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底知れぬ、シリア人!

[20100730-2]









ユーフラテス川に沈む夕陽







やんちゃ坊主共との戯れにへとへとになって宿に帰り
シャワーや洗濯などを済ませ広いロビーでのんびり水を飲んでいたら
哀愁漂う映像が突然頭に浮かんで離れなくなり
頃合を見計らって僕はまた橋へ向かう事にした

















外に出てビックリ



ゴーストタウンと思ってしまう程荒んでいた街には
沢山の人が行き交っていた

さっきの癖でフラフラ道の真ん中を歩いていたら
後ろから車のクラクションを鳴らされる

重く閉ざされていると思われたシャッターが上げられ
人で賑わっている



どうやら昼は暑いからみんな揃ってオヤスミしていたようだ
スペインのシエスタと同じだろう

そういえばドバイのタクシー運転手が

『昼間の1時から4時は暑すぎるから政府が外を出歩くなって
 注意勧告してるんだよ』

冗談みたいな話を真顔でしていた気がする




店頭にでっかいヒーターの箱を運び出している汗だくのおっちゃんがいる
ヒーターの中には串刺しになった沢山の鳥が
クルクルと回されながら炙られている

ついお腹が反応して立ち止まるとおっちゃんに大声で話しかけられる


おっちゃんだけでは無い
あちこちで呼び止められる

昼間はあっという間に橋まで辿り着いたというのに
自分で寄り道してしまうのもあって全然前に進めない

気がついたらあっという間に周りは真っ暗になってしまった

仕方が無い
きっと夜は夜で何か感慨深いものがあるだろう
そう思って諦めずに進む事に






暗くなるとさらに人が増えてきた
街の中心広場には待ち合わせをしているのか沢山の人が座っていた


確かに昼間に比べたら格段に涼しいし
ずっと家の中に居たら息が詰まるだろう

そう思った矢先に広場にあった電光掲示板を見てビックリした
温度計が壊れているという事を祈るばかり
いや温度計が壊れているというのもそれはそれで恐ろしいか


20100730-2 (1)



広場から一人の男性がのそのそ僕に近づいてくる
ブツブツ喋りながらやってきてついに前に立ちはだかり
僕の肩を叩いて今度は自分を指さす

どうやらこのデリゾールという街はみんな写真が好きなようだ

写真を撮って見せて上げると満足そうにうんうんと頷いて
またブツブツと喋りながらどこかへ歩いて行ってしまった


20100730-2 (2)



















夕食のサンドイッチを買って食べながら辿り着いた橋は
昼間のそれとは全く違った雰囲気を出していた

まあ、昼間の印象は腕白坊主達によって随分と脚色されてしまった節があるが
それでもこの橋入口の重厚な感じは少し背筋を伸ばさせる


20100730-2 (3)



友達同士やカップルに家族連れ
サンドイッチや飲み物を飲みながら沢山の人が渡っている

橋に足を踏み入れてみると
意外にも沢山人はいるのに全然音がしない
とても静かだ

人の話し声はすれ違う時にしか聞こえない
かといって川の音も聞こえない


人が歩く場所だけライトアップされ、それ以外はとても暗い
周りを見渡しても何も見えない
かろうじて川岸の街灯が反射しているので
そこに川が流れているのが分かる

不安になって欄干に向かってみると
昼間の熱くてなかなか触れられなかった鉄が異様に冷たい


20100730-2 (5)








けれども欄干の向こう側へ顔を出して覗き込むと
ビックリするような轟音が飛び込んできた

橋の上のライトが照らす少しの川面
そこには先の静けさからは想像も出来ないような
荒々しい水飛沫が散っていた


20100730-2 (4)



















橋の反対側までやってきて
そのまま向こう岸を散策するか今来た道を戻るか迷っていると
二人組の男に話し掛けられた

ここいらでは珍しく英語が流暢だ
と思ったらどうやら国境コントロールで働いているらしい

今まで出会ってきたシリア人同様とても人懐っこく
そして親切心が全開だった


「はるばる日本から来たのか!
 どう?シリアは楽しい?
 ビザや出入国で分からない事や困った事があったら相談しなよ」


結局話は弾んで三人で今来た道を戻る

これから友達の家でパーティーをするから是非と誘われたが
さすがにいきなりそれは、というのもあるし
明日早いというのもあって丁重にお断りする

そうか、それなら、、
代わりこの近くに行きつけのサンドイッチ屋さんがあるから
と、熱心に誘ってくる
さすがに全てを断るのは申し訳無く、向かう事に

さっき食べたばっかりだしあまり余計な出費は、、、
なんて考えていたらあっさりと注文され
肉がどっさりと入ったサンドイッチが手渡された


「さあ、ここのはすっごくうまいんだよ」


さっき食べたと言っても節約で肉入りのサンドイッチなど食べられず
常にベジタリアン用サンドイッチで済ませている僕は当然食べる

食べ終わって少し話してから
彼らはパーティーの時間というので席を立つ

勘定を、、となると二人は


「いいんだ、無理に誘ったんだから
 本当ならパーティーにも来てもらいたかったし
 だからこれくらい全然いいよ」


さっき知り合った訳も分からない外国人への
この親切心はなんだろうか

呆然としていると


「じゃあ、また
 本当に国境で何かあったらここに連絡してね
 楽しんで!」


店先であっという間に別れてしまった
僕は渡された連絡先を握り締めながら二人を見送るしかなかった


20100730-2 (6)








暫くしてから僕は宿へ戻る道へ歩き出す

言い様のない幸福感がじわじわ込み上げてくるのを感じながら
僕は昼間の何倍も賑やかな夜道を歩いた

賑やかさは幸福感をどんどん刺激する
きっと端から見たら奇妙な顔をしていたかもしれない
すれ違う人みんなに笑いかけていたような気がする




























部屋に戻って自分のベットに座り込む


部屋は4人ドミトリー
四つのベットと真ん中にテーブルがある

窓際の2つのベットにはシリア人の先客が居た
僕が昼間に来た時、部屋はカーテンが閉められて暗く二人は寝ていたが
今は居ない

僕は独り部屋でゴロゴロしながら今日の出来事を思い返していた






気がついたらあっという間に夜中を過ぎていた

明日朝一のバスでアレッポへ向かう
朝の弱い僕はそろそろ寝ないと起きれなくなってしまう

しかし二人はまだ戻ってこない
夜中に帰ってきて電気がついていなかったら大変だろう
僕は仕方無く電気を付けたまま寝る事にした

ドミトリーなのだからそこまで気を使わなくてもいいだろうが
きっと今日受けた親切心が人への思い遣りを強くさせたのかもしれない















明日はどんな出会いが待っているだろうか















、、と、想いを巡らせていると急に肩を叩かれた

何かよく分からずに目を瞑りながら様子を伺っていたら
今度は何度も身体を揺すられた

なんだなんだ、と目をこすりながら時計を確認すると
いつの間にか一時間経って夜中の2時になっていた

やはり電気を消さずに寝ると眠りが浅いな
夢をみていたのかただ考えに没入していたのかよく分からない

それにしてもこの時間に起こすとは一体何事だろう





部屋を見渡せばシリア人の二人が戻ってきていて
二人の間にセットされたテーブルにガサゴソ何かを広げている

恰幅のいい方が僕を手招きする

よっこらしょ、っと身体を持ち上げてテーブルに向かってみると
その上には沢山の野菜やオリーブにチキン、そしてそれらを巻くホムスが


20100730-2 (7)




まさかまさか、と思っていると
恰幅のいい方がアラビア語を喋る

勿論分からないが手を口の方にやっているのを見ると
どうやら一緒に食べようという事らしい








えー!!!








今日夕食を自分で買って食べておきながら
仲良し二人組に肉サンドイッチ、『シュワルマ』をおごって頂いて
その親切心に愕然となっていたというのに、まだやってくるのか!!

大食いの僕もさすがにお腹いっぱい
今日の出会いも十分満足に足る幸せなモノだった

空腹も親切も既に僕の容量一杯なのに
シリアはそこを軽く飛び越してしまった



だが、どう考えても寝ている人をほぼ無理矢理起こす
この人の半ば強引な親切の押し売りを振り切るなど僕には不可能だ
ましてや隣のベットとなれば尚更逃げ切れる筈も無い

相手の常識外れの行動が
通常なら怒るであろうこっちの常識の反応をも外させて
僕はもう笑っていた


20100730-2 (8)















初めはちゃちゃっと食べて寝ようという魂胆もあるにはあったが
すぐに諦めてしまった

まずはその食材の量が半端無く多く
そして二人がそういうつもりがなさそうだったからだ



特に恰幅のいい方はよく喋った



と言っても僕達はお互いが理解できる言語を持っていなかった

彼らは英語をなかなか喋れないこの地域の人の中にあって
さらにワをかけて喋れなかった

多分三単語くらいじゃなかろうか、本当に
そして僕は当然アラビア語は皆無に近い


なのに彼はそんな事は意にも介さず喋ってくる


僕は言葉だけじゃない大事なモノがあるというような事を想いながら
上手く喋れない英語を使うのに躊躇があって
結局伝える努力どころか何もせずにしょんぼりしてしまうというのに

さあ、この恰幅のオジサンはどうだろう
言葉のしがらみなど強引にはねのけているではないか
中途半端な知識は足かせにしかならないのだ


彼を見てると妙なプライドは吹き飛んでこっちも調子にのってくる

僕はいつの間にか英語やら日本語やらを混ぜながら喋っていた




彼ら二人はアレッポ出身で営業の仕事でこっちに来ているらしい
夕方お店を回るので昼間は寝ていたという

僕はと言えば日本を出て世界を旅行しているという事を伝える


一体どういう仕組みでこのコミュニケーションが成り立ったのか
当事者でありながら全くもって理解不能だが
彼らがそういう事を言っていたという自信があるし
僕の伝えたかった事も伝わった気がする





恰幅のオジサンはさらに調子が出てきたのか

『アレッポに居るいとこの娘が英語を勉強しているから
 是非話したらいい!!』

なんていって夜中の三時を過ぎているのに電話をかけだす


こらこら、さすがにそれはマズイだろうと止めようとするが
当然この人は止まらない
あっという間に電話を掛けて僕に手渡す


「あ、ど、、どうも、夜中にすいません。。」


これ以外にどう喋ればいいのだろうか
彼女も完全に困りきった対応

すぐにオジサンに電話を返すも、彼はとても満足したらしく
なんとその一時間後にももう一度電話した





さすがに彼女には申し訳なかったものの
僕はこの会自体はとても楽しんでいた


























開けっ放していた窓から大きな音が流れてきた
スピーカーから町中に大音量が流れる

モスクから流されるアザーンだ


恰幅のオジサンが、ちょっと、という感じで立ち上がる
二人はロビーへと向かっていった


アザーンはイスラム教の祈りの時間を知らせる合図
イスラム教徒は一日に5回聖地へ向かって祈りを捧げる

時計を見てみると朝の四時を過ぎていた
そうだ、5回のうちの1回は早朝だった気がする


ロビーを覗いてみるとあれだけ陽気だったオジサンが
無言でゴザの上を立ったりしゃがんだりしている

そうかこんなにまで起きていたのは祈りの為だったのか















独りで部屋で待っていると
空がだんだんと白んできた


さて、このパーティーもお開きになるだろう
これからどうしようかな

朝のバスまであと二時間ほどしかない
寝るにはリスクがありすぎる
でも何かをするにはちょっと宿の中は気を使い過ぎる





そう思っていると彼らが戻ってきた
ガタイのいい方はもう寝るという


さて、、

と、立ち上がろうとする僕を呼び止めて恰幅のオジサンが話かけてくる


『これからどうするんだい?』


あと二時間後のバスに乗ってアレッポに向かうと告げる


『それまではどうするんだい?』


それを今考えていたところなんだがな
咄嗟に、


「最後にもう一度ユーフラテス川を見たいから
 川まで散歩してこようかな」


と言っていた
すると彼は『よし、、』と僕の肩を叩いて
俺に付いて来いと言う

なんと車に乗せて連れていってやるというのだ

この人と行くと一体どんなペースに巻き込まれるかわからない
そんな不安から断ろうとするもこの人の強引さに勝てる訳も無く

 まあ、どうにでもなれ、か
 デリゾール、もう一泊になってもいいかもしれない

というふうに言い聞かせて車に乗り込んだ
























朝日を浴びたユーフラテス川


橋が見える所にテーブルを出しているチャイ屋さんがあった
そこで朝の紅茶でも飲もうと向かう

いくつもあるテーブルの一つに一人がコーヒーを飲んでいる所があって
何故か恰幅のオジサンは迷わずそれを選んで座る

『やあ!』

とかいってその男性と馴れ馴れしく話し始めているが
オジサンはアレッポ出身で出張でここに来ているのだ
それに初めに座っていた彼は医者の服を着ていて
どう考えても同業者じゃない

この恰幅のオジサン改めてスゴイ、と感心してしまった


お医者さんの方は英語が喋れるという事で
恰幅のオジサンは『さあ、さあ!』という感じで
僕を紹介して話を盛り上げようとする

お医者さんは夜勤明けでチャイ屋の目の前の病院から休憩で来たらしい

気が付けばその同僚の二人も加わって
5人で朝日を浴びながら笑っていた


20100730-2 (9)













そろそろ時間が、、という感じで時計に目を落とすと
恰幅のオジサンが『分かってる』という感じで立ち上がる

お医者さん三人に別れを告げて車に乗り込む


『大丈夫、分かってるよ
 これから一度宿に戻って荷物を取ってきなさい
 僕がバスターミナルまで送ってあげよう』


なんと、ただただ強引な人かと思っていたが
意外にきっちりしているところもあったのだ

僕は感動していた
































キッチリとお目当てのバスターミナルまで送ってくれた

街中からバス停までは遠かったので本当に助かった



僕が別れを告げようとすると
車のトランクを開けて何やらゴソゴソやっている

手渡された物はよくわからない何かのスプレーだった
どうやら商売品を僕にくれるというのだ


『欲しかったらこの箱ごとあげてもいい』


何に使うかもわからんし荷物も一杯だ
というか、そんな物受け取れない!!
親切過ぎる、あんた!!!

スプレーが嫌ならこれはどうだ、とまた何か取り出そうという彼を
初めて振り切り僕達は別れた





後ろから、


『アレッポについたらちゃんと連絡しろよ!!』


多分そう言った叫び声がアラビア語で聞こえる
彼は夜中にもずっとそれを言っていた


20100730-2 (10)

















バスが出発してターミナルを出ると
その車はまだあった

手を振って別れを告げる





















一泊しかしていないデリゾール、
とんでもない場所だった

そしてシリアのこの国民性の底知れなさ





徹夜したのもあったが
バスの席に座っても心臓の興奮は収まらなかった

















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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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