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アンマンライフの今昔話

[20100725-3]








アンマン滞在は宿についてからスイッチが入ったように劇的なモノになり
そして、あっという間に過ぎ去った





チェックイン時があんな抜けた感じだったものだったから
その激しさに正直かなり面食らった

無理矢理頬を何度も引っぱたかれて
胸ぐらつかまれて身体を持ち上げられ
町中引きずり回された


、、と書くと彼女の印象がいくらなんでも悪くなってしまうから
程々にしておこう

実際は感謝しているのだから























同室になった彼女は僕が部屋に入って少しすると
物音に気がついて起きてきた

上体を起こした彼女を見てびっくり


で、でかい!!


下手したら180cmを超える僕と同じくらいじゃないか
と思えるくらい身長はもとよりガタイもしっかりしている

ちょっと気圧されていると
それスキあり!と言わんばかりに怒涛の口撃
今起きたばかりというのに、まあ、よく喋る

その大きさと勢いのイメージが
僕に舵を取らせる事を許さない


歳は顔から判断するに僕よりも結構上らしく
道端で立ち話をするおばさん的なノリかと思ったが
それでも彼女の言葉の選び方や発音は意外と丁寧である


聞いてみたらベルリンで教師をしているという
彼女は僕と気が合ったのかはよくわからないが
来たばっかりの僕を外へさんざん誘ってくる

一応彼女と僕の間で何処に行くかっていう話し合いがあったにはあったが
殆どは向こうの持ち込み企画で僕がそれに引きずられるという状態



まだ部屋についたばかりでリュックの整理すら出来てないのに

「ヨルダンに何しにきたの?
 どこにいくつもり?
 いつまでアンマンにいるの?
 これからの予定聞かせて?
 今日の予定は?
 今からどうする?」

という質問を一度に聞かれる
こっちは殆ど何も調べず、こっちに来てからゆっくり探す予定だったので

「いやあ、何にも調べてないんだよね」

っていってもその答えの意味がわからないというふうにスルーされて
また同じ質問を繰り返される
仕方ないから

「ヨルダンっていったらとりあえず死海とペトラ遺跡に行こうとは思ってるけど」

「死海、私イスラエル側からしか行った事ないから是非一緒に行きましょう!」

「そうだね、よかったら、、」

「じゃあ、決まりね!
 宿がやってるツアーがあるから今から聞いてきましょう!」



彼女のサイクルは早かった
宿の従業員の所まで行って値段を確認
今日の定員を聞き出している、、、




今日!?!?





まず移動日はゆっくり安静っていうのをやってきたので
それこそ目が飛び出た

一日ゆっくり街をぶらついて物価を調べる
そういう事もせずにしかも宿のツアーなどと、、!!!


が、既に時遅し


この値段が高いか安いか分からず
いやツアーなのだから高いに決まっているのだが
(個人タクシーをハイヤーして行くらしい)
彼女はどんどんと話を進めていく

自分としても曖昧とはいえ最初に「うん」と言ってしまった手前
なかなか途中で引き返せない

そのうちどんどんと曖昧な「うん」を重ねていき

「今更『いやちょっと、、』なんて言えない」
「気まずすぎる、、」
「ここで言ったらさすがに申し訳ない」

という想いが雪だるま式に大きくなっていき
さらに引き返せない想いが強くなる


ああ、これぞ『NO』と言えない日本人






バッチリと死海ツアーの申し込みを済ませると
彼女の顔はスッキリとしているが荒い鼻息は収まる様子は無い

その顔を見て一抹の不安を持ちながら部屋に戻る
ツアーは2時間後
もう気を使っている余裕も無い
早く荷物の整理を片してしまおう

あー、急がないといけない

重い身体に重い気持ちのままベットにドサッと座った瞬間


「ツアーまで2時間ね、この時間どうしようかな
 私今日の早朝来てからさっきまで寝ててまだ街を見てないのよね」







ビクッと身体が反応する
まさか、と思うセリフがしっかり後から付いてくる


「ねえ、この街のある丘の上に神殿跡があるの
 近くにローマ劇場もあるし
 街を見るついでに行ってみない?」


「はあ、、」


はあ、、じゃない!!また言ってしまった、、
しかし、やはり既に時は遅し

そんな曖昧な返事が通用する相手では無い
既に彼女は帽子を被り準備を始めている

もう何も言わずに
荷物もそのままに貴重品と帽子を取り出す




















歩きながらも彼女はよく喋った


「私来たばっかりで全然道わからないのよねえ
 これから行く丘の上の神殿はね、
 昔ここの王女様の為に作られた場所なの
 私そういうロイヤルファミリーの話とか神殿とかの話が大好きなのよね
 ここに今回来たのもその目的なの」


色々な不甲斐無い自分を思い返しながら
もう仕方ないじゃないか、という諦めで卑屈になる事をやめ
彼女の話をただただ聞いた






途中、道を聞くついでにコーヒーを飲もうと売店に向かう
まだ若い20代の青年とその弟なのか子供なのか
まだ10歳くらいの男の子がいるお店でエスプレッソを二つ頼んだ


20代の青年は軟派なタイプらしい、彼女になれなれしい感じで話しかけた
そうすると彼女は待ってましたと言わんばかりに喋り出す

はー、この人はほんとに誰に対してもこうなんだ

しまった顔になっている青年を見て
自分は知っているトラップに引っ掛かってしまった相手を見るような
いや、重責を誰かに譲った開放感というか、

兎に角一服という感じで
店の前のベンチに腰掛けて今来た道をぼーっと見返す







弟の方と打ち解け出して自分なりに楽しめ出してきたところで

「さあ、そろそろ時間がないから行きましょう!」

ベンチから立ち上がるその腰はえらく重かった












教えられた坂道を登っていくと
大きなゲートが現れた

「あら、入場料がいるみたいね」

はっきり言って僕の旅路においては
その時点でかなりアウトである


お金に敏感になっているものだから入場料という時点で身構える

世の中には素晴らしい史跡が入場料無しに見れたり体感できたりする場所がある
『ただ知っている』というのも考えもので
入場料を取るというだけで卑屈にもそこと比較したりする

しかも今回のこの神殿は彼女の独断と偏見によって
引きずられるようにやってきた得体の知れない場所であり
そこに物価のわからない今、、、


入場料などぉおおっ!!!





















と、僕のひねくれた心はここで限界突破したようだ


曖昧な「うん」は無くなり
何も言わずにお金を取り出して進んでチケットを買いに行く

受け入れたというよりは
吹っ切れた感じだろうか

こうなったらこの遺跡、いちゃもんつけたおしたるわぁ!
こちとら金払って重い腰おして来とるんだからなぁ!

ガルルルル、という感じで勇んでゲートをくぐり
前かがみに進んで行く



20100727 (1)














よく考えたら『遺跡』というのにやってきたのは
すごく久しぶりだった


黄土色の砂に同じ色の柱がポツポツと
よくギリシャやローマの遺跡の写真に出てくる風景が目の前に
このような遺跡を見るのはむしろ初めてだった










、、、が、戦闘態勢になって
いきなりここで受け入れてしまうなんて訳にはいかないのだ

という意地にしがみついてた、この景色を見るまでは













20100725 (6)
















頭が熱くなっててすっかりここが丘であるのを忘れていたのもあるが
この景色が突然目の前に現れた時、確かに僕は息を呑んだ

僕はこの町が、このような場所だとは本当に知らなかった
これほど『大きな街』だとは知らなかった



アンマンという名前は知っている
中東には大きな歴史が埋まっているのも知っている


でも『知っている』のと『見ている』のとは違うというのを
この時ほど感じた事は無い

それぞれ知ってはいたが理解の上で繋がっていなかった



20100727 (3)











例えばエジプトと言えば?
大体ピラミッドのイメージは出てくるだろう
これは正しいも何も無い
ひねくれ無しで正直にスパっとくるならこれだ

ピラミッドは遺跡であり古代の構造物である
今利用されている訳では無いが今でもそこに存在している


他方、エジプトに一度も行った事が無い状態で
エジプトの例えばカイロの街の風景を詳細に思い浮かべてみようとする

それは果たしてうまくいくだろうか


きっと四角い角張った土塀で
黄土色で白い布のオーバーオールみたいなのをみんな着て

いや、まさかそこまでいかないにしても
暑いだろうからみんな短パンでTシャツで
やっぱり砂嵐あるだろうから町中霞んでいるかもしれない

いや、まさか、さすがに人口も十分あるだろうし
エジプトの経済規模や歴史と世界的な知名度からして
十分近代化されているだろうから
現代的なガラスに包まれた高層ビルも何本も建っていて
スーツを着た人が行き交っていて




と、ここまできて


はて、これはエジプトの『イメージ』としてピンとくるだろうか
始点を問い返すと、うーむどうだろうとなる


現代が歴史とは違うというのはわかる
でも、どうしてもしっくりこない

それは観光者としての視点に立っているから、というのもあるだろうが
どうしても初めに得た知識から形成されたイメージは、強い







さすがにもう少ないだろうが
日本にいまだに袴を着て刀をさしてちょんまげを結った
SAMURAIが歩いていると思っている外国人がいらっしゃるのと同じだろう

彼らの意識はきっと
半分冗談だろうが
半分本気だと思う








僕だってエジプトのイメージと言われたら
ピラミッドがあってスフィンクスが居て
ラクダの隊商が歩いてる景色を見たら安心する

現代はビルが建ってて当たり前だけど
それでもそっちの方が安心する
人に写真を見せたり話をする時も安心だ


旅行先でお土産を買い忘れて
帰りの空港でお土産が買えちゃった時の嬉し悲しの気持ち

山奥の秘湯と言われる場所にローカルバスを乗り継いでたどり着いた先で
旅館の目の前にセブンイレブンがあったりした時の気持ち













今の世界は取り敢えず把握されているのは三次元空間であり
時間の概念を足して四次元空間

知識にもきっとこの感覚が適応できるのではないか

知識における時間的感覚
これの融合が大変だ



『歴史』の部分のエジプトと『今』の部分のエジプト
知識として『先』に得たイメージと『後』に得たイメージ



同じ『エジプト』というキーワードとして頭にはインプットされている
それが共通の場所を指しているのは知ってはいるが
どうしてもギャップを感じてしまう

この『ギャップ』
きっとこれこそ知識同士が融合していない
繋がりきれていない部分















このアンマンという場所

現在の歴史学では、人類が定住してから9000年の歴史がある
シルクロードや様々な物や文化の通過地点
歴史の表舞台に幾度と登場し、そういう意味で大きな都市


ただ現在は

日本に居た時であれば
中東で戦争があったり石油の問題があったりすると
世界中にニュースが流れるがその中継元がアンマンだったり

中東=石油=アラブ社会=イスラム
大雑把な方程式
でもそれくらいで、どうしても絵として上手く出てこない













そんな知識の時間差を埋めてくれる
それがきっと実際に来て見る、という事なんだろう





丘をびっしりと埋める、言ってみれば前代的なビル
見える限り続く


これは、、



名実共に、本当に『大都市』だ



20100727 (2)



















どれくらい同じ場所から眺めていただろう
後ろから彼女に声を掛けられてハッとする

「いけない!もう死海ツアーの時間までちょっと!
 急いで帰りましょう!!」

一通り神殿を見廻ってきたジョクリーンが汗だくでいた




僕の気分は随分と晴れていた

ヨルダンに着てすぐにこんな経験が出来るなんて
全部彼女のお陰と言えばお陰である


わかった、

もうあなたの言うとおりにしよう
ヨルダンではあなたについて行くよ








僕は彼女と小走りに神殿を後にした



20100727 (4)









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No title

写真すごいね!何気初めてみたよ!




ってか最近ブログ更新しすぎだって!
ちょっと落ち着いた方がいいって!

Re: No title

> salig

ね!オレも例に寄って全く写真も見ずに街に降り立ってたから余計に。


いやいや、あんたの方が更新しとるやないか
main_line
main_line
Profile
    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
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