは勝手だが金は絶対にやらないからな」


そう言って僕は火葬場の近くに向かう
ボランティア氏ははっきり言って僕の言葉は聞いていないだろう
基本的に商売人はこっちの話を本気で聞いていない
ただ僕達が歩き出したのを認めそれをゴーサインと受け止める
あとはもういつもやっているように話し始めるだけだ

彼は僕達の先に立って歩き出しそして喋りだした










近くに行くとちょうど河で身体を洗われた『人』とすれ違う
うっすらと白い布の下に肌の色が見える

煙はさっきよりも容赦が無い
何処にも落ち着いて座ったり立ったりする場所が無い
スペースが無いというのもあるのだが
何かここに留まる事を躊躇させるような空気がある


ボランティア氏が僕達を促して場所を移動させる

彼は5000年は燃え続けているという火の場所を見せてくれた
火葬場で使われる火はすべてがここの火によると言う


ボランティア氏は自分の説明が終わって気が済むと
僕達をさらに奥へと案内する

そこには木材がごろごろと転がっている場所
インドの人はここで木々をキロ何ルピーなどで購入し
死者を火葬するのだという


20100626-4.jpg



そうしてまたボランティア氏はまた別の場所に僕達を連れて行く
いつの間にかさっきの小遣い稼ぎ氏とハッパ売人も居る


今度はあるおばあちゃんの所にやってきた
ボランティア氏は愛二に帽子を取るように言い名前を言うように促す

愛二が頭を垂れて自分の名前に家族の名前を言っている間
おばあちゃんは愛二の頭に手をかけて何かぶつぶつ言っている

ボランティア氏が僕にもそれをするように言う


それが終わると何かボランティア氏が僕達に説明しだした
僕はもうそろそろここから離れたかったのだが
どうやら遂に面倒な話をし始めた


「このおばあちゃんはホスピスの人です
 彼等彼女等は木々を買うお金が無いのです
 さっきも言ったように火葬にはお金がいるのです」


そうやって一気に喋る
きっと毎度言うセリフなのだろうかなり早口である
そして


「だからあなたの気持ちでいくらかのお金を渡してあげて下さい」


おばあちゃんはよくわからないような顔をして僕達を見ている
いや僕達の事は興味が無いようだ
すぐに目線を外して何処か中空を眺めてまたぶつぶつ言っている

僕達がボランティア氏にやっぱりお金かというような事を言うと
今までのゆっくりとした口調が急に強くなって


「これは僕に対してのお金では無くてホスピスに対してです!
 この人達は木々を買うお金が無いんですよ!」


とおばあちゃんを指差して言う


このボランティア氏とおばあちゃんの関係は何だろうか
僕にはどうしてもこのボランティア氏がホスピスで働いているのが想像できない
そしてこのおばあちゃんも

もしかしたら本当に死を待つ為に
このおばあちゃんはホスピスにやってきたかもしれない
彼女の目や身体つきはもうこの世界に全く関心が無いようだ

だからこそこのボランティア氏が彼女に目をつけて
彼女をここに座らせて商売の道具にしているかもしれない

こんな卑屈な想像をしてしまうのは
僕が既にインドに長く居すぎてしまっているからだろうか
悲しい想像なのだろうか


僕達が拒否するとさらにボランティア氏は
口調を強くして捲くし立ててくる


「なんで払わないんですか!おかしいでしょう!」


こんなボランティアがいるだろうか
僕はもう諦めてその場を離れようとする
獲物を逃すまいと彼は遂に本性を現す


「じゃあ僕にガイド料を払って下さい」


呆れるがこれが僕達がよく出会ってきた観光地でのインドだ


「僕はあなた達に沢山の説明をしたでしょう
 それにはお金を払うべきでしょう!」


火葬場を離れても彼はべったり愛二についてくる
一緒にやってきたハッパ売人が僕に言う


「彼にお金をやってくれよ」


「バカ言うな、あなたは彼がガイドでは無いと僕に言ったじゃないか
 彼はボランティアじゃないのか
 それに僕は始めに説明は要らないと言ったじゃないか」


「いや始めにそんな事は言っていない
 むしろ彼にお金を払うみたいな事を言ったじゃないか」


自分の事をあれこれ言うのはいいが
こっちの言い分までほじくり返してくるのは我慢がならない
ハッパ売人の言い草に少しカチンときて


「何だって!?俺がお金を払うなんて言ったって言うのか!?」


少し声を大きくして逆に捲くし立てるように
ガーっと喋りだすと彼は諦めたように


「オーケーオーケー、忘れろ」


と言った
随分と上から目線だったがこれでハッパ売人とは話がついた
まだ後ろで愛二にがなり立てている嘘つきボランティア氏に
ハッパ売人がヒンドゥー語で多分「もう行け」と言い手で払う動作をした

それで嘘つきボランティア氏は愛二から離れたが
彼は納得がいかないのか後ろから叫んでくる


「くそ!
 もう二度と来るなよ!絶対にカソウバに戻ってくるな!!
 ファックユー!!!」


ファックユーなんて久し振りに聞いた
こんな単語をこんな所で聞く事になるなんて

いくらインドで一ヶ月経ったとはいえ僕はショックを受けた
しかもとても強い


構わずに振り返らずにその場を立ち去ろうとするけれども
黙っているとふつふつと怒りが込み上げてくる

もう火葬場に来るなだって?
すでに彼のせいで僕の火葬場を見たこの時間は最悪だ
それにつけて最後のセリフが嫌な感じを膨らませる



我慢出来ずにまだ悪態をついている彼に振り返って叫ぶ



「それがお前のカルマだ!」







くそ


本当に気分が悪い








インド、バナラシ、火葬場


インドの生と死が交差する場所
インド人の一生が現れている場所

インドを象徴する場所





良くも悪くも確かにインドを象徴しているのかもしれない





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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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