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焦点の移り


[20100715]




外に飛び出すともう辺りは真っ暗
なのにやはりずしっとくる空気
すぐさま汗が肌を埋め尽くす

事前に調べた限りでは空港から市内まではタクシーしかない
そんなバカな話はないと思っていたが
既に暗いという事もあってそのままタクシーで

政府管轄なので値段表記も行き先によって明記してある
値段交渉も勿論そこには存在しない


懐かしいトヨタのカムリに乗り込む
だが、そのカムリは東南アジアで見てきた
年代物の角ばった輪郭ではなく流線型だ

中はしっかりと冷房が効いていて
ソファもどこも破れていないしクッションもふかふかだ

走り出すと心地良いリズムで振動がやってくる
日本の高速を思い出す
しっかりと真っ直ぐにならされたコンクリートの道
等間隔にやってくるオレンジ色の街灯

追い抜いたり追い抜かれたりする車
BMWを見た以外は大体が日本車のようだ

その奥に見える町並み
二三階建て以上の建物は見当たらない
ずっと平らな土地が続いている

夜のハイウェイ
たまに大人しい町並みを突然打ち破る大きな物体が
緑色にライトアップされたモスクが通り過ぎて行く







事前に調べていたホテルに泊まる

オマーンの物価は高い
宿も選択肢が少ない

独りになったばかりなので、始めに甘えちゃいけないと思い
周りにあるホテルも回ってみたがどこも同じ値段かそれ以上

仕方無く始めに行ったホテルへ


中は冷房がしっかりと効き
シングル部屋に入るとシャワートイレは当たり前
ガラスの付いた大きな机にテーブル、そしてテレビまで


20100715 (1)





落ち着くとまずいと感じて荷物を置き
すぐさまロビーに戻って受付に向かう
やはりトーブにオマーン帽を被った優しそうな男がこちらに笑顔を向ける
言い忘れたがタクシーの運転手もしっかりと同じ格好だった

今日一日何も食べてない事を思い出して
オマーン料理はどんなかを聞いてみた


「オマーン料理などというものは無い
 ここにあるのはアジア料理だ
 インドやトルコやオリエンタル、それらのミックスだよ」


そうか、全く新しい場所にやってきたという高揚感に隠れていたけれども
ここはそれでもアジアなのだ





すぐ近くに美味しい魚料理を食べさせてくれる所を紹介してくれた





20100715 (4)



絶対に高いけれども、一度それを聞いたら
欲求は止まる事を知らない

とりあえず行くだけ、、
となって、まあ5分後には僕はそのお店の席に座っていた

中東にやってきた
それを祝して今日はぱーっとやろう
そう言い聞かせてしまったら、余計にエスカレートしてしまうもので


僕は店の人にすぐ戻るから、と言い残して向かいの売店へ
自然とお酒を探している自分がいるのに気が付くが
そういえばここはイスラム圏ではないか

自分の行為に笑いそうになった時に
なんとビール瓶らしき物を発見
聞いてみるとまさに『ビールもどき』という事




瓶を持ちながら店を思い切りよく出た
どんどんほぐれていく緊張感を感じながら戻ると
トーブを着ていない三人組の男が隣のテーブル席に座っていた

自然と始まった会話
インドから出てきたという若者三人
僕がちょうど今日インドからやって来た事を伝えると
こちらのテーブルにやってきた

インドの南の方にあるキャラという町からやって来た彼等
自分達の町の良さを語る顔はすごく嬉しそうだ


20100715 (2)




やっぱり南インドも回りたかったな

そう思うのと同時に
近くの国と国はお互いに影響しあっているんだという事を強く感じた


日本に居る時
例えば東南アジアやインドの話は自然と入ってくる
身の回りにもよく人は居て触れる機会がある
けれども中東の話となるとどうしてもニュースからたまに入ってくるだけで
自ら求めていかないとなかなか入ってこない
この差はイメージを形作る時に大きく影響する

それは何も日本が閉鎖的と言っている訳ではない
距離的に近い、というのは重要な意味があるのだ、と


インド洋を渡ってきた僕が中東で始めて出会ったのがインド人であった事は
日本からはっきりと見える世界から離れて
その外側にある、また別の世界にやってきている事を如実に感じさせてくれた



僕のテーブルにお皿が次々にやってきた
その量は僕の想像を超えていた

バターライスにサラダに魚に

四人で一緒に食べてもいける量
頼む前に始めから出会ってたらよかったね
そんな事を言い合うも既に時遅し
彼らも同じものを別で頼んでいた

といっても大食いで昔は通っていたのだ
そんな僕が一日何も口にしていなかった
そして久し振りの魚を目の前にして後悔する訳が無い

キャラ出身の三人組が自分達のテーブルに戻ってから
僕は一心に食べ続け綺麗に食べあげた



20100715 (3)







大満足でシェフにお礼を言い三人に別れを告げ
目の前にある遊歩道を散歩する事にした

このエリアの名前の由来にもなっているコルニーシュ
アラビア語で海岸沿いを意味する
黒い海の上に大きな船が停泊している
キングの船だそうだ


20100715 (5)




タイルがしっかりと敷き詰められ
綺麗に湾曲した海岸線はオレンジ色の光に浮かび上がる
テーマパークのような装飾をされた街灯の下を
綺麗に手入れされた車がひっきりなしに行き交う
日本の横浜かどこかに戻ったかのような錯覚がする


20100715 (6)





向こうから三人組の背の高い男達がやってくる
みんな暗闇に浮かび上がる真っ白なトーブ
さっきの錯覚をおちょくるように
男達は当たり前のように僕に目もくれずすれ違う

彼等の後姿を追おうとおもむろに振り返ると
視界の端に大きな建物が入ってくる
白い壁に青い色
そこに細かい白い模様がびっしりと描かれている

モスクだ


20100715 (7)




無意識に足が向く




こんなにまじまじとアラビア文字を見たのは初めてかもしれない
よく欧米人が漢字を見て「beautiful!!」と言っているのを
半分共感しながらも、はっきりとその気持ちを理解していなかったが
残りの半分の気持ちを今感じた気がする

優れているとかいないとか
読解出来るとか出来ないとか
良い悪いとかではなくて

純粋に綺麗だと思った
見惚れてしまった




兎に角静けさと暑さが覆っていたコルニーシュに似つかわしくない
人々の囁き声が集まっているのに気が付いて視線を落とすと

モスクの前に沢山の人達がいる

白い塊とその隣にはそれに対をなすように黒い塊
白いトーブを着た男達とアバヤを着た女性達
二つは相容れない色の様にはっきりと場所を違えて集まっていた


20100715 (8)






ここは横浜でもインドでも無い

当たり前だけど中東のオマーンの首都マスカット




そういう実感が沸いてきた




幕開け

[20100715]







『デリー発シャルジャ経由マスカット行き』






並ぶ単語がもう心を躍らせる


デリーの空港で朝5時前の飛行機を待って出発
二時間弱のフライトなので急いで疲れを取る為に寝ようとする

と、僕の隣では既に愛二は目を瞑っていた




愛二はとりあえずトルコへ向かう
違うルートを選択した筈だったが彼の飛行機は

『デリー発シャルジャ経由イスタンブール行き』

飛行機のチケットを取ったタイミングも行き先もばらばらだったが、
何のイタズラかシャルジャまでの飛行機が一緒で、しかも隣だった


何だか決意の後だけに拍子抜け?
それとも次への興奮を共有できるから嬉しいか?

というのを感じる間も無く
無事に次の道に乗った安堵感とインドの疲れでころっと寝てしまった






振動で目が覚めると既に着陸態勢に入っていた
急いで窓の外を眺める

外は雲とは違う薄黄色で覆われていて何も見えない
それが砂だというのをすぐに理解するには
寝起きの僕の頭には少し時間が必要だった

色の濃淡の変化がこの飛行機が前に進んでいるのを伝えてくれる
たまにうっすらと淡い部分が光を伴う時がある
目を凝らせて見ればそこに可愛らしい四角い家々が

明らかに今まで見てきた景色とは違う


どうやら違いを感じる時はハッキリと見える必要は無いようだ






飛行機から降りて建物までのコンコースを渡る
密閉されている筈の空間なのにずしっとくる空気の重さを感じる
窓からは強い太陽の日差しが差し込んでくる


人々がいそいそとコンコースを歩いて行き
出口で沢山の人が係員の周りに集まっている

「トランジットの人はこちらです!」

大声で叫ぶ係員にどっと人々がなだれて行く


ここシャルジャは七つの首長国が集まったUAEの中の一つ
ドバイの隣の首長国である

最近日本でも話題になっている格安航空会社の総称LCC
今回僕達が利用したアラビア半島の一大LCC、Air Arabia の拠点で
沢山の人がここを経由してアラビア半島に散って行く

僕もフラフラしながらチケットを見せ
その流れに押し流される



行きかけてふと思い出す
愛二のイスタンブール行きの飛行機は半日後なので
彼は一度空港を出てドバイを見てくると言っていた

という事はこの流れには乗らずにイミグレーションに向かうという事で
という事はここでもしかして別れなのか?

行きかけて振り返ると愛二は違う方へ向かっている


急いで声を掛ける


「じゃあ、また」






たった一言

寝起きに慌しさ
いきなり襲われた暑さの火照り

別れは突然やってきて
そしてあっという間に通り過ぎていった


















変な緊張感のほぐれもあって、一度寝るスイッチが入ると止め処ない
マスカット行きの飛行機を待つ数時間もベンチでひたすら寝て待ち
飛行機の中も寝続けた

寝過ぎてぼーっとする頭



に、突然






「Hey, My Friend!!!」







大声で呼ばれてはっとする

僕はイミグレの列の先頭に立っていて
声のする方を見ると陽気に白い歯を見せる係員が
大きく手を僕の方に振っている

「welcome to Oman!」

耳にがんがん響いてくるどころか空港中に響くのではないかという声
でも不思議と嫌な感じがしない

彼がまさにネットで見たオマーンの男性が被るという
円柱形の刺繍が入ったその名もオマーン帽を被り
白いガウン、『トーブ』を着ていたからだろうか

意識と一緒に眠ってしまっていた期待が
むくむくと起き上がってくるのを感じる



「welcome to Oman!」

去り際にもう一度彼は言ったけれども
その言葉は僕の背中を追いかける形になった

僕の足取りはすごく軽く
飛び跳ねるように出口へ向かっていた




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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


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