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4370-クライミング4日目-

20120303









山の朝は早い





そう、それは前回のブログでも書いたように
自分でも分かっている

でもだからって人生で最高の試練を無事に乗り越えた次の日
早朝起床など出来ようか
そんな身体にムチを打つような事は出来ない
むしろ前日の頑張りを褒めてやりたい

ここは4370m
それはつまり今までの人生での最高地点である
名実共に人生最高の壁だったのだ





勿論ネパールはアンナプルナのトレッキングの最高地点
4150mより高いのは自明だが
後に地上に戻って調べて気が付いた驚愕の事実があった


僕達はオーストラリアでスカイダイビングをした事がある
飛行機で飛び上がり遥か大地の上から
空のど真ん中に放り出されるあれだ

あれ、記憶が正しければ14000フィートから飛び降りた筈だ

10000フィートと14000フィートの二種類があって
折角やるなら勿論高い方でしょう!という感じだった

14000と聞けばフィートがよくわからなくても
「オオ!!」というふうになるくらいの数字のインパクト


僕達も十分納得の体験だったのだが
さて、改めてこれは何mなのだろうか


実は4200mと少しであった












!?













あのスカイダイビングは文字通り『空』から飛び降りたのである

果たして今僕達は地面を踏みしめている
大地の上にしっかりと立っている

地面に立っているこの場所が
あの時の『空』よりも高いというのは一体どういう事であろうか
常識を覆す価値観である、『山』というのは









と、云う訳で間違い無く人生最高地点に到達した僕達
昨日の達成感は見事なモノで幸せ一杯の睡眠時間を過ごし
更に目が覚めてからもまどろんではまた眠りにつく


何事も腹八分目とはよく云うモノで

人間満腹満足してしまうとどうも動きが鈍ってしまう
まさに『ハングリー精神』の欠如である


僕達は今日は下りという事もあって
ゆっくりめの7時起きを予定していたのだが
それをすら見事に寝坊して8時起き

更にはダラダラ準備をすると朝食後には9時をゆうに過ぎ
それでもゆったりとお茶をたしなむ有様であった












ここベースキャンプは下のコンフルエンシア同様
レンジャーのチェックポイントがあり
そしてドクターチェックもある

昨日の夜は常人在るまじき遅さでベースキャンプに到着した我々
(ある意味それは当然である
 何故なら普通は皆ロバに荷物を預けて登ってくるのだから)
遅すぎてドクターに明日の朝来てくれと言われたのだ

まあ、僕達も昨日の夜は人と対する余裕など皆無であったし
チェックされていたら間違い無く色々な身体の数値は
最低値を示していたに違いないので結果としては良かった






のそのそと起き出して
レンジャー小屋へ向かって歩き出す





それにしてもここベースキャンプ(Plaza de Mulas)は広い

僕達が仙人様の御好意によって
幸運にも中心地の企業地帯にテントを張れているというのに
レンジャー小屋まで10分はかかる
(勿論荷物を持っていない状態で)

見渡せばずっと向こう側に小さくテントが見えていたりする


ここはかのエベレストのベースキャンプに次ぐ
世界で二番目の広さを持つベースキャンプだという

200テント以上も張れる大きさであり
年越しの際には山の上というのにお酒あり花火ありの
大変な騒ぎになるらしい

が今はシーズンギリギリ終わりであるというので
殆どテントは無く企業も撤収する準備に取り掛かっていた







やっとこさ小屋に辿り着くも
今日はコンフルエンシアまで一度降りる旨を伝えると
また戻ってきた時でいいよ、となった

いつもなら理不尽な対応に怒ってしまいそうな所だが
余裕とはスゴイものである

そうかい、という感じで僕達は来た道を引き返す










さて、のんびりと外に出た我々、辺りを散歩していると
そこにはベースキャンプを示す立看板があった


現時点での人生最高地点である
しかもこれから上にまだ登ろうとしている訳だが
果たして何が起こるかわからない

それはこの三日間で身に染みて分かった事だ
突然のギブアップも容易に有りうる

という訳で記念撮影


20120303 (1)







昨日は疲れすぎていて全く会話が出来なかった仙人様も
まだここに居て再会


20120303 (2)





のんびり山の話なんかをしていると
あっという間に時間が経ってしまった

身体はどうも余裕というよりも何かから逃げていたようだ
いつまで経っても動こうとしない
明らかに歩くのを億劫がっているようだ


結局残りの荷物を取りにコンフルエンシアへ向けて出発したのは
すっかり陽も昇った昼前11時であった

山々の間をまた戻って行く


20120303 (3)









今日は愛二を先頭に出発

昨日の散々痛めつけられた鬱憤を晴らすかのように
物凄いスピードで駆け降りる

本当に走るように降りた
重力に任せるまま身体を宙に浮かせ
その勢いを借りて地面を蹴って下に向かう

殆どの荷物を置いてきたおかげで
10キロ未満の重さはもう肩に何も感じさせない


『勇敢な谷』はあっという間に後方に姿を消し
僕達はものの一時間半後の昼12時半に
大きな岩(Piedra Ibanez)に辿り着く

腰を下ろすと相変わらずだらしない感じで
立看板が『あと4時間』と謳っている

僕達は昨日、同じく昼間にここに辿り着き
そして7時間かかってベースキャンプへ倒れ込んだのだ
後ろを見上げると無数の山影が折り重なって
ベースキャンプの姿は勿論断片も見えない


まだたった一時間半で身も心も軽々な僕達は
昼食のフランスパンをパパっと食べると30分もせずに出発した












それにしても、

下りと荷物が軽い

というだけでこんなにも違うものだろうか



前日に13時間かけ全身全霊を込めて歩いた道々は
目にも留まらぬ速さで過ぎ去っていく

歩きながら、いやほぼ走りながら思った


 これはもしかして荷物を取って
 頑張れば今日中にベースキャンプに戻れたのではないだろうか


しかし既に時遅し
僕達は余裕に構えて昼に出発してしまった事は
取り替えしがつかない事実である

そして何より

後の事を考えて半分以下にしてあるという残してきた荷物は
昨日よりも軽いとしても15キロ以上はあるのだ

人間とは恐ろしい
あれだけ辛い思いをしておきながら
それでも可能性だけは考えてしまうのだから

思考は無制限というところか
いや、喉元過ぎれば熱さを忘れるだろうな











ただ、すぐに今日中にベースキャンプまで戻るという可能性は捨てた
その代わりに何で今までその事に気がつかなかったのか
というような考えに唖然としながら行き着いた


 じゃあベースキャンプまで戻らなくとも
 途中まで行っちゃえばいいじゃん
 そしたら明日『勇敢な谷』を登る前に
 少しでも体力温存が出来るというものではないか


愕然とした

だったらやっぱり朝早く出るべきだったのだ
満腹感で麻痺していた感覚
やはり思いっ切り朝の自分をムチで叩いてやりたい



まあどちらにしても山は前に進むしかない

僕達は相談して一度コンフルエンシアまで行き
夕食を食べてから水を補給してレッドストーンまで
戻ってきてそこでテントを建てて泊まる事にした

幸いな事にレッドストーンの周りは平らで砂である
テントを建てるにはもってこいの場所だ



そうと分かれば善は急げである

レッドストーンに到着すると
僕達は殆ど唯一持っていたテントと寝袋などを岩の隙間に隠し

もう殆どリュックの重さ自体だけを背負って
さらにスピードアップして平原を駆け抜けた
























コンフルエンシアに辿り着いた時は午後4時半であった

しめて5時間半の行程
前日の半分以下である

これぞ往路と復路の妙



無事にコンフルエンシア入口の
例の仙人が居た白いテントの脇を入っていくと
話し掛けられた


「おお!調子はどうだい?」


登山前、メンドーサの街で登山用具をレンタルしたお店
そこで一緒になった人達であった

三人のフランス人と彼等をガイドするエクアドル人
ガイドは名をロベルトと言い
英語は勿論フランス語まで操り
寡黙な年配衆のフランス人とは違って
どんどん話し掛けてきてくれた


「40キロの荷物!?そらすごい」


彼は気持ち良い受け答えをしてくれる
すると隣に心配そうな顔をしたフランス人が一人やってきた
ロベルトに通訳するように頼んで話し掛けてきた


「彼は朝のチェックで血液の水分量が足りないって言われたんだよ」


おっと、あのドクターの犠牲者がここにも居たのだ
僕達だけではなかったという事実は
的外れとはわかっていながら僕達の自信を少し蘇らせる


「大丈夫、一日安静にして兎に角水分を摂ったら
 僕達も一日ストップをかけられたけど大丈夫だったよ」


フランス人はそれでも不安そうだったがテントの中に入っていった
ロベルトは話し続ける


「そうか、それは安心した
 これから君達はどうするの?」

「残りの荷物を取って5キロ少し先の場所でテントするよ
 あなたたちは?」

「今日はじっとしてても仕方ないから
 ドクターに勧められたフランシア峰(Plaza Francia:4230m)に登ってくるよ」


僕達も言われた別ルート
それに登るとは

しかも高度順応の為にさらっと登ってしまうのだから
さすがガイドである



















僕達は少し話してから上での再会を約し
夕食を摂ってからすぐさまコンフルエンシアを後にした

いくら荷物が少なく目的地が近いと云っても
その間には例の深い谷があるのだ
山は気を抜く場所など無い





最終的に昨日とほぼ同じ時間の
午後7時半、暗くなる直前にレッドストーンに到着

テントも寝袋も盗られる事無く
僕達は無事に寝床を確保した





驚いた事にはもう暗くなる直前だと言うのに
人が通っていく事である

全く荷物を持たないオジイサン集団5人まで居た
一体真っ暗になって何かあったらどうするのであろうか
しかも行き先はコンフルエンシア
という事は例の谷を通るというのに

中には声を掛けてくる人も


「夜中、風で岩がテントの上に落ちてこないように注意しなよ!」


そんな訳あるか!
というか自分の方が危うい状況ではないか



















テントに篭る時に大きな爆音でヘリが上空を通り過ぎると
それを合図にしたかのように空は一気に暗くなり
それっきり、太陽が全てを連れ去ったのか
何の音も外から聞こえなくなった


テントサイトで流れてくる
レンジャー室のテレビの音
少しの明かり
人が行き交う足音

何も無い


本当の真っ暗なテント





大自然のど真ん中にポツンと居るのが
テントの中、目を瞑っていてさえ
ありありと感じられた



20120303 (4)




















アコンカグア登攀4日日
ベースキャンプ (Plaza de Mulas) : 4370m - コンフルエンシア (Confluencia) : 3380m , 5.5 hours
コンフルエンシア (Confluencia) : 3380m - レッドストーン (Red Stone) 3600m , 1 hour


aconcagua4.jpg








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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


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