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どこまでも人工的

[20100704]



沐浴をした事にバナラシが怒ったみたいに
何だか追い立てられているような慌しい感じで宿を出た

身体は完全に調子を崩し
お腹がぐるぐる不気味な音を立てる度に
冷や汗を掻きながら予め決めていた今日の予定に身を任せる



バナラシ駅を電車が離れていく

来た時と同じ喧騒が駅を埋め尽くしている
電車の中は今までのと同じように家族連れやらが
席に横になって思い思いの姿勢でくつろいでいる

その中に僕もじっと身を浸す
強く何かを感じる訳でもなく

頭の中は自分が主人公だからここで考える事は
ナレーションのようにBGMのようにこの映像に色を添えてくるものだが
今の僕は僕の頭の中ですらエキストラのように
じっとただこの景色の中の一部を借りて静かに何も喋らずいる



次の目的地デリー


20100704 (1)




















珍しく僕達はインドに入る前からインドを出発する日が決まっていた
デリーから飛行機で飛び立つ事が決まっていた


インド滞在一ヵ月半


この間どのように回るか

インド一ヵ月半なんて随分と短い
インドは広い

そこで僕達はとりあえず今回は南インドを諦め
北インドを中心に回る事に決めた
短いなりにもやはりそれぞれ訪れた所はゆっくりと見て感じていきたいから

そうやっていくつかの都市を回ってきた

ガントック
コルカタ
ブッダガヤ
バナラシ

こうやって書いてみると随分と少なく
まだまだ行ってみたい町沢山あって、、
全然時間足りない!!

となってしまうのだが
それでももうここまできてしまった


人間不思議なものでこう期限が決まっていると
急に元気が抜けてきてしまう

「どうせまたインドは来る事になるだろう」
「今回で回りきれる訳ないのだから」
「だったら今回はこれくらいでいいか、どうせ一ヶ月半しかないのだし」

いやそれは僕が怠け者なだけか


まだ二週間弱残っているインド滞在
行こうと思えばまだ他にもいける都市はあるのに
僕達の、
少なくとも僕の心はすでにインドにはあらずで
次に向かう新しい土地に行ってしまっている


よくないなー


と少し感じつつ
結局動かずにそのまま流れていっている
心がここに在らずなのでこれがきっと覆る事はないだろう






ただ、


いくらなんでもこのままデリーは味気無い
と、路線図をみたらちょうど途中にアグラーがあるではないか!
タージマハルは見ておかなきゃみんなに怒られる
どこか寄り道する訳でもなく途中下車で寄れるのだからいいではないか
何も考えずに行く事が出来る

というずるい考えの下、アグラーに途中下車






生半可な気持ちでやってきたので殆ど何も調べないでやってきた

きっと駅にクロークがあるだろうからそこで荷物を預けて
アグラーなんてみんなタージマハル見に行くに決まっているのだから
駅に行ったらそこで地図やら客引きに場所を聞いたりしていけばいいだろう

そんな感じ
そりゃあ上手くはいきません

朝駅に着いた時にはクロークは開いていなかったので
そこで待つ事になったのだがなかなか開かない
待つ心の準備なんて勿論していなかったのでイライラしだす
その間にアグラーからデリー行きのチケットを買おうとするのだが
なんとその電車は違う駅から出ているという


折角何も考えずに楽な途中下車を選んだのに結局こんな事態に


オートリキシャーの運転手にタージマハルの場所を聞く
すると地図を見せてくれるが
ここから歩いていける距離ではない

しょうがないのでいくらか聞いてみると
一日ハイヤーで200ルピーなんて言う
今まで一度に使った事無いぞ、そんな金額!?
値下げを試みるがなかなか下がらない

しょうがないので他の運転手に話しかけてみるも
みな同じような値段

タージマハルに行って
またこの駅のクロークに荷物を取りに来て
それからまたデリー行きの電車が来るという別の駅に行かなくてはいけない

しかも追い討ちをかけるような事実
タージマハルの入場料が想像を遥かに超える金額750ルピー


もう頭のスイッチは切ってあるも同然だったので
そこに容赦無くどんどん降って来る選択に
ただいらいらするばかり












結局150ルピーで一日ハイヤーという贅沢を選択

こういう時は勢いに頼るしかないが
その勢いは大抵暴発気味で思っている方向には進まない

もう何も考えるまい

ここアグラーではそれ以外に何もしないと決めた
そうでもしないと何だか大きな失敗をしそうで怖かった









駅に荷物を預けてタージマハルへ

タージマハルの壁の周りには沢山の家々が寄り添っていて
その間を縫う狭い道には自転車にリキシャーに牛がひしめき合っている


20100704 (2)


その間を無心で進んで行く
観光客相手の店が並ぶ門から続く道
沢山の客引きから声を掛けられるがすべてを聞き流す


20100704 (3)


少し日本語を喋れるという男が話しかけてきた
その人は丁寧に入場の手順を教えてくれているみたいだ
ただその遣り取りを完全に愛二に任せてしまう

今何か手を出したらすべて思いもよらない方向にいってしまいそうだ
そんな不安だけがずっと自分の周りを付いて回っている
それにまとわり付かれない様に必死にそっぽを向いて
足早に進んで行く






荷物検査があって
それから入場

ゲートのすぐ向こうにはちょっとした空間があって
その先にまた一つゲートがある

何だかディズニーランドみたいだ

みんながこの空間で荷物の確認やまず、の記念撮影をしている
これから現れる『例の景色』にみんながそわそわしているのがわかる


20100704 (4)







ゲートに入ると暗いドームの下に沢山の人が蠢いている
さっきのみんなのそわそわが反響して
ぎゅっと閉じ込められている

そんな暗い先に白い光の塊

そこに出口があるのがわかる


20100704 (5)





どうやらその白い塊はただ光の塊では無い様だ
形がある










例の景色


20100704 (6)









心は

ちょっと動いた
どうやらびっくりして少し戻ってきたみたいだ




大体有名であればある程景色はがっかりしてしまう
特に人工的なものであると

でも

これは確かに少しびっくりする

何だろう、中途半端ではなく
どこまでも限りなく人工的

線対称
高さ、角度、大きさ
全部何も隠さず人工的
植えられている木々も生きているように見えない

ここまで開き直って人工的だとすっきりするのかもしれない




素晴らしく人工的
人間の感覚を超える人工物


20100704 (7)


不思議な事に人間が作り出した人工物が
結局矛盾を抱えている一生物としての人間の感覚を超えるというのは

はっきりと引かれた建物のライン
でもそこまでハッキリと区別をつけられない曖昧な人間
どこに接点があるのか
生産者と生産物という繋がりがある筈なのに


それを表すかのように
タージマハルの床は太陽の熱を際限無く吸収して
熱くて僕達はゆっくりと歩いてられない

靴を脱がなくてはいけない本堂の近くでは
みな小走りに行くか日陰を見つけて歩いていく






近くに寄ってみても
とんでもない印象はなかなか消えない
真っ直ぐ迷いの無い感じ


20100704 (8)


壁の装飾も色が使われていながら
かっちりとはまっていて何とも冷たく感じる


20100704 (9)



まさかこんなモノがインドにあるなんて










唯一安らぎを感じた建物入り口

そこには日陰を求めて沢山の人が座っていた
沢山の人間が息を抜いている
この空気感がまたさらに人を呼んで一番盛り上がっていた

辛うじて現れたタージマハルの中のインドの喧騒


20100704 (10)



喧騒と白亜の宮殿
全然合わないこの組み合わせ


何だかちょっとこの景色を見て安心した
だからこそこの建物がここにあるんだという理由が










結局曖昧で矛盾した物がいいのかもしれない



いや、違うな



矛盾を見つけて安心するんだ
そこに人間らしさをみて












きっと一ヶ月いてこのインドを受け入れてしまっていたから
矛盾を楽しめなくなった僕の心はそっぽをむいてしまっていたんだ



20100704 (11)







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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


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