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3600-クライミング5日目-

20120304











大自然の真ん中での贅沢な寝床だった




周りには誰一人いない
動植物に水すらない
完全なる自然を独り占め

それなのに僕は全然寝れなかった

完全なる静寂は逆に気持ちを緊張させるモノであるが
今回はそういう事が原因ではなさそうだった











山に入ってからというもの
人生で経験した事が無いような激しい活動が続いていたが
しかし昨日はうって変わって優しいものだった

確かに半日荷物を持って歩いたには歩いたが
それより前までの日常を遥かに超越した負担を考えると
物足りない感じはある

もしかしたら身体が身構えすぎていて拍子抜けしてしまい
寝るには疲れが足りない、という妙な事態が起きたのかもしれない


この短時間で筋力体力共についたとはとても思えないのだから
これは精神的な作用であるような気はする

精神論は現代に入り忌避される傾向ではあるが
やはり完全否定できるものでは無いだろう
何事もモノは考えようである








そして寝不足のもっと現実的な理由として尿意

寝る前にどうもお茶を飲みすぎたようだ
兎に角トイレに行きたくてしょうがなかった


だったら行けばいいではないか
テントなんだから出てすぐ出来るだろうに

とお思いの方も多いだろうがそう簡単な話でも無い
いや行為自体はそうなのだが問題はその気温にある


コンフルエンシアの時の寒さに加えて
ここレッドストーンは何も無い所
熱を持つものは僕達をおいて他に無く乾燥は余計にであって
さらに山の間を抜けていく風は全てをさらっていく

その真夜中

折角暖まった寝袋から抜け出し
さらにテントからも抜け出し
さらには重ね着しているパンツをも全て脱いで
素肌をさらけ出す行為は

寝袋にくるまっている状態では
到底受け入れられる情景では無いのである












と、言うのではあるが
一晩中我慢し続ける事は不可能なので
一度だけ僕は覚悟をして外に出た


出た瞬間

僕は我慢に我慢を重ねた末のもう限界尿意
そして一気に頬を叩きつけてくるこれ以上無い氷のような風

その二つともを一瞬忘れた







忘れさせたのは真っ暗な筈の世界に
信じられないくらいの星星が目一杯に輝いていたからだ

今までの人生で見てきた星の数を全て足しても足りないくらいの
それくらい圧倒的で隙間などないくらいの星空


満天の星空は今自分が立っている空間を大きく取り巻いて
どれだけ大きな自然の中に自分がいるかを示してくれている






残念ながらゆっくり星空を見上げる時間は
すぐに舞い戻ってきた寒さの感覚によって奪われ
僕はテントに戻る事になった

しかし、尿意も無事に落ち着きさあ寝ようと目を閉じるが
そのまぶたの裏にはさっきの満天の星が煌いてしまう


そうしてやっぱり僕は眠れなかった
























という訳で予定の5時過ぎに起床はするのだが
完全なる寝不足で起きる事になった


昨日の行程が物足りない、などとさっきは書いてしまったdが
疲れが物足りないなど厳密にはある訳が無く
そう、見事に積み重なっている

朝起きた時の足のだるさは強烈であった


しかし、


やっぱりそれでも行かねばならない
山に身を投じた我々は前に進まなくてはいけない


20120304 (1)







まだ山々の天辺付近までしか光が当たらない7時半
僕達は早々に出発した

ペースは順調で平らな道をぐんぐんと進んで行く
一度通った道というのもあって
頭の中で地図を描きながらペースを考えて進んだ


いつも朝一で抜かれてしまうロバの集団にも抜かれる事無く
二時間後に大きな岩(Piedra Ibanaz)に到着

この後の長い山と谷の繰り返しに『勇敢の谷』を意識して
30分も休憩せずに出発

もうアコンカグアに入って5日目
荷物も20キロ弱
そして一度通って知った道である

僕達はどうも慣れた様子で余裕を持って歩を進める


20120304 (2)














初回には全く余裕が無くて眺める事が出来なかった
昨日降りた時には急ぎすぎて見上げる事がなかった


そして今日、歩きながら

僕は初めてアコンカグアの姿をハッキリと
そしてじっくりと見た



登山口やコンフルエンシア辺りでは
山の向こうのまた向こうで
全くその姿を見る事が無かった

ベースキャンプに居た時には
目の前にそびえていたのは確かだが
僕はその時はコンフルエンシアに戻るつもりであって
まだ上の方に意識がいっていなかったらしい

そして歩きながら目的の山を見上げるのは
また少し趣向が違った



自分の歩くペース
それに正確に伴って景色がゆっくりと移り変わっていく

目の前の岩岩は確かに後ろへとすぐに姿を消していくが
目指す峠や谷はどうもじれったくしか近づいてくれない
そしてその斜面の上に鎮座する山はと云えば

『動かざるの如し』



そんな山々の一番上に霞むようにそびえているアコンカグア



どうしてもそこまで思考が辿り着いて
仰ぐように立ち止まってしまいたくなる

だってその存在感は圧倒的であるし
そして到底辿り着けないと思わせるような畏怖の念が
心を覆ってしまいそうになるからだ


20120304 (3)














余裕は徐々にそんな偉大なる山々の景色に削り取られていく


繰り返される山と谷の景色は
知っていながらやはり僕達を狼狽させる

結局荷物は20キロ弱であるから
そのうち肩に食い込んでくる事になる


おかしい


こんな訳は無いと無理に足を前に出そうとする
そんな無理は余計に身体を固くさせる


おかしい


頭も焦りを生んで熱く速く回転するようになってくる
そうすると目に映る景色がぐるぐる焦点が掻き乱されていく




後ろから気配がして振り返れば
ロバ達が猛スピードで駆けて来る

爆音がやってきてヘリがいつもの様に飛び抜けていく


もう恒例になった筈の事

冷静に考えればいつもの時間に
ロバもヘリも通り過ぎたにすぎないのだが
僕の心はいちいち反応してぐったり凹むのだ
























何とか昼過ぎの1時半には以前のベースキャンプで
『勇敢の谷』下のコロンビアに辿り着く

4時間でここまで辿り着いたのだから
順調というよりもどちらかと云えば
かなり早いペースでやって来た事になるのだが
僕達の顔に覇気は無い



しかし口はよく動いた

パンを頬張りながらも言う


「いやあ、オレらすごいよ
 あの道をたった4時間なんて成長してるじゃんか」


褒める

無意識に自分を鼓舞しようとしたのだろうか
そしてまた言う


「前回はあれだけ疲れて三時間でここを登りきったんだよ
 今回はまだそれだけ疲れてないし荷物も軽い
 そしてまだ昼2時前だ」


どれだけのハプニングに疲れが襲ってこようと
三時間以内には着くのだから

という甘えのような言葉



精神論は完全否定できない、とついさっき書いたが
云ってみればこれは精神論的逃げであろう

おかげで気分は随分楽になったが同時に気が抜けてしまった


その後『勇敢な谷』に取り組んだ僕達は
情けなくも何度も立ち止まって肩で息をし
すぐにへたりこんでしまったりした








ベースキャンプに辿り着くことが最終目的ならば
別段それでもよかったかもしれない

しかし僕達の今回の目的はそんな事では無い
さらに上のまた上
アコンカグアの頂上なのである

しかもこのベースキャンプまでの道のりは
大きな荷物を背負ってはいるものの
道程はクライミングというよりもトレッキングである

そこにヒーヒー言っている僕達は果たしてどうであろうか




















そんな僕達にガツンとくる出来事が
ベースキャンプに着いた時に起きた



無事に僕達はベースキャンプに明るいうちに辿り着く事が出来た

ベースキャンプの一番手前にあるレンジャー小屋
その前の広場でレンジャー達が
バレーボールをして楽しんでいた

その中の一人が僕達に気が付いてなんと拍手をしてきた


「おめでとう!!
 ウェルカム!!」


何だかよくわからないので対応に困っていると
お構い無しにその拍手の輪は広がっていった


「Bienvenido, loco Japones!!!」


『Loco』とはクレイジーとかバカ者というスペイン語である

結局よくわからないままであったが
みんなは笑顔で肩を叩いてくる
からかっている面もあっただろうが
どうやら嘲笑という訳でもなさそうなので
僕達も笑いながら手を叩き合った


レンジャー達は情報を常に共有している筈である
下のコンフルエンシアのドクターや仙人が
みんなに話したのかもしれない

素人でありながら企業を手配せずガイドも無しで
本当に無謀でバカな日本人二人組みとして






そうだ、いくら僕達が勝手に山の頂上を目指しているとしても
彼等は見ているのだ
僕達は見られているのだ

そしてこの道程は僕達だけのモノではない

何かをしでかせば
(僕は素人だからその想像力すらやはり陳腐なモノだが)
雪崩を起こしてしまう危険性だってある訳だし
遭難する事も十分に考えられる

そうしたら僕達だけの問題では無くなる

勿論大事な人達に多大な心配と迷惑を掛けるのは当たり前だが
このレンジャー達や同時に登っている登山者達の行程にも
大いに影響を及ぼす


そして何より山に対する姿勢や畏怖の念







アコンカグア初日、登山口を通った時に思った想い

僕達はこの山に入ったと同時に素人如何に関わらず登山者と成り




責任と権利を手にしたのである



























少しして午後3時半に例のフランス隊がベースキャンプにやって来た

昨日聞いた話では朝8時半にコンフルエンシアを出発する
と言っていたのでたったの7時間でここまでやってきた事になる


驚異という他は無い


確かに荷物をロバに預けてはいたのだが
それでも7時間でやってこれるという事実を
僕達は重く受け止めた

僕達は二度も通った道を思い返す
そして自分自身の身体的な能力を省みる









汗を滝のように流しながらも
笑顔で僕達に話し掛けてくるガイドのロベルト


そのすぐ背後に遥か高くそびえるアコンカグア


20120304 (5)












明日から遂に本格的なクライミングが始まる



20120304 (4)
































アコンカグア登攀5日日
レッドストーン (Red Stone) 3600m - ベースキャンプ (Plaza de Mulas) : 4370m , 7 hours


aconcagua5.jpg




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No title

連日UPしてんねー。
貯めてたな、さてわ!?

Re: No title

> salig
シリーズものですからね
main_line
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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
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