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何の変哲も無いが

[20100725-2]





この宿に来た理由のもう一つに
中東を行き交う旅人の間で『超』が付くほど有名な従業員がいる
いや中東どころか旅人のネットワークを経て世界で有名な

彼の名は『サーメル』というのだが、特に日本人旅人の中でとても有名で
今は雇われの身だが将来は自分の宿を構えたいと夢を語っていて
本人には内緒で昔から密かに通りすがる旅人たちがカンパして
サーメルの為の資金が何処かにプールされているという噂を聞く


このサーメルさん
実は例の事件で日本のマスコミに頻繁に取材を受け
僕自身テレビの前で見た記憶があり
『Cliff Hotel』の名と共によく覚えている

香田さんのイラク行きのバスのチケットを
断りながらも最終的に手配してしまったサーメル
彼は取材で涙を流しながら

『私は止めたんだ。何度も止めたんだ』

と語っているのをとても覚えている


何かでちらっと、ホテルを既に移っている
という話を見たが、どうもよくわからない
中には日本人旅行者と結婚して既に日本に移住してしまった
という情報もある

もともとCliff Hotelには泊まるつもりだったので
会えたらいいなと思うくらいだった
出来れば噂に名高い彼の真摯なサービス、
というか伝説に触れてみたいと

その残り香だけでもいい
そんなふうに


















『Cliff Hotel』に続く階段を登る時はさすがにドキドキしたが
中に入ってみれば何の変哲も無い安宿だった



ドアを開けると細い廊下があって
人の話し声が聞こえる右の方へ向かう

突き当たりに結構広いコモンルームがあって
沢山の人達がテレビを見たり本を読んだりパソコンをしたり
いくつかあるソファでくつろいでいた


ちょっと予想と違うと思ったのは
香田さんの話とかサーメルの話とかからてっきり日本人宿なのかと思ったら
そうでも無かったという点

というかぱっと見渡す限りアジア人すら一人もいない
オーナーが変わったとかな、などと思いながら
少しホッとして右奥にあるカウンターへ向かう



少し小太りなチェックのシャツを着たおじさんが
何だか少し疑るような素直じゃない目線で僕を迎える

いきなりこんな歓迎はないじゃないか
と、思っているとカウンターのすぐ横にある
バルコニーに出てタバコを吸っている男を一人呼びつける


僕はその男の案内について、今来た廊下をまた逆に戻る
反対側の突き当たりまで行き
コンコンと一応ノックして声をかけて中に入るこの従業員は
カウンターにいた男と違って優しそうだ



中には4つのベットと洗面台と窓が一つ
そして一人の女性が壁に向いて丸くなって寝ていた

「ドミは5JD。今朝来たこの女性が一人だけ泊まってる。」

高っ!
ちなみに1JD(ヨルダンディナール)は約110円
事前に調べた感じだと大体ドミで3から4JDだったはず

聞いてみたら今はシーズンだから、と言い切るが
今朝来たばかりの女性が一人だけ寝ているドミトリーの部屋で
そのセリフにどれだけ説得力があるのだろう


まあとりあえずゴネてみたところ
「うーん」という顔をして「なら、、」となった
お、なんだ、話がわかるじゃないか

「ルーフトップなら3.5JDだけどどうかなあ、今スペース無い気がするなあ」

ルーフトップ??屋上??
従業員は階段の上を指している




のちに知った事だが
中東の宿には『ルーフトップ』という特別『部屋』が結構ある

道端では寝たくないが宿中だったらどんな場所でも構わないという旅人と
満室になってもなんとか泊まらせて儲けたい宿側と
双方の利害が一致しての解決案(だと思う)

まさに屋上にただ布団を敷いてあるだけの
『青空ドミトリー』である

宿によっては屋根はある所とか
布団ではなくてベットだったり
はたまたテントだったりする


僕は旅人が当然共有しているというような旅情報というものを結構スルーして
だらっと歩いているたちでこの手の事を全く知らない
そのせいで随分と損をしてきているようだが
知り出したら今までが馬鹿らしくなってしまいそうなので
やはりまだ手を出せず、自分で見つけ出す方が価値があるのだ!
という変なプライドにしがみついている



という事でこの時もルーフトップなどという事は初めて聞いた
ただ幸か不幸かルーフトップは今、フルらしい


屋上が満室???

全く意味がわからなかったが
何故か子供の頃『旅人』と聞いて妄想した
万年床の上に荷物と布団が絡まって
その上にほぼ全裸でガリガリの旅人達が
「うー、、、」とかか細い呻き声を出している絵が頭に表われ
階段を登って確認しにいくのを少し躊躇ってしまった

その瞬間にリュックの重さがすかさず肩に食い込んでくる
そして悪魔のささやき


「折角のルーフトップもどうやら満室みたいだし
 もうさっきのドミしかないじゃないか
 女性もいい人そうだったし
 たまには女性と二人っきりっていうのもいいじゃないか」


もう外にこのまま出る気力があまりない
今日は移動してきたばっかりだし
その前3日は空港泊でろくに寝れてないし
他の宿の情報も全然ないし何よりここに泊まりたい体で来ている
考えてみれば確かに最近ゲイには迫られたが女性とは話していないのも事実

悪魔のささやき、ごもっとも


反論する事もなく
「じゃあ、」なんて言ってカウンターで手続きしようとしている









これがまさかサーメル氏の残した引力か?
これから何故か居心地がよく感じてしまったり?
人を惹きつける魔力?



うーん、そういう感じじゃないんだけども、、


投げやりなのか勢いがいいのか
いや、諦めなのかどうでもいいのか

まあ、でも、
始まりは全てそういうモノなのだ、きっと



と、いう感じで何故かぐるぐると吸い込まれ
宿に来てからたった5分後には

僕はドアをノックしてさっきの部屋に入って荷物を置いていた












破滅遺伝子

[20100725]



ヨルダン行きエアアラビアの飛行機
LCCだからやっぱり狭いしサービスも最小限
水だってお金がかかる
でも窓際だった事が僕を興奮させた



20100725 (2)











砂漠を空から覗く事が出来る













このブログには何度か書いたけれども
僕は砂漠に対する憧れというか畏怖というか
そういう特別な想いがある


育ってきた身近にそういう場所が無かったという割りには
『砂漠』という言葉にイメージはすごく近くに沢山あった

それはニュースから流れてくる本当の砂漠の映像でもいいし
童話に表れる砂漠のお話でもいいし
さらには『東京砂漠』という表現や『砂漠化』なんてのもよく聞くようになった

なのにそのものを体感する機会が無い
しかもそれはどうも簡単に行ける場所にないようだ
というのは子供の頃から感じる


それが

『この世の中には確かに存在するけれども手の届かないモノ』

というような変な意識定着に陥り
歳をとるにつれてどうやら砂漠とは生命が枯れ果てる不毛の土地
という情報が加味されるもそれが逆に神秘性を増して
憧憬や畏怖に繋がった訳である








空から眺める砂漠はやはり圧倒的な存在感だった
宇宙の壮大さと地球の丸みと
それに引けをとらない大きな存在感

人が加担した負の資産という一面があるのも分かってはいるが
それでも惹きつけられる
というかそういう負い目も併せて
言葉を失うのかもしれない


残念ながら砂丘一つ一つにいたるまでを観察する事は出来なかったけれども
ずっと窓から離れる事が出来なかった


20100725 (1)























飛行機の中で天気予報を聞くと
どうやらアンマンはドバイよりも涼しいらしい
といっても35度とかなので十分日本では真夏日なのだが
それでも常に40度を超えていたアラビア海沿いの国々からやってくると
『涼しい』という言葉が出てくる

実際外に出てみれば
確かに日差しは暑いけれどもからっとしていて
歩けないことはない

今思えばアラビア海沿いの国々の暑さには
日本と同じように湿気ったものがあった
砂漠の国のイメージだったのに湿気
しかも日差しは強いなんて最悪だったな


20100725 (5)
























アンマンの宿は殆ど調べてこず
ただ『Cliff Hotel』という名前だけでやってきた


この名前、聞いた事がある人も居るかもしれない
数年前日本で大ニュースとなった事件
香田さんという旅人がイラクへ行き
そこで武装組織に拉致され衝撃的な映像が流されたという事件

その香田さんがイラクに行く直前に泊まった宿
それがヨルダンはアンマンの『Cliff Hotel』

香田さんはこの宿でイラク行きを決心し
同じ時に泊まっていた仲間から賛否両論が出てる中
出発しそのまま帰らぬ人となった



20100725 (3)





日本を飛び出してきたからには
昔から夢物語であった場所や出来事を現実のモノに!
旅人ならこういう心が芽生えるモノだ

それは卑しい事でも無く
その為に色々と計画しある程度は辛い思いもして
日本を飛び出してきているのだから


だが人の欲望というものは捉えようのないもので
常に意識していなければあっという間に形を変えてしまう

自分が幼い頃に夢見ていた場所に降り立つ
それだけではなくて
兎に角人が行った事が無い場所、行けない場所やタイミング
そういう所へ行って人を見返す
というふうになったりする

好奇心や野心が欲望の方向性を変えたりしてしまう
勿論それ自体が悪い事でもないし
良い方向に変化する事もあるけれども


兎に角、この香田さんに関していえば
結果論としては失敗に終わってしまったのだ






ヨルダンはアラビア世界の中で
政治的にも経済的にも地理的にも
色んな意味で橋渡し的な中間に位置する

そのヨルダンの首都アンマンには確かに情報もよく集まるのだろう
きっとその宿でイラクからやってきた旅人の話や
情報を聞いて旅立ったと想像できる

イラクはその時まさに戦争中であった
それでも香田さんは向かった
何かを求めて


その求めたもの
それはもともと自分の中にあった好奇心だったのだろうか
それとも外向けの野心だったのだろうか


20100725 (4)













あれから随分と時間がたって環境も状況も変わっているかもしれないが
一体あの空間には何があったのか知りたかった

好奇心を操る何か魔物のようなものがいたのだろうか
これは別に世界中至る所で起こりうる出来事だし
安宿の雰囲気と言えばピンキリといっても基本的には同じ
そんな中で象徴的な意味として僕はその空間の中に身を置いてみたかった




日本でこのニュースを見た僕
その時の僕は既に旅に対する夢を抱いていただけに凄く関心を引いた

日本に居たらイラクなんてとても危険で行ける訳が無い
そんなイメージだった
『自己責任』という言葉も流行り
その場の市民は生活しているし行けない事もないんだろうが
それでも自分は行かないだろうと思った

でも、、

もし自分があの時、アンマンの『Cliff Hotel』にいたら
行く事になってしまったのだろうか

いや、自分は絶対にそんな無謀な事はしない

強く自信を持って心で叫んでみても
それはすぐに崩れそうになってしまう


行かないとは思うが何故か当時
一抹の『不安』を残して結局答えを出さずに心に仕舞っていた


















旅に出ている時点でそれは欲望に動かされている
それは疑いようのない事実だ

欲望が新たな好奇心や野心の為に
形を変えてしまうのを恐れて心を鎮めてしまったら
旅を歩んでいるというバイタリティの根源をも揺るがしかねない


強く行く人が大きなモノを失う可能性がある代わりに
大きなモノを手に入れる
ハイリスクハイリターン

人生の選択は常にそういったものでは無いだろう
待った人や耐えた人が後に大きなモノを手に入れる例なんて
ゴマンとある筈だ


旅に出てきた
その時の好奇心
危険地域や何かにある特殊性
そこに対する好奇心

その明確な違いを突き詰めていくととても境目は難しくなる
でもそこにこそ重要な答えはありそうだ


















好奇心とはもしかして自分をどんどんと危険に晒す事によって
前に進んでいく麻薬みたいなモノなのかもしれない

終わりなくやってくる周期性
そしてどんどんと求める規模が大きくなるスパイラル
そして感動や快感を伴わせる



砂漠に惹きつけられるのも
もしかしたらそういう破滅的な行き先なのかもしれない

自分に植え付けられた破滅遺伝子






最終地点は死かもしれないが
だからといってそれに向けて今は生を歩いているのだから

何とかしてこの好奇心を乗りこなしていかなくてはいけない















さあ、好奇心を操る魔物よ
はるばる日本から会う為にやって来たぞ

俺の好奇心はどんなんだ?


20100725 (7)













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    ふらふら何処かへ酒飲んで本読んで人と話してぼーっとして海に入って空飛んでバスに乗ってまたふらふら何処かへ、、何処へ?うーん。。とりあえずの試行錯誤継続鍛錬。

    2009年5月、日本を後にし、ゆっくりだけどそのうち加速予定。

    未熟ながらもなんとか自分の言葉で世界を書き起こしたい。ただいまその道中。


    name : LAN
    now : Quito ( Ecuador )
    latest update : 20120816
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