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昇っていく -マラソン当日2-

動き出した自分の足




右足の指先に力を込めて地面を蹴り出し
左足を地面に着地させ
右足の膝をなるべく上げないように前に押し出し
左足の指先を蹴り出して

その繰り返し
出来ている




腕じゃなくて肩を回して
その反動で反対側の腰を前に出す


うん
教えてもらった走り方
出来ている






でも周りにはまだまだ人が沢山
団子状になって走っている
ペースとかは無い

まだ後ろからアナウンスが聞こえてくる
前にカメラもある
上からヘリコプターの飛んでいる音が聞こえる

人はまだ笑い合って
手を振り合って


集団はまだスタートの興奮に触れている







貰ったアドバイス

我慢



それを意識していると
自分のペースを持ちたくなってくる
自分のペースを
決めたペースをずっと継続していきたい

後半はどうなるか分からないけれども
とりあえず前半だけでもそれを維持したい




そう思った時にサトはどこにいるんだろう
かなり前の方にいるんだろうか



スタートの時点が既に違っていた

マラソンのスタート地点
予想タイムによって
何となく順番に並んでいた
だから最初からサトは一緒の場所にいなかった

でも何度もマラソンに挑戦している
その初めのペースを知りたかった






そんな事を考えていたら
愛二がちょっと前の方に行ってくるって
隙間を縫って走り出していった







まだ僕達は友達と小さなまとまりを作って
少し話しながら走っていた

要は僕達もスタートの熱に触れていた



でも話しながらずっと走るわけにもいかない
絶対最後にそんな余裕は無い
いや最後と言わず最初からそんな余裕は無い

早く切り替えなくては

自分のペースも
自分の走るスペースも
早くモノにしなくては



愛二に触発されて自分も合間を縫って
前へ前へ


沢山いる人の合間
いろんな人がいる

まだ話し合ったり手を振ったり
さっきまでの自分を見るように
それによって今の自分はもう気持ちを切り替えたんだ
そうやって自分を鼓舞して
そして横目に見ながら通り過ぎて行く


本当に走り出した気がした
レースなんだという感覚が沸いてきた

そしたら周りの人達が兎にも角にも遅く思えてきて
ここの集団にいる事が物足りなくなってきて





初めのカーブが見えてきた
1キロを越えた所
緩やかな下りになっていて少し前の状態が見える

そこにはいろんな色を塗り重ねた川の油絵
それが延々に流れていく様が見えた

自分はそこに浮かぶ舟の様に
その上を流れて行こう


そうしたらそこを駆け抜けて行くのがより気持ち良くなって
スタートの時に感じた爽快な風は
まだ吹き続けていて
舟の帆を押し上げんばかりだ




下りが終わると視界が戻ってくる
よし走ろうもっと

今片道2車線
その真ん中には赤いコーンが立てられ
往路と復路に分けられている
けれどもまだスタートしたばかり
復路は完全にランナーに塞がれ
道全体に人が並んで同じ方向に進んでいる


その広がった川幅を利用して
駆け抜けて行く





気が付くと左側に視界を遮っていた公園の木々が途絶え
見え隠れしていた光がはっきりと現れて
太陽が存在を誇示してくる

そこにはビーチが延々と続いていて
それと平行に向こう側に水平線が横たわっている



その水平線の先の方に
霞んだ岬が見えた

最初の折り返し地点だ
15キロ地点



岬の霞みは馬鹿みたいな距離に思わせるのに充分な感じだ
いつもだったらあそこまで走るなんて
笑って終わりだろう

でも何か今日は全然そんな感じはしない
出来る気がする






当たり前だ
そこはまだ15キロ地点なんだから
そこからまたほぼ同じ道を通って帰ってきて
最初のスタート地点まで戻ってくる
そしたらそこでやっと30キロ

マラソンの話でよく聞く30キロの壁
まさにその地点

しかもスタートのすぐ隣にあるゴールを
横目に通り過ぎなくてはいけない
ゴールから再度離れて行き
自分で帰りの距離をどんどん長くして
二個目の折り返し地点を回り
走ってきた道をまた辿ってゴールまで帰ってくる
17キロ

壁にぶち当たってからさらに17キロ

今まで一番走った距離は20キロ
それでも充分きついのに






今まで何回も繰り返し地図で見て
みんなで有り得ない
って話していた

その話をまた思い出して
少し走りながら
何してるんだろうってニヤッて笑ってしまう


でも走りながら笑ってみたら
そんな所も楽になってきて
そしたら気持ち良く走ってる今の自分しかいなくなって






気が付いてみたら周りには誰もいない
愛二も尚吾も友達も


よく考えたらこっちで一人で走るのは始めてだ
いつも誰かと一緒に走っていた
誰かのペースを見て
景色を見て
いろんな話をして

今初めて一人で
ペースを作ってスペースを確保して


そんな自分は今気持ち良く走っている



すごい嬉しくなって
幸せな気持ちになって

どうやら調子はそんなに悪くないみたいだ
膝も少し気になる程度で走れない訳ではない
むしろトレーニングの時に一番調子が良かった
その時は走って行くうちにどんどん膝の痛みが消えていった
多分熱を持って麻痺していたんだろうけれども
でもその時の記憶だけが蘇ってきて




気が付いたらすごいペースが上がっている気がする

やばい全然我慢出来ていない
こんなペースで行ってて大丈夫なのか


いや今楽しい
気持ちが良い
大丈夫
今行かないでいつ行けるようになるんだ
結局いつかバテてしまうんだったら
今のうちに楽しく気持ちよく走ろう

それにこれでも抑えているし


そんな勝手な
全然冷静じゃない理論崩壊した言い訳を誰となく
意味も無く自分に言い聞かせ
その湧き上がる気力の居心地の良い湖に飛び込む







沿道には想像していたより多くの人達が
集まって声を掛けてくれる


突然名前を呼んでくれた人がいる
学校の同じクラスの人だ

縁石に座って手を振ってくれている

テンションが上がっている自分は
手を振って答えた
純粋に嬉しかった




少し火照って来た身体
気温も上がり
さっきまでの寒さは萎んでいき
それに気が付いたらちょうど冷たい風が吹いてきて
でもそれは熱くなった身体にむしろ心地良く感じられる






すべてが自分に味方しているような
今日は自分が何かすればすべてが報われるような
そんな日なんじゃないか


うーん気持ち良い




周りを見渡す余裕が出てきて
いろんな景色や建物
そして一緒に周りを走っている人に目が行くようになった







と思ったら
気が付いたら
前を愛二とサトが走っているのが見えた

近づいてくる



やっと少し今のペースが早すぎるのかなって不安になった
ほんの少しだけ
でもそれよりも追いついた
足も全然回り続けている
今日は調子が良い
その思いの方が断然強くて

二人が見えてからさらにペースを上げて
追いつこうとした





愛二の隣に並ぶ
サトの後ろに並ぶ


さっきまで話すなんて有り得ない何て思っておきながら
みんなに話しかける

調子の話や
ペースの話や
テンションの話



話しながら走りながら





今7キロ地点辺り
この先は住宅街の中を抜けて行く

その道は事前に走っていて知っていた
幅が今の道の半分くらいになる

さっきよりは周りの混雑は解消されてはいるけれども
でもその道に入ったら一気に塊になってしまう
今のうちにペース上げて集団の前に出よう



そういう話をして
そしてさらにペースを上げた




細い道に入った

集団の塊の端を走り
隙あらば回りこんで前を行く
それを繰り返して










いくつ繰り返したか
突然塊が密度を増してきた

みんなが往路にギュウギュウに押し込まれている

先を見たらオートバイに車に
復路をやって来る




まさかまさか




まだ何も見えないけれども
何となく回りも急に静かになって
何かに緊張している感じがある


オートバイがやってきて
クラクションを鳴らしながらすれ違う


僕達は往路に押し込まれて
前が見えなくなった
でも一番端を走り
その気になれば見える所にいた





前の方から拍手が聞こえてきた



すかさず少し横に出て前を見ると
有り得ないくらいの大股で
信じられないくらいの速さで
やってくる

何人か




トップ集団だ




マジかよ
今まだ自分は10キロ地点くらいだぞ


冷静にタイムを計算したら
二時間程で走る彼らだからこれくらいになるとは思うけれども
それはわかるんだけれども
でも今は自分も参加しているこのマラソン

今自分はこのマラソンと付き合って
一つ一つこなしている
一歩一歩を足し算しながら行っている
その実感がある

その実感が彼らの速さを
より衝撃的に自分に植えつけてくる


彼らの速さは
足し算して進んでいる自分のそのシート
その同じシートを掛け算しながら急激にこなして行っている



一体どんな魔法を使っているんだ
自分はその掛け算というモノの方法を全く知らない
烏合の衆
その中の一人に思えてきて

純粋にすごい
その一言しか出す事しか出来ない



何の躊躇いも考えも無く
自然に拍手していた





凄まじいスピードですぐ横を通り過ぎて行く
自分が普通に走るのと変わらない
むしろ早いかもしれない
そんな感覚まで植えつけてくる


彼らが過ぎて行っても
拍手が彼らに付いていき
彼らの速さが後ろからも伝わってくる





すごい

レベルの違いを感じた
そしたら自分も鼓舞された




もっと前に行こう





住宅街の細い道を抜けた





道が広がる

すぐ前に給水所が見えてきた
でも気合が入った自分は誰よりも早く
自分を追い込んで
その少しの時間に少しでも前へ

水を取らずに



給水所の周りはいつも混雑になる
いろんな人が急に方向転換したりして

今までみんな同じ方向に向かって走っていた
その集団の秩序が崩れる


その崩れた流れを避ける為に
さっきよりも大きく迂回し
そしてその迂回も取り戻す為にさらにスピードを上げて





そうしたらみんなが給水所の所で水を求めたお陰で
前に出ると沢山のスペースが


気が付いたら既にサトと愛二はいなくなっている
このスペースはすごい走りやすい
周りのペースも把握しやすい

だから全体を理解しながら
調節しながら走って行く事が出来る

きっとみんなこのスペースを得て
大きく進み出したんだろう


よし自分も負けてられない
行こう





その時にはもう塊は見当たらない
何人かのグループが広がって走っている

その隙間を走り抜け
そうすると距離をおいて
また何人かのグループが走っている


何人かは既にかなり息が上がっている
でもまだ流石に歩いている人は見当たらない




その流れの中を走り抜ける



誰か前に一人を捕らえ
それをぐいっと自分に引っ張って
その反動で自分を前に押し出す

その視点の縄を
また前に放り投げて
そのくくりつけた人の力を借りて
そしてまた自分を前に押し出す



そうしたらどんどん前に進んでいる実感が沸いてきて












どこまで来たんだろう

前の方から歓声が聞こえてくる
段々と近づいてくる
沿道の人も増えてきた
バンドが音楽を鳴らしているのが聞こえてくる

太陽はその日差しをさらに強めて
順調に空を昇っている
その光は歓声と共に
その場所に活気を与えている



応援の声が聞こえてきた
そのそれぞれの声が聞き分けられる



よく今まで頑張った
まだまだ行ける



大きなコーンが見える





あの彼方に霞んで見えてた岬
そこにある折り返し地点

そこまでやってきた


やっと15キロ




でもテンションは高い
足も回っている

そして
楽しい




さぁ回る



今まで真っ直ぐ道なりにしか来なかった自分にとって
初めての動作



同じ道を折り返すのはつらい
何で殆ど同じ道なんだろう
何で折り返しが二回もあるんだろう
絶対精神的に辛い



そう思っていた自分


ウソだ


回った動作はとても新鮮で
心を新たに
気合がまた入る



回ると自分の方に向かってくる
沢山の顔が始めて認識された

辛そうだったり
たんたんとしていたり



そうすると全く違う道に思えて
よっしゃ行くぞ
って気持ちになった






よし折り返し
次のステージだ

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しょうごにしろラン君にしろこんな想いを持ちながら走ってるとは何事ですか?(笑)
やっぱりかわってるね(笑)
いつまでもそんなラン君でいてください。

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Profile
    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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