スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

男は覚悟かロマンか

20120225








早朝、独りで出発支度を始めるジュンコ
眠気眼でそれを眺める




石田さんのお陰さまで
思いっ切りサンパウロを満喫した僕達は
早速ここを発つ事にしたが
僕達のルートはここで別れる事になる

別に大喧嘩をしてしまった訳では無い
いや、正確に云えばこの件に関して喧嘩になった事は
何度とあるだろう


『この件』について話すには
約3週間前まで遡らなくてはならない



20120225 (1)
























パラグアイ、イグアス移住区のペンション園田での話


その後、弓場農場やリオにサンパウロでも会う事になる
タイヘイ氏

彼はその存在感が大きいのかはたまたただ声が大きいのか
この時は直接は話をしなかったけれども
ペンション園田の中をウロウロしている日々の中で
彼の武勇伝はいくつか自然と知る事となった


その中で特に何度も聞こえてきたセリフ


「ウンコが凍っちゃってさー!!」


何の事だかさっぱりなのだが
何故か耳をつくセリフ












時は過ぎ、一週間のちの弓場農場
一緒に汗水を垂らす仲になった僕達

タイヘイ氏と行動を共にしているタクヤ氏と
ジュンコに愛二と僕の5人で
夕食後のまったり時間を過ごしていた時だ

ジュンコが本人に想いをぶつけた


「あの、、ペン園で聞こえてたんだけども、
 ウンコが凍るってどういう意味?」


さすがだ、
ジュンコはこういう時
怖いもの知らずの突進力を持っていてとても頼りになる

彼女自身も十分自分の強みとして理解しているようだが
果たして今回ばかりはのちのち大いに後悔していた





「あー、その話はですね、、」


その時に出てきた名が僕達のその後を大きく変える
『アコンカグア』であった


タイヘイ氏は登山を趣味と言えるくらいの男で
日本でもよく合間を見ては山をたしなんでいるという

大学生のタイヘイ氏は休学して世界一周中だが
その間にもいくつかの山を目指して登ってきている
パキスタンやネパールでヒマラヤ山系の山にも登っているし
アフリカではケニヤ山にキリマンジャロも登っている

荷物はといえば、半分は登山用具らしい

そして今回の旅での文字通り一番の山場が
そのチリとアルゼンチンの国境付近にある
アコンカグアという山だった


「汚い話なんですけどねその山、野糞しちゃいけないんですよ
 袋を渡されてその中に自分の出した物を回収して
 一緒に下山しなくちゃいけないんですよ」


自分で出した『ゴミ』は全て持ち帰る
という事だろう


「そんなウンコなんてどうやって保存するのかって話ですよね
 でも、この山、結構標高が高くて
 上の方でウンコするとあっという間に凍るんですよ!
 いや、冗談じゃ無く」


勿論笑い話なのだが、どうもネパールで
アンナプルナのベースキャンプまでトレッキングしてから
山の話は気になるようだ

隣に一緒に登った愛二が居るというのも
これは影響しているだろう
愛二に至ってもどうやら同じ感覚だったらしい


「標高が高いってどれくらいなんですか?」

「えっと、確か6900なんぼかだったような」






、、、






6900!?






「えーー!!!
 そこ、登頂したの!?」

「しましたよ!
 今シーズンはなかなか天候が優れなくて
 登頂率が悪いみたいですけどね
 僕は単独で登ったんですけど、
 その時はまだ日本人で単独登頂したのは
 僕を入れて三人だけでした」


なんと、、ここまでの男とは

別に軽く見ていたという事は無いのだが
本当に大きな男だった




それから愛二と僕はとりつかれたように
この偉大な男に質問しまくった

どんな山なのか
スケジュールはどんなだったのか
特別な装備は必要なのか
素人でも可能なのか


いつの間にか自分達が登る事を
想定し始めているのに後になって気が付く
いや、ジュンコに指摘されて気が付いた


「え??もしかして登るつもりなの?」


明らかに冷めた目で見てくるジュンコ
その目を見て初めて
僕自身が熱に犯されているのに気が付いた

でも、既に前のめりになっている気持ちは
そこから急に元に戻る事など出来無かった


仕方が無い
自分でもジュンコからの指摘で
ふと我に還って気が付いた熱である

その熱く荒々しい気持ちと
現実との折り合いを付けるには
まだこの気持ちは新しすぎた


ハッキリしているのはその温度差であって
現実とのギャップを埋める為に
しどろもどろになってしまっている自分の言葉に
自分自身で困惑した


「いや、どうだろう、、
 わからないけどさ、すごいじゃないか!
 7000mの世界だよ!」














それからというもの
ネットで『アコンカグア』という山について必死に調べた

写真を見て
登山記を見て

きっとその熱を定着させる時間と
ギャップを埋める為の言葉を探す為に






アコンカグアは想像以上の山だった



7千メートル弱という高さが純粋に驚愕

さらにはこの高さをもってして
南米大陸最高峰の肩書きは納得なのだが
実は南米どころかアメリカ大陸全体
しいてはヒマラヤ山脈系を除けば一番高い山だという

あの、北米最高峰のマッキンリーよりも
あの、アルプス最高峰のモンブランよりも
あの、アフリカ最高峰のキリマンジャロよりも

どれも山素人でも聞いた事があるような山々よりも
何よりも高いという



熱を定着させる作業というのは
熱を弱める事に在らず

そう、その気持ちを現実に包み込んでいく作業

どちらかと云えば、知れば知る程
この山に対する興味は膨らんでいく






何よりも僕のこの気持ちを焚き上げたのは
かの有名な登山家植村直己の著書『青春を山に賭けて』
をちょうど読んでいたという事だろう

タイヘイ氏に話を聞いた時
まさに僕はこの本を読み切ろうという時だった

そういえば、という感じで本を読み返してみれば
確かにそこには『アコンカグア』という名前が



そのページを開きながら
僕はすっかり固まってしまった

そしてその代わりに
心の中は大きく燃え上がっていた
























それからというもの
ジュンコと僕は先のルートの話をすると
どうしてもぶつかる事になった


タイヘイ氏の話によればアコンカグアの登山シーズンは
南半球が夏の12月から3月中旬まで

登山は大体2週間程かかるので
最低でも素人ならば2月の終わりか
3月の初めまでには入山していなくてはいけない


この話を聞いたのが既に2月中旬
行くなら急がなくてはいけない

今はブラジルだがアコンカグアのお膝下の街は
アルゼンチンのメンドーサという街
その距離しめて3000キロはある

そこまで行くのに何日かかかる
そして準備にも何日かかかる
そうなると一刻も早く行動を起こさなくてはならない


でも、熱に犯されていないジュンコとしては
当然寝耳に水の話

しかもこれから一緒に世界一周をする身でありながら
急に一人進路を変えてしまうのは
確かに身勝手極まりないのは自分でも感じていた

だからこそ現実と
自分の気持ちのギャップにあえいでいた










僕達は一緒に世界を回るという話をした時
ジュンコは、

「世界一周という話に私が途中参加するのだから
 あなたの遣りたい事を存分にやりきるのを優先する
 行き先とかもなるべく合わせられるから」

という話をしてくれた



二人で世界を旅するとなった時
考えられる衝突としては行き先の問題がまずある

興味の対象が全く同じ訳では無いのだから
それは起こるべくして起こる事だ

その問題を想定した話をした時の話である



だからと言って、
僕としても何もガンガン自分勝手に前に進むつもりは毛頭無いし
昔から培ってきた『男』らしさという
僕なりの考え方はそれなりにあって
そこに沿って行動していくつもりだった

僕としては二人で行くとなった以上
二人の旅としての物を作り上げていく責任と覚悟を
その時は決めていたのである




だが、

今燃え上がっているこの心の熱をあえて云うとすれば
男のロマンとでも云うのだろうか

どうもロマンと言ってしまうと
陳腐な感じがしてしまうのが悲しいのだが
これは『男』としてどうしても引き下がれない
そういう気持ちがしていた





男として覚悟を決めた事
そして男として引き下がれない物

二つを天秤にかけるべきなのか








そんな筈は無いのだ




僕は『男』なんて慣れない言葉を使って
自分自身でこんがらがってしまっているが

何よりも僕は前に進まなければ何も出来ない人間なのだ
目の前の明らかな目的に向かって
歩いていくしかできない人間なのだ
















ただ、この結論は自分をスッキリさせなかった

ジュンコとの事を考えると
自分自身に自問自答を続けてしまう

このままでジュンコはストレスを抱える事になるだろうか
この先また僕はこういう事をしてしまうだろうか



でも、その答えすらも
この登山が見い出せてくれるだろうとも思った

少し都合がいいかもしれないが
この僕が前に進んでいる間
そしてジュンコと離れている間の
お互い気持ちの揺れや遣り取りが
何かの答えを出してくれると思った




何より僕達はまだそうやって離れた事が無いのだから
























ジュンコは口少なだった


黙々とパッキングを進めて行く


20120225 (2)




久々の旅再開でなかなかパッキングが早く出来なかったが
今では随分と早くなったのでは無いだろうか


20120225 (4)



僕が見る景色は一緒なのだが
自分自身がリュックを背負っていない
肩に重みを感じていないだけで
こうもいつもと違う感じがするものなのだな


20120225 (3)




ジュンコは独りで鹿児島県人会の前の坂を登って行く


最後に気持ちが伝わってくる
表情をして行った




20120225 (5)








ここまでしたのだ、

目的に向かって精一杯進んで行くのだ


全てを前に向かう力にする
そう仕向ける





早速僕達もパッキングをする為に部屋に戻る










コメントの投稿

非公開コメント

main_line
main_line
Profile
    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
LAN Twitter
    旅の日記はなかなかリアルタイム更新とはいかないが、twitterならなんとか、、

     → follow me on Twitter

関連日記

共に旅立った同志達のブログ

sallan

I.G.
http://salig.blog37.fc2.com/

SHOGO
http://salshogo.blog37.fc2.com/


共に旅をするパートナーのブログ
ばーちーの、ちるり旅
http://jstyle623.blog129.fc2.com/

最新日記

 → check my all posts

カテゴリ
本 (0)
UAE (4)
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新コメント
SAL
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。